2 / 41
夏休み
しおりを挟む
高校になって、初めての夏休みに突入、8月に入った時に、僕は同じ高校に通う同級生の友達、葉山に呼ばれ、トラップバーガーに行ってみた。
店の中に入ると、サングラスをして、足を組む葉山が目についた。
「ずいぶん焼けたね、何処行って来たの?」
「ホワッツ?ああ…何?」
葉山の第一声に、若干の苛つきを感じながら、僕はもう一度同じ事を言ってみた。
「ハワイアンリゾートさ、ブラザー」
ハワイに旅行しに行ったんだね、ブラザー。いや、ブラザーでも何でもない、ただのお友達だよ、葉山。
「ハワイはどうだったの?」
「ナイス、テイストなスカイアンドスカイだったよ。実にグッジョブだったし、お馬ビジョン、オープンザトライだったかな」
全く何言っているかわからないけど、英語はうまく喋れてないみたいだから、死ぬほど恥ずかしい事になっているよ、と伝えるべきかどうか。いや、そのまま放置して、夏休み終わった2学期の始まりに、教室のみんなから指を差され、思いっきり恥かいてもらおう、と思った。
「ココナッツ飲んだ?」
「ココナッツは、何かな?」
ココナッツは、ココナッツだ。飲まなかったんだな、残念な奴だ。
「ハワイにどの位いたの?」
「6年間!」
バカかこいつは。それだったら、僕と君はほぼ初めましてレベルだよ。
「現地の人と話した?」
「ああ、毎日が強いサンライズにやられて、ボディがヒートアップして大変らしいぞ。だからさ、日焼け止め塗ってあげたらさ、ゲットアウエイって、感激されたぞ!」
サンライズは日が昇るだと思うけど、それで体が火照るのかな?日焼け止めを塗ってあげるに限らず、いきなり訳わからない奴に体触られたら嫌がられるだろう。それで頂いた言葉がゲットアウエイ。感動したところ申し訳ないが、あっち行けという意味だぞ、葉山。
「おい、ブラザー。お前にお土産、持って来たぞ?」
「あ、そうなの?何を買って来てくれたの?」
「プレゼントフォーユー!」
おお、ようやくまともに英語を使えた様だな葉山。夏休み明けの2学期に、それは使ないでくれ。全てが間違った英語を使ってくれた方が、より完全な嘲笑を受けられる。笑いを減らすな、葉山。
「マカダミアナッツ!」
ありがとう、葉山。そのパッケージは定番だね。ちなみにそのメーカーのマカダミアナッツは今や日本で至る所で販売されているから、全く珍しくないんだけど、僕にお土産を買って来る気持ちがうれしいよ。ありがとう。
「…あれ?箱開けたの?」
「イエス。宇佐美と半分こだ」
じゃあ、いらないという話を切り出して、この気の回らないおバカちゃんが傷つかないだろうか。いや、傷つくに違いない。わかった、わかった。とりあえず、持ち帰るとしよう。しかし、30個入り1箱を半分ずつより、10個入りを2箱買って来た方が、僕も宇佐美も、気持ちよく受け取れたはずだけど。
「ちなみに、時野は何処に行って来たんだ?」
「磯部温泉だよ」
「え?何処の国?」
「日本だよ」
「あ、日本が良かったんだ。時野って、日本好きだよな」
「まあね…」
「ハワイ、行かなかったんだ?」
「去年、行ったんだよ」
「…」
「嘘だよ」
『夏休み』…完
店の中に入ると、サングラスをして、足を組む葉山が目についた。
「ずいぶん焼けたね、何処行って来たの?」
「ホワッツ?ああ…何?」
葉山の第一声に、若干の苛つきを感じながら、僕はもう一度同じ事を言ってみた。
「ハワイアンリゾートさ、ブラザー」
ハワイに旅行しに行ったんだね、ブラザー。いや、ブラザーでも何でもない、ただのお友達だよ、葉山。
「ハワイはどうだったの?」
「ナイス、テイストなスカイアンドスカイだったよ。実にグッジョブだったし、お馬ビジョン、オープンザトライだったかな」
全く何言っているかわからないけど、英語はうまく喋れてないみたいだから、死ぬほど恥ずかしい事になっているよ、と伝えるべきかどうか。いや、そのまま放置して、夏休み終わった2学期の始まりに、教室のみんなから指を差され、思いっきり恥かいてもらおう、と思った。
「ココナッツ飲んだ?」
「ココナッツは、何かな?」
ココナッツは、ココナッツだ。飲まなかったんだな、残念な奴だ。
「ハワイにどの位いたの?」
「6年間!」
バカかこいつは。それだったら、僕と君はほぼ初めましてレベルだよ。
「現地の人と話した?」
「ああ、毎日が強いサンライズにやられて、ボディがヒートアップして大変らしいぞ。だからさ、日焼け止め塗ってあげたらさ、ゲットアウエイって、感激されたぞ!」
サンライズは日が昇るだと思うけど、それで体が火照るのかな?日焼け止めを塗ってあげるに限らず、いきなり訳わからない奴に体触られたら嫌がられるだろう。それで頂いた言葉がゲットアウエイ。感動したところ申し訳ないが、あっち行けという意味だぞ、葉山。
「おい、ブラザー。お前にお土産、持って来たぞ?」
「あ、そうなの?何を買って来てくれたの?」
「プレゼントフォーユー!」
おお、ようやくまともに英語を使えた様だな葉山。夏休み明けの2学期に、それは使ないでくれ。全てが間違った英語を使ってくれた方が、より完全な嘲笑を受けられる。笑いを減らすな、葉山。
「マカダミアナッツ!」
ありがとう、葉山。そのパッケージは定番だね。ちなみにそのメーカーのマカダミアナッツは今や日本で至る所で販売されているから、全く珍しくないんだけど、僕にお土産を買って来る気持ちがうれしいよ。ありがとう。
「…あれ?箱開けたの?」
「イエス。宇佐美と半分こだ」
じゃあ、いらないという話を切り出して、この気の回らないおバカちゃんが傷つかないだろうか。いや、傷つくに違いない。わかった、わかった。とりあえず、持ち帰るとしよう。しかし、30個入り1箱を半分ずつより、10個入りを2箱買って来た方が、僕も宇佐美も、気持ちよく受け取れたはずだけど。
「ちなみに、時野は何処に行って来たんだ?」
「磯部温泉だよ」
「え?何処の国?」
「日本だよ」
「あ、日本が良かったんだ。時野って、日本好きだよな」
「まあね…」
「ハワイ、行かなかったんだ?」
「去年、行ったんだよ」
「…」
「嘘だよ」
『夏休み』…完
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる