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第2章 竜の血を持つ者

復讐の矛先(for three days)

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何日か、少し意識がはっきりしない日々を過ごした。

今いるこの白塗りの家は、ブルーシーズの住処。

この街は、サンクトペーテルグと言うらしい。

白い岩山に寄り添う様に、白塗りの建物がたくさん立ち並んでいる。

ここから見えるエメラルドグリーンの色鮮やかな海は、僕の心を少しばかり癒してくれた。

ブルーシーズに連れて来られた岩山の部屋に閉じ籠っているより、空と海と、街並が広がる、この街にいた方が、気が落ち着く。

時々街の番人が通りかかるが、商人が多く行き交う街で、見知らぬ者には慣れているのだろう。

目立つ動きをしなければ、干渉される事はない。

ブルーシーズには、

気を使わせた。

きっと、見透かされていたんだろう。

ここまで色々な物事が起こって、その展開の早さに、

僕の心が、ついていかないでいる事を。


いつかの10日
           サンクトペーテルグの家にて
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ここに来て、ブルーシーズの真意がわからなかった。

竜の君が、人間の中に混ざり、生活している。

君は、世界の覇権を人間から取り戻そうとしているのか?

僕の、勘違い?

竜同士、遠い大地で住処として暮らしている、そう思っていた。

もう、小回りが利くからでは、ごまかされない。

君は、時々人間になるのではなく、ほぼ人として暮らしている。

そうだろう?

その理由は、一体何だ。

本当の、

君の思いを教えてほしい。


いつかの11日
           サンクトペーテルグの家にて
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ブルーシーズの復讐は、北の大陸スキューエルハにあるウルヘイド王国ヴィルアズ王の殺害であった。

かつてブルーシーズの一族が守護竜として身を置いていた国、その王という話だ。

そのヴィルアズ王の裏切りにより、多くの仲間が死に追いやられたという。

白灰千王竜ホローエヴァルドドラゴンは、他の竜族からは、人間に利用され、殺されて、絶滅危機にある、愚かな竜族と捉えられ、竜の棲む神山へは帰る事ができない、と。

このサンクトペーテルグは、中立国にある街らしく、行き場を失った彼に手を差し伸べ、暮らしを提供した者がいた。

意外な名前が出てきて、正直、驚いたんだ。

その名前は、

スカリテラス・グリーンディ。




いつかの12日
           サンクトペーテルグの家にて
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