AZ雫over drive

sayure

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既存作

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「先生、今回の作品のアイデアですが…ちょっと変えた方が良くはないでしょうか?」

「何で…?」



玉を7つ集めて、か。多分、アレをイメージしたんだろうな。よぉく見ると、本棚にアレの本が並んでいるじゃないか。アレのファンなんだろうな。でも、先生。貴方もプロだという事を忘れちゃいけないよ。



「玉を7つ集めて…どうなるんですか?」

「龍が出てきて…」

「あ、ストップ!先生」



龍が出てきちゃうか。完全にアレだろうな。その龍が、叶えちゃうんだろうな。色々とさ。それは先生の作品じゃないんだけどさ、気づいてくれないかな。



「先生、玉を7つ集めると不吉な事が起きるとか、どうですか?」

「え…?そうかな?」



先生の作品が、夢と希望を抱いて、爽快に読む事のできないものになりそうだけど、まぁいいだろう。どうせ、龍が出たとしても、喋る豚がくだらないものを頼むんだろうから。



「玉も、7つじゃなくて、44にしちゃいましょうか?」

「うん、不吉な事が起こるんだもんね」



でも、探すのが大変だろうから、わかりやすい所にあった方がいいか。読者がダレるだろうから。秋葉原のガチャガチャの中とかどうだろうか?先生も反対しないだろう。



「先生!44個の玉を集めたら、龍ではなくて、うなぎが出るとか、どうですか?不吉な事が起きた後、うなぎを焼いて食べられるだろうし」

「うーん、少しハッピーになっちゃうかな。どうだろう…」



「…先生、面倒臭いから、うなぎをただ食べる作品にしましょうか?」

「え!?何で…?」



「先生、うなぎ好きでしょう?」



「うん、好き!」







『既存作』…完
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