憂鬱症

九時木

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127 堕落

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 目が覚めると、時刻は午前10時を過ぎていた。

 何事もなかったかのように、出勤時刻が過ぎていた。私は家に閉じこもったまま、ベッドの上でぼんやりとしていた。


 昨夜に入浴しなかったせいか、体に不快感があった。
 最近は風呂に入ることも面倒で、典型的な憂鬱症状を呈していた。

 こうして外に出ることもないまま、時間が過ぎれば良いと思った。
 何も食べたくなかったし、動きたくもなかった。


 私は、自分が段々と堕落しているのを感じ取った。
 仕事にも行かず、食事や入浴もせず、ただ体が腐っていくばかりの生活。

 もはや希死念慮を働かせる気力すらなかった。
 私は何も考えず、埃を被った人形のように横たわっていた。

 何かを執筆しようかとも思ったが、それすらも面倒に感じた。
 寝たきりの生活を送っているために、何の刺激もない。書くことは何処にも見当たらなかった。


 外では小鳥が鳴き、自動車が通りがかっていた。

 外の世界は忙しそうだった。一方の室内は、まるでそこだけ時が止まったかのようで、あらゆるものが静まり返っていた。

 部屋は2週間前に掃除をしたきり、何も手をつけていなかった。

 床には埃が転がっており、鼻を刺激した。また洗濯物も積もっており、晴れているにも関わらず、いつまでも干されないままでいた。


 私は、このまま部屋や自分を放置し続ければ、一体何日後に朽ちた姿が発見されるのだろうかと想像した。

 私は腐臭を放つかもしれないし、白骨化しているかもしれない。
 ドアを超えて腐臭が隣人に届けば、早いうちに気づかれるだろう。

 そうでなければ、音信不通を疑った知人や家族が、死んだ私を見つけるかもしれない。

 人々は私のグロテスクな姿を見て、嘔吐するのだろうか。あるいは嫌悪感を抱き、できるだけ直視を避けながら、さっさと埋葬してしまうのか。

 死体を見て喜ぶ人間などそういない。だから、いずれにせよ、人々は私に対して何らかの負の感情を抱くのだろう。


 私は、今住んでいる部屋が事故物件になる所も想像した。

 私は別にそれでも良いと思った。部屋は壁が薄く、隣人の喚き声がいつもうるさかったので、誰も住まなければ良いと感じた。

 あまりのやかましさに、私は騒音問題として管理会社に何度も訴え、録音データも聞かせたが、結局は何も変わらなかった。

 人生とは、そういうものなのだ。この世には、ほとんど何も解決されないまま、放置された問題ばかりが残っている。

 この世界はガラクタ山のようなもので、尊いものなど何一つない。だから、私1人が死のうが、対して珍しいことではないのだ。


 私は以前そうしたように、充電コードに手を伸ばした。
 それで首を締め付け、早く楽になりたかったが、結局は疲労感が勝り止めた。

 私は1人、横になったままぼんやりとした。
 涙1つ出ない生活だった。外の世界への関心を失った私は、目をつむり、またあの長い長い眠りについた。
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