とてもおいしいオレンジジュースから紡がれた転生冒険!そして婚約破棄はあるのか(仮)

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第二章 熱き炎よギルロに届け、切なる思い

その367

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ひとつの槍が幾重にも増え続け、空から無数の絶望的な光を地上に落としていく。



ドドドドドドドドドドドドドドドドドドズッッ!!



「稀有な硬度を誇る死蛇デネクだ。ここまで多くの槍を遥かな高みから勢い良く突き刺したというのに、ほとんどの槍が内蔵どころか、皮一枚で留まっている様に見える」



「…ただ一点を除いては」



「惜しかったな、死蛇よ。お前の頭頂板に刺さった1本の槍が、勝敗を分けた様だ」



「もう身動きはまともに取れはしないだろう。今、楽にしてやる」



「雷神拳!」



バシュンッッ!!



大蛇の頭の上に深く刺さった槍目掛け、クェタルドは拳から稲妻を走らせる。

稲妻による電撃は、大蛇の頭から尻尾まで身悶る様な痙攣を起こさせて、大蛇は黒い煙を吐き、ぐったりとして、そのまま動く事はなかった。

やっぱりクェタルドは別格の強さを持っている。

この景色を俺に見せたという事は、どういう意味なのかはわかっている。

だけど、これを俺がどうやって真似て出せるんだよ。

この東角猫トーニャ族の体に変わり、頭の中に数々の技が浮かび上がる。

それでも、槍が千本になって雨の様に空から地面を突き刺しまくる技なんて、浮かんでこない。

浮かんでこないから、この記憶の景色のところまで俺の意識を運んできたんだろうけど。

どうするんだ?

この技を、俺とパルンガが戦っている黒い大蛇に使えってんだろ?

やり方を教えてくれよ。

紫色の大蛇を倒して、クェタルドとエズアはお互いの拳を突き合わせる。

最強のコンビか…。



景色が薄れていく。


本当にこの戦いを見せるためだけに、俺の意識をここに連れてきたんだな。


クェタルド、この技は難しいな。

できる気がしねえよ…。



景色の色が変わる。

また、誇闘会ことうかいの場所に戻ってきたな。

ぼやけた景色が次第にはっきりとしてくる。

明るい色から、暗い色が視界を占め始めた。

これは…もしかして。



ズドォッ!



「ぐはぁっ!」



再び現実世界に戻ってきた瞬間、大蛇の突進を食らった。

噛もうと突進してきたのか確認する暇などなかったけど、少なくとも、毒牙にやられてはいない。

だけど、何がくるのかわからない状態で攻撃を食らったんだ、思った以上に、衝撃の痛みが体の芯にくる。

蛇の鼻っ面で激突されのか?

蛇の鼻っ面は少し弾力があっても、衝撃を微塵も吸収してくれる感じじゃない。重量のある物を思いっきり投げつけられた感覚だ。

胸が痛くて、深い呼吸なんかできない。酸欠気味でも、呼吸を減らしながら、激突された胸の痛みを少しでも減らさないと。

まさか、胸骨が折れてないよな。



「大丈夫か、我が友よ!?」



大丈夫かって?

正直、わからねえ。

悪いけど、パルンガ、お前が側から見て、俺がどういう状態か教えてくれ。



「集中しろ、我が友よ。俺が少し牽制を入れ、大蛇に思惑通りの攻撃をさせずに済んだが、次は同じ様にはいかないぞ!」



怒られちまった。

しかし、助かったよパルンガ。

この蛇どもは、やっぱり幻覚じゃないっていうのがわかったよ。

無視なんかしてハムカンデを見続けていたら、いつかは致命的な攻撃を食らう。

その前に、この蛇どもを倒さないとな。



「シャーーーーッ!!」





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