剣士アスカ・グリーンディの日記

sayure

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第2章 竜の血を持つ者

決意(for three days)

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サンクトペーテルグの市場は、今日も賑わっていたな。

しばらくは、来れないかも知れない。

宝石商のカルガスは、今日も市場にいた。

僕は、彼に近づき、彼と言葉を交わしたんだ。

必要な、ものは、ありませんか。

そう言う彼に、安らぎを、と言ってみた。

ありますよ、と答えてきたんだ。

その次にきた言葉に、僕は言葉を失い、そして、間を空けて、一言、伝えた。



貴方達が期待した兵は、死んだんだよ、と。



彼は、失望した目を見せて、それでも無理に笑った。



お元気で。



そう言ってくれたんだ。

ありがとう、カルガス。



貴方達も、苦しい戦いが待っている事がわかった。

ご武運を。



彼が、ありますよ、と言った後の、言葉は、ウイプル王国上級兵の共通隠語だった。



"バハル石像にある蛇の舌は切れる"



ウイプル王国と戦争をしていたドメイル教信仰国聖バハール王国に対し、国王暗殺計画が進行している事を、意味していた。



ライフの27日
           サンクトペーテルグの家にて
___________________

僕は、ブルーシーズと葡萄酒を飲み、窓の外に輝く夜空の星を眺めた。

アルコールは、少し高めで、僕には厳しかった。

彼は、北の大陸スキューエルハにあるウルヘイド王国は、氷山に囲まれ、寒いかも知れない、と話した。

星は、ここよりもっと綺麗に見える、と。

その後、僕は、彼の武勇伝を聞き、うん、うんと、頷いた。

ウルヘイド王国は、竜の棲む国だったから、戦に関しては、強みだろう。

ウルヘイド王国の持つ、ダムイ・ド・ハーケンの棘と言われる、ハーケン氷槍騎士団も、近隣国に知名度があるという事を訊くと、手強い印象だ。

ヴィルアズについては、まだ現在20才程度で、幼少時、ブルーシーズと少し遊んだ事もある、という。

誇り高いが、壁にぶち当たると、落ち込み、逃げ出す事もあったのだそう。

ブルーシーズは、白灰千王竜ホローエヴァルドドラゴンを殺す決断をした彼には、失望させられた、と言う。

うまく逃げ出せたブルーシーズが、今度は、ウルヘイド王国を。

当然の、報いとなる。



ブルーシーズとヴィルアズ王、幼少時、少し遊んだ事もある、か。

本当は、その程度ではないだろうな。



彼との、決して少なくはないだろう思い出を、深く封じ込めた様な、そんな言い方だったから。



でも、ここが分岐点だ。



国を守り続けた白灰千王竜ホローエヴァルドドラゴンを殺して、それをドメイル教への忠誠に変える様な、鬼畜な行為。

許すべきでは、ないだろう。



ライフの28日
           サンクトペーテルグの家にて
___________________

ウルヘイド王国の港町ベッケルゲーまで、この街から定期船を乗り継ぎ、向かう。

ウルヘイド王国到着後、ドメイル教団を装った手紙を、他の者を使い、ヴィルアズ王へと届ける。 

そして、ヴィルアズ王を神の丘オーディールに誘い出し、そこで彼を討つ。



竜の復讐。



これを成し遂げる事で、僕も決心がつくんだ。

本格的に竜族への、仲間入りをする。



お母様は、僕のウイプルの民、そして兵としての道を残した。

それは、叶わないけれど。

僕は、お母様の、貴覇竜の名に恥じない、翼竜として、君臨するよ。



この、世界に。



ライフの29日
           サンクトペーテルグの家にて
___________________
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