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壮大な山

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砂場で山を作って遊んでいる僕、小学2年生の山本拓馬。


少し暑いせいなのか、いつもの怪獣みたいにギャーギャー騒ぐ園児達がいないのと、人の悪口か、お世辞ばかり言って、とにかく本心を言わないお母さん達がいないから、心が久し振りに穏やかになってます。







そう言えば、僕は自分のお母さんに、何か欲しいものはないかと言われたので、ポケモンのピカチューをと言ったんだけど、ピカチューの、ぬいぐるみなのか、他のおもちゃなのか、カードなのか、お菓子なのか、今思えば、言えば良かったのかなと思ってます。







言われたのは1ヶ月前で、まだピカチューらしきものはもらってません。








多分、お母さんは、本物のピカチューを探してるんだと思います。








砂場で山を完成させようとした時、見知らぬおじさんが、近くにしゃがみ込んで、話しかけてきました。








「国旗だよ?あげようか…。」









おじさんは、お子様ランチに乗ってる旗を、スーツのポケットから取り出してきました。










これ、山なんですよね。









おじさんから見たら、いくらこの山がお子様ランチのチキンライスみたいに小さいからと言っても、お子様ランチに乗ってる旗を、僕の山に乗せないで下さい。









これは、壮大な山なんです。











無断でその旗を山の頂上に突き刺された時、僕はこの山の興味がなくなりました。








うれしいか?そう言われましたが、僕の顔は麻痺しているわけじゃないので、喜んでるかどうかの判断は、見ての通りだと思いました。







はい、喜んでないです。








僕は砂場を離れて、シーソーの所まで行って、板の上に座りました。









誰と一緒に遊びたいわけじゃないんですが、1人で座っていたいだけなのに、先ほどのおじさんが、反対側の板に座って、一緒に遊んであげるよ、と言ってきました。








優しさの押し売りなんですが、へたに断ると、後が恐いので、一緒にシーソーをする事にしました。








ただ、やる以上、僕に合わせて下さい。









おじさんの地面を蹴る力は、完全に僕に合わせていないので、僕の板が地面に強く叩きつけられ、お尻が痛いです。









お尻はあらかじめ2つに割れていたので、これ以上、割れる事はなかったので、助かりました。








僕は、今、砂場に来たミニ怪獣と陰口ばばぁの近くに行きました。








これ以上、このおじさんとは、遊んであげられません。








砂場に着くと、そこにいるミニ怪獣は、僕を指差して、拓馬だ、と言ってきました。










ミニ怪獣の名前は、りゅう、という名前なんですが、僕は愛着を込めて、名前がひらがななので、ひらがな、と呼んであげてます。










その度、ひらがなのお母さんが、殺人鬼と同じ目で僕を見てきますが、だったら、下の名前は、漢字でつけてあげてほしいと思いました。









「お子様ランチがあるー!」










ミニ怪獣は僕が先ほどまで作っていた山を見て、そう言ってきましたが、レストランでお子様ランチがその大きさで出されたら、誰一人食べれる子供はいないと思いました。










バカなミニ怪獣だな。











 



これは、壮大な山なんです。

















『壮大な山』…完






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