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最終章 四日目、そして全て崩壊へ
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「昨夜、あなたはこんな風に言いましたよね。犯人はもう、隠すつもりがないのではと」
確かにそんな話が出た。伊藤さん、藤田さんの事件に比べ、水戸さんの事件は乱暴すぎると話したときだ。
「そうか!」
高遠さんの声が一段、高くなる。
「そうなのね。あなたは昨夜、いえ水戸さんの遺体が発見されたとき、すでに殺人事件の隠蔽と自らの保身を放棄した」
自分を指差す高遠さんに向かい、三輪さんはゆっくりと胸を張って頷いた。
「俺は水戸さんを殺人の共犯にした。しかも命まで落とさせてしもた。もう俺だけ平和な日常に戻るなんて、そんなことできへん」
そして先輩は、僕に向き直り、「お前も巻き添えや。すまんかったな」と頭を下げた。
「昨夜のロビー。あなたは三つの事件の真相を私たちで推理するフリをして、それとなく飯畑が犯人だと話を誘導していた」
昨夜、三人で何があったのか話し合った。あの時、三輪さんは「藤田さんの部屋の鍵」を持っていた飯畑さんが、最も怪しい容疑者だと匂わせた。
そして「自殺の教唆」とも言った。女性の飯畑さんに、大柄な男性の藤田さんを首吊り自殺に見せかけて殺害することは難しい。それで、そんな話を……。
「そうや。アホな俺は二年前の事件に関し、飯畑さんを疑っていたからな」
自重気味に笑う先輩だったが、それでは先ほどの、事件隠蔽を諦めた話と食い違うのではないか。僕のそんな疑問に気づいたのだろう、高遠さんが推論を続ける。
「あなたは私が水戸さんを殺したことで、復讐の対象を二人から四人に変えた。ただし、その対象は村上、そして飯畑だった」
心にチクリとトゲが刺さったような、そんな顔をして三輪さんは黙ってうなずく。
「あなたは村上と飯畑を殺すことを隠すつもりはない。しかし伊藤と藤田くんの二人を自分が殺したことはバレたくなかったのね。だから、これから死ぬ飯畑に、伊藤・藤田殺しの罪をなすりつけようとした」
何を言っているのだろうか、高遠さんは。僕は刑法に詳しくはない。殺すのが二人と四人で、どれほど罪と罰に違いがあるかわからない。
しかし、そんなことに気を遣う場面ではないだろう。先輩にとって、これは正義の復讐なのだ。どうせバレるつもりなら、そんな姑息なことをするはずが……、
「あ……」
唐突にひとりの女性の顔が頭に浮かぶ。
「気づいたのね、向井くんも」
と高遠さんが微笑みをくれた。しかしもう、そんなことはどうでも良い。そうだ、そうだったのか。
「先輩は、水戸さんが事件に関わったことを隠蔽しようとした」
立ち尽くす僕の肩に手を置き、
三輪さんは「よう気づいてくれた」と呟いた。
先輩の顔を見上げる。相変わらず背が高い。僕より頭一個分上にある、その顔が優しく笑っていた。
「先輩……」
泣き出しそうな僕の肩をしっかり掴み、三輪さんはそっと横の方に押し出した。
「……?」
確かにそんな話が出た。伊藤さん、藤田さんの事件に比べ、水戸さんの事件は乱暴すぎると話したときだ。
「そうか!」
高遠さんの声が一段、高くなる。
「そうなのね。あなたは昨夜、いえ水戸さんの遺体が発見されたとき、すでに殺人事件の隠蔽と自らの保身を放棄した」
自分を指差す高遠さんに向かい、三輪さんはゆっくりと胸を張って頷いた。
「俺は水戸さんを殺人の共犯にした。しかも命まで落とさせてしもた。もう俺だけ平和な日常に戻るなんて、そんなことできへん」
そして先輩は、僕に向き直り、「お前も巻き添えや。すまんかったな」と頭を下げた。
「昨夜のロビー。あなたは三つの事件の真相を私たちで推理するフリをして、それとなく飯畑が犯人だと話を誘導していた」
昨夜、三人で何があったのか話し合った。あの時、三輪さんは「藤田さんの部屋の鍵」を持っていた飯畑さんが、最も怪しい容疑者だと匂わせた。
そして「自殺の教唆」とも言った。女性の飯畑さんに、大柄な男性の藤田さんを首吊り自殺に見せかけて殺害することは難しい。それで、そんな話を……。
「そうや。アホな俺は二年前の事件に関し、飯畑さんを疑っていたからな」
自重気味に笑う先輩だったが、それでは先ほどの、事件隠蔽を諦めた話と食い違うのではないか。僕のそんな疑問に気づいたのだろう、高遠さんが推論を続ける。
「あなたは私が水戸さんを殺したことで、復讐の対象を二人から四人に変えた。ただし、その対象は村上、そして飯畑だった」
心にチクリとトゲが刺さったような、そんな顔をして三輪さんは黙ってうなずく。
「あなたは村上と飯畑を殺すことを隠すつもりはない。しかし伊藤と藤田くんの二人を自分が殺したことはバレたくなかったのね。だから、これから死ぬ飯畑に、伊藤・藤田殺しの罪をなすりつけようとした」
何を言っているのだろうか、高遠さんは。僕は刑法に詳しくはない。殺すのが二人と四人で、どれほど罪と罰に違いがあるかわからない。
しかし、そんなことに気を遣う場面ではないだろう。先輩にとって、これは正義の復讐なのだ。どうせバレるつもりなら、そんな姑息なことをするはずが……、
「あ……」
唐突にひとりの女性の顔が頭に浮かぶ。
「気づいたのね、向井くんも」
と高遠さんが微笑みをくれた。しかしもう、そんなことはどうでも良い。そうだ、そうだったのか。
「先輩は、水戸さんが事件に関わったことを隠蔽しようとした」
立ち尽くす僕の肩に手を置き、
三輪さんは「よう気づいてくれた」と呟いた。
先輩の顔を見上げる。相変わらず背が高い。僕より頭一個分上にある、その顔が優しく笑っていた。
「先輩……」
泣き出しそうな僕の肩をしっかり掴み、三輪さんはそっと横の方に押し出した。
「……?」
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