人形と少年騎士と

sayure

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悪魔王の章

piece26 地下道再び

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悲鳴が響いた場所は、もっと端の方。

貧民街だ。

貧民街は、結界が薄く感じる。

なんで、そんな事に気づかなかったんだ。

死んでもいい、人達なんて…いないのに。

身寄りのない人達は、守ってやらないのか。

無数の光の矢が、空に舞い上がり、狙いを定めたかの様に急降下していく。

マイハーク!!

貧民街の方だ。

なにかと戦っているんだ!

近くの魔法剣士もそれに気づいて、僕の後から走り始めた。

地下道に入ろうとする時、向こう側から、1体大きなものがゆっくりと動く。

ゴブリンだ…!?

なんで?

なんで!!

僕は、下級火炎魔法を放った。

ゴブリンの顔に命中、ゴブリンは燃える顔を覆い、不気味な声を上げる。

手に持った棍棒を振り回し、地下道の石壁を叩き、破壊音を響かせた。

ゴブリンの目は、顔の形を炎で崩しながら、僕をとらえている。

その時、後方から、薄黄緑のオーラをまとった矢が、ゴブリンの目を貫いた。

後ろから来ていた魔法剣士だった。

ひるんだゴブリンの矢を目がけて、僕は魔法を唱えた。

「アーク・ライ・レーイ…ドォ!!」

空気をはう様に、雷の閃光が伸び、矢を通し、雷撃がゴブリンの頭に入り込んだ。

ゴブリンは口から煙を吐き出し、倒れ、絶命した。

「あ、ありがとう!」

僕は、後ろの魔法剣士に手を振り、少しよろけながらも、地下道を突き進んだ。

マイハーク…

あんな傷を負って、まさか1人で、行っていないよ、ね?
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