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カバン持ち

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「史織。私の彼氏、少しも優しくしてくれなくて、困ってるの…」




「えー。真美の彼氏って、あの仏頂面の彼氏でしょ?そのままじゃない?」





「昔はまだ優しかったのよ…」






「昔って、室町時代とかって事でしょ?」







「私達、クレ・ド・カフェで紅茶飲みながら、ケーキを食べて、話しをしてるのよ?茶屋でお茶をすすって、草団子食べながら話してるわけじゃないわ。今は安土桃山時代とかじゃないの、しっかりして」







「ごめん、私達ももう、若くないからね」








「それにしても室町時代じゃ、何百年も前の話よ。私達が幻想世界の大長老レベルの年齢なら、私の彼氏優しくないのよとか話してる場合じゃないわ。星の危機について話すべきよ」







「じゃあ、どうぞ」









「わし達の星は、このままだと巨大隕石落下によって、星の核が死に、地上全土に極寒が訪れ…って、そんな話がしたいわけじゃないわ。史織、私、大長老じゃないの、どうぞとか頭おかしい事言わないで」






「あ、うん」








「私の言葉、貴女の脳みそに刺さってる?しっかりしてね、史織」








「聞こえてるわよ、バカ。安心して」









「バカという言葉がいらな過ぎて、安心はしづらいけど、いいわ。話は進めても大丈夫?」









「話の進行状況は、至って円滑よ。大丈夫よ、真美。貴女はおかしくないわ」








「私自身が大丈夫なのは知っているの、貴女こそがおかしいのよ。そこ重要よ、しっかり把握しておいてね」







「貴女の彼氏がどうしたの?」








「この間、一緒に出かけた時、最初の頃は重そうだからってカバンを持ってくれたりしたのに、それもしてくれなくなったの。最近はずっとそう」







「貴女がカバンに鉄アレイばかり入れるからよ」







「何目的でカバンに鉄アレイ入れてデートしなきゃならないの?日々、いかなる時も肉体の鍛錬をしなきゃならないほど、何かと戦い続けてはいないわ」






「それはわからないわ。貴方達の趣味まで私、把握していないから。公園で一緒に鉄アレイで体鍛えて、ああ、気持ち良いわねとか、言ってるかも知れないもの」






「何情報を元に、私にそんな刺激的な事を言ってくるわけ?私がカバンに自分で鉄アレイ仕込んどいて、持ってくれないのよ、とかいうわけないでしょう?」





「私の彼は、鉄アレイ入りのカバンは持ってくれないわ」






「鉄アレイ入りなら、私の彼氏もよ!この世に住む大多数の人は、普通は持ってくれないに決まっているでしょう!」





「私は持ってあげるの」





「え…?」





「お金だけは取るけど」





「何よ…」





「それなら、私もやるわよ」










『カバン持ち』…完








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