鴉の歌声

時が訪ねるの章

私の作ったステージ

都内の櫛原くしわら駅から広がる小さな店が密集してる専門店街から少し抜けると、商業デパートが並んでる。

そこのPI.PAピパは、デパートの中でも結構大きめの建物で、1階から15階まであるんだよ。専門店がビッシリだ。

化粧品、服、雑貨とか。

映画館やフードコートも、あるけど。

パスタの店の、麺の太さはうどん級だから、うどん食べたければどうぞ、だな。





1階から15階まで、私からの贈り物だよ。





届けよ、心に。





エレベーター、エスカレーター、どれも使えば、たくさんの人の目に触れて、すぐに警備員呼ばれて捕まる。デパートの階段は、歌声が聴こえても、何処にいるかは、すぐには気づかれない。警備員が来るまで、一曲だけ、私に時間を。





ロック調じゃなくていい。





バラードでもいい。






私にもさ、セクハラ気にしながらパチンコイベントで営業ばかり…。





あんなの、チャンスでも何でもないんだよ。







仕事もらえてないよりマシだろって、言う奴もいるだろうけどさ。







私は、納得できないんだよ。







警備員にすぐに捕まらない様に。1階から2階、そして3階に…。移動しながら歌うんだ。





ほら…。







歌うよ。







アカペラでも、いいんだ。






私のオリジナル曲、








『鍵を失った鳥籠の空模様』








私の歌声聴いて、みんなから批判しかされないんなら、私の歌がまだまだ甘いって事なんだ。






どんな場所でも、届くだろう？






最高の歌なら、どんな場所でもさ…。