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第2章 竜の血を持つ者

竜の復讐(for three days)

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ザンギント山の竜の祭壇は、特に荒らされている様子はなかった。

ここには、敵兵も、誰も入らなかったのか。

傍らに、竜剣ジオグリシェルが落ちていたのが目に入ったが、

僕には、用済みだろう。

そのまま、置いておけばいい。

そう思えないのは、

僕が何かから逃げている、

そう負い目を感じているからなのかも知れない。



いつかの5日
           ザンギント山の竜の祭壇にて
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僕の家から見えた、ミスルタの家。

君の家の庭園は、たくさんの綺麗な花が咲いていて、目を引いていた。

ミスルタが、ほとんど1人で手入れをしていると訊いた時は、驚いたけれど。

君の両親が仕事であまりこの街に帰らないから、その帰りを心待ちにしている様な、

そんな思いが、表れている気がしていた。

今は、少し力を失った花が咲いている。

まだ、綺麗に咲いているよ。



ミスルタ。



ごめんね。



こんな、誰一人守れない幼馴染は、初めてだろう。



でも、約束するよ。



君の、



かたきは、必ず討つ。



いつかの6日
           僕の部屋にて
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白灰千王竜ホローエヴァルドドラゴンが街の上空を旋回している。

ブルーシーズが、迎えに来た。

僕を見つけると、地に降り、人間の姿になった。

絹の長衣ローブに腰に剣を納めている。

僕が、言葉を口にする前に、ブルーシーズが言葉を吐いたんだ。

ブルーシーズの復讐と、そして僕の復讐も、果たそう、と。

ブルーシーズの願いは、復讐か。

元々、戦いで血生臭い体だ。

僕は、ブルーシーズにより生かされた。

戦場に、帰ろう。

せめて、君だけは死なせない。


いつかの7日
           岩山の部屋にて
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