鴉の歌声

sayure

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鴉は飛ぶの章

ダサい

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また、記憶飛んだな。

カクテルの度数強いの、いったしな。

私、酒弱いのかも。

タンクトップヨレヨレじゃん。

顔がヒリヒリする。

どっかでぶつけたかな。

コンビニの前で座ってる私。

何でここにいるのかな。

コンビニから出てきた、鴉。

ハハハ。

口から血流してる。

転んだか。

みそ汁?

え、いらねーのに。

酔いに良いって。

鴉から、恵まれたよ。

頼んでもねーのに。

でも、おいしいね。

「俺、お前のボディガードじゃねぇんだけど」

だって。

何言ってんの?

むかついた。

君は、私の事、悪口しか言わねぇな。

私のデビュー曲にも、ケチつけたし。

だから、殴ってやろうと思って、近づいたら。

ふらついて。

鴉の胸に、もたれた。

血の匂い。

鴉がすごく嫌な顔をして、私の手首を強く握って、突き放した。

痛いー。

鴉の手の爪、ボロボロだ…



私は、酔いが吹き飛ぶくらい、驚いた。



彼の黒シャツの隙間から見えた、胸にある血のにじんだ、たくさんの引っ掻き傷。

治り切る前に、何度も…

引っ掻いてる?



だから…

だから、いつも黒の服しか着ないの?

血がにじんでしまうから。



そんなに、苦しんでいるのに。



君は、どんな気持ちで歌っているんだ。



平気なんかじゃないはずなのに、平気そうに見える。

歌への想いは、君は強いんだ?

だから、

私なんかの歌より、心にくるんだよね?

何も知らないで、勝手な事ばかり。



ごめんね。



アイル君。



私、ホント、ダサいね。



私、歌はもう、そんなに、好きじゃないと思う。

いつからだろう。

もしかして、最初からかな…

ダサいって、

君に、言われる訳だよ。
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