鴉の歌声

sayure

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暇潰しの章

鴉のライブを初めて見たよ

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緑ヶ丘広場のイベント、どこの主催だろう。

インディーズバンドの集いか。

意外と人がいる。

100人くらい来てるのかな。

『爆音の陣』

5バンドくらい出るのか。

こんな感じで、見にくるのって、随分久しいな。

何か、懐かしくて、

楽しい。



舞台でローディーが楽器並べて調整してる。

あの鴉、どこにも見当たらねー。

控え室でも、あるのかしら。

イベントの関係者に薬、渡してほしいって言ったんだけど、

そんな人わからないから、後で渡してくれってさ。

あーあ。

面倒臭いな、これ。

あのバカカラス



イベント始まって、1番目のバンドは、ヴィジュアル系バンド。

見た目派手だけど、曲はベタベタのpopsだな。

女の子、キャー、キャー。

私、ニャー、ニャー。

少しふざけるよ。



2番手、ローディーが楽器の調整して、その後バンドのメンバー出てきた。

この前のファミレスで、鴉といた奴らだ。

ついに、鴉の出番だな。

でも、薬袋渡せなさそう。

1分くらいで、演奏始まったよ。

後で渡せば、いいか。

そして、あいつが出てきた。



たくさんの人がいる前だよ。

本気の本気、だろ?

私にないもの、届けてみなよ。

君は、持っているんだろ?

鴉。



演奏が始まり、歌い出す。

でも、いつもと違う。

その歌声。



どうしたの?



君の想いが歌に乗らない。



痛いのか?

すごく、苦しそうだ。



そうか。

そんなに、か。



何で、強がった?

私がいても、探せば良いじゃん。

薬。

本当は、これ、ないと、まともでいられないんじゃないのかよ。

自分じゃないみたい、

そんな顔してるんだよ。

今の君は。

君の歌、うまくないよ。

心に何も来ない。

私さ、

見たくなかった、そんな姿。

あまりに、

君らしくなくてさ。

人生、思い通りにいかない。



ホント、

悔しいよな…

アイル。
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