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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い
その109
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ゴン、ゴン、ゴン!
何だ?これからシャワー浴びようと思って、面倒臭い鎧のパーツ外し始めてるのによ。まぁいいや、腕のパーツ外してるだけだから、すぐにつけられる。
パルンガが出ると面倒臭そうだから、俺が出るしかねえんだよな。どうせ、さっきの魔力の買取人だろ?でも、すぐ開けると恐いから、返事をして開けずに相手を確認するか。
「はい?」
「よう、開けてくれねえかな?お前に交渉だよ」
この街に来て、最初に会った魔力の買取人と少し話して、すぐに移動してからは特に多くの場所を回っていた訳じゃないのに、色々な奴らに見られてたんだな。もうこの部屋にいる事までバレてる。
ドアの向こうの男、野太い声で、少し言葉が荒くしゃべる。さっきの魔力の買取人じゃなさそうだ。
「何か用?」
「用だから、開けろと言ってんだろうが!」
当たりが強そうなオヤジだな。このままだと、面倒な事になりそうな気がする。
「…パルンガ、一応、戦う準備だけしておいてくれ」
「テテ、どうした?」
「ドアの向こう側に威嚇してくる奴がいるからな」
「威嚇じゃねえって、この野郎!」
人にこの野郎とか言っておいて、威嚇じゃないんだな。しかし、相手の姿が見えないから、余計恐い。筋肉質な戦い慣れした奴だったら、こんな狭い部屋で逃げる事もできないで、やられるだけだ。
「お前、ゼドケフラーの幼獣連れてきてるんだろう?俺が、奴が提示した倍の額は出すって言ったらどうするんだ?」
そういう事か。さっきの魔力の買取人と交渉中だと思ってんのか。何も交渉なんてしてないから、何の額の提示もされてないんだけどな。どの道、パルンガを売るつもりはないから、諦めてもらうか。
「悪いけど、アンタと交渉はしない」
「そうか…?お前が連れているゼドケフラーは、この街じゃ、厄介な存在だ。その深刻な事実にお前が気づく頃には、もう手遅れになるな。そうなる前に、俺がこの街で一番の高値で買い取ってやろうって言ってるんだよ。これは、俺の慈善活動でもあるわけだ」
慈善活動をやってそうな話し方してないのが自分でわからないなんて、可哀想な奴だ。まぁ、ゼドケフラーがこの街で厄介な存在なのは、何となくわかっているけど、はいそうですかと、引き渡す訳にもいかない。
「取り敢えず、諦めてくれよ」
「…」
「?」
「…わかってくれたって事でいいのかな?」
「…」
「あれ?いなくなったのかな?」
「…」
帰ったのかな。せめて最後に、帰るよとか、何か言ってから帰れよ。気味悪いな。
でも、帰る時の足音なんて聞こえたか?
いや、聞こえてないよな…。
じゃあ、まだドアの前にいるのか?黙ったまま、物音立てず?それは、本当に気味が悪いぞ。
開けて、確認してみるか?
でも、それが目的だったりして。
…うーん。
「…不思議な波動だ。何処かでその波動に近しいものを感じたが、あれはいつの日の事だったか」
「うおっ!?」
まだいたのか!?びっくりさせやがって!
でも、何だ、この感じは。今度は口調がまるで別人じゃないか。でも、別人じゃない…な。野太い声でもなくなっているけど、元の声質は、同じ様にも思える。ただ、急に落ち着いた感じの話し方に変わったな。一体、どうしたんだ?しかも、こいつ、確かにドアの向こう側から話してるんだよな?こいつの今の声を聞いていると、何処か遠くの場所から話してる様な気がしてくる。
何か不思議な感じだ。
「…どうした?私を恐れているのか」
恐れてるだって?そんな事は…。だけど、こいつの声は、確かにドアの向こう側から聞こえてくるのに、その相手の視線は、俺の真上か、または背中から向けられてる様にも思える。無防備で、相手から攻撃を受けたら、俺は何も成す術なくやられそうな、そんな錯覚さえ受ける。そうか、この感覚は、恐れているからなのか…?
思った以上に面倒臭い相手かも知れないな。
「煩悩に囚われた生き物の行き着く先は滅び…。お前もまた、その様に歩みを進めていくつもりなのだな?」
え?煩悩…?え?
「生死の狭間で生きるお前に問おう。私は誰だ?お前は、私の波動を感じ、答える事ができるか?」
私は…誰だとか、ボケて家がわからなくなって意気消沈したそこら辺の奴って事?
それか、ボケて、徘徊して、この部屋にたどり着いた奴?
どっちも同じ意味だな。
でも、大正解だろ?
「…お前はこの街に災いを持ち込んだのだ。最期、お前の走馬灯は幾多の悪夢に飾され、死ねば、奈落の苦艱に悶え続ける。犯した罪に、聖罰が下るのは、至極当然の事だ…」
何だ?俺に罰が下るって言ったのか?何言ってやがる!罰が下るのは、この世界の奴らだろうが!お前も含めてな。
負けねえよ、誰だろうと。
…俺は必ず帰ってやるからな。
何だ?これからシャワー浴びようと思って、面倒臭い鎧のパーツ外し始めてるのによ。まぁいいや、腕のパーツ外してるだけだから、すぐにつけられる。
パルンガが出ると面倒臭そうだから、俺が出るしかねえんだよな。どうせ、さっきの魔力の買取人だろ?でも、すぐ開けると恐いから、返事をして開けずに相手を確認するか。
「はい?」
「よう、開けてくれねえかな?お前に交渉だよ」
この街に来て、最初に会った魔力の買取人と少し話して、すぐに移動してからは特に多くの場所を回っていた訳じゃないのに、色々な奴らに見られてたんだな。もうこの部屋にいる事までバレてる。
ドアの向こうの男、野太い声で、少し言葉が荒くしゃべる。さっきの魔力の買取人じゃなさそうだ。
「何か用?」
「用だから、開けろと言ってんだろうが!」
当たりが強そうなオヤジだな。このままだと、面倒な事になりそうな気がする。
「…パルンガ、一応、戦う準備だけしておいてくれ」
「テテ、どうした?」
「ドアの向こう側に威嚇してくる奴がいるからな」
「威嚇じゃねえって、この野郎!」
人にこの野郎とか言っておいて、威嚇じゃないんだな。しかし、相手の姿が見えないから、余計恐い。筋肉質な戦い慣れした奴だったら、こんな狭い部屋で逃げる事もできないで、やられるだけだ。
「お前、ゼドケフラーの幼獣連れてきてるんだろう?俺が、奴が提示した倍の額は出すって言ったらどうするんだ?」
そういう事か。さっきの魔力の買取人と交渉中だと思ってんのか。何も交渉なんてしてないから、何の額の提示もされてないんだけどな。どの道、パルンガを売るつもりはないから、諦めてもらうか。
「悪いけど、アンタと交渉はしない」
「そうか…?お前が連れているゼドケフラーは、この街じゃ、厄介な存在だ。その深刻な事実にお前が気づく頃には、もう手遅れになるな。そうなる前に、俺がこの街で一番の高値で買い取ってやろうって言ってるんだよ。これは、俺の慈善活動でもあるわけだ」
慈善活動をやってそうな話し方してないのが自分でわからないなんて、可哀想な奴だ。まぁ、ゼドケフラーがこの街で厄介な存在なのは、何となくわかっているけど、はいそうですかと、引き渡す訳にもいかない。
「取り敢えず、諦めてくれよ」
「…」
「?」
「…わかってくれたって事でいいのかな?」
「…」
「あれ?いなくなったのかな?」
「…」
帰ったのかな。せめて最後に、帰るよとか、何か言ってから帰れよ。気味悪いな。
でも、帰る時の足音なんて聞こえたか?
いや、聞こえてないよな…。
じゃあ、まだドアの前にいるのか?黙ったまま、物音立てず?それは、本当に気味が悪いぞ。
開けて、確認してみるか?
でも、それが目的だったりして。
…うーん。
「…不思議な波動だ。何処かでその波動に近しいものを感じたが、あれはいつの日の事だったか」
「うおっ!?」
まだいたのか!?びっくりさせやがって!
でも、何だ、この感じは。今度は口調がまるで別人じゃないか。でも、別人じゃない…な。野太い声でもなくなっているけど、元の声質は、同じ様にも思える。ただ、急に落ち着いた感じの話し方に変わったな。一体、どうしたんだ?しかも、こいつ、確かにドアの向こう側から話してるんだよな?こいつの今の声を聞いていると、何処か遠くの場所から話してる様な気がしてくる。
何か不思議な感じだ。
「…どうした?私を恐れているのか」
恐れてるだって?そんな事は…。だけど、こいつの声は、確かにドアの向こう側から聞こえてくるのに、その相手の視線は、俺の真上か、または背中から向けられてる様にも思える。無防備で、相手から攻撃を受けたら、俺は何も成す術なくやられそうな、そんな錯覚さえ受ける。そうか、この感覚は、恐れているからなのか…?
思った以上に面倒臭い相手かも知れないな。
「煩悩に囚われた生き物の行き着く先は滅び…。お前もまた、その様に歩みを進めていくつもりなのだな?」
え?煩悩…?え?
「生死の狭間で生きるお前に問おう。私は誰だ?お前は、私の波動を感じ、答える事ができるか?」
私は…誰だとか、ボケて家がわからなくなって意気消沈したそこら辺の奴って事?
それか、ボケて、徘徊して、この部屋にたどり着いた奴?
どっちも同じ意味だな。
でも、大正解だろ?
「…お前はこの街に災いを持ち込んだのだ。最期、お前の走馬灯は幾多の悪夢に飾され、死ねば、奈落の苦艱に悶え続ける。犯した罪に、聖罰が下るのは、至極当然の事だ…」
何だ?俺に罰が下るって言ったのか?何言ってやがる!罰が下るのは、この世界の奴らだろうが!お前も含めてな。
負けねえよ、誰だろうと。
…俺は必ず帰ってやるからな。
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