こいじまい。 -Ep.the British-

ベンジャミン・スミス

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第四章 Virgin

第四話 静かな正月と煩い仕事始め

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 翌朝、アルバートのスマートフォンに着信があった。画面に表示された名前は——Luxus 

 胸の内がほんのり温かくなる。そして急いで時差の計算をする。
日本は午前9時、つまりイギリスは今まさに新年を迎えたところだった。
ベッドで寝息を立てる春人を起こさぬようすり抜け、キッチンの方へ行く。
電話に出ると待ち遠しかったのかラクサスが新年の挨拶を捲し立てた。それに応えていると後ろに気配を感じる。

「おはよ」と口を開きながら目を擦る春人。
ラクサスにもう一度新年の挨拶をして電話を切る。

「邪魔した?」

電話の主が気になる春人。あまりにも嬉しそうな表情でアルバートが振り向いたからだ。自分の知らないアルバートがいるようで胸が煩い。だがそれを悟られまいと、昨日食べ損ねた年越しそばの準備をするべく、鍋に火をかけた。

「いや問題ない」

まだ愛おしそうにスマートフォンを見つめている。

「新年から仕事?」

あんな顔で、しかも新年から仕事をする職業ではない。
しかしどう反応していいのかも、スルーするだけの心の余裕もない春人には「仕事」という単語に頼るしかなかった。

「まさか」

やはり読みは当たっていた。仕事のはずがないと肩を竦めたアルバートが優しく微笑む。

「ラクサスだ、弟だよ」
「え?!」

初めて聞く家族の名前。

「噴いてる」
「あわわわわわ!」

噴きこぼれ始めた鍋の火を慌てて消す。
最近はあのビックベンの事ばかり考えていた春人は久しぶりに好奇心で胸を高鳴らせた。

(アルの弟?)

急いでを作り、炬燵に足を突っ込みそれをいただく。
箸を持った春人の口は蕎麦より先に弟の事を聞きたくて仕方がなかった。

「アルの弟ってどんな人?」

やはりハンサムなのか?髪の色は?
家族の事がこんなに気になるのも恋人同士を感じさせる。

「私の若いころにそっくりだ」
「へえ……いくつなの?30?」

蒲鉾をごくりと飲み込んだアルバートの口が横に開く。

「23」
「23か……えええ?! 23歳?!」

アルバートの弟ラクサス・ミラーはイギリス在中の23歳。アルバート同様、両親の影響を受け兄の後を追いかける様に語学の大学に進学し、今も院で勉学に励んでいるという。

「勤勉な子だよ」

と弟への愛を感じる笑みを浮かべた兄とは対比的に春人は口をポカンと開けていた。

「恋人と同じ年の弟……」
「何か問題があるのか?」
「……つかぬことをお聞きしますがアルバートさん。ショタコンですか?」
「ショタ?」

意味が分からず眉間に皺を寄せたアルバートにショタコンの説明をする。
だがそもそも極端な年下=ショタではない。
本当の意味を調べたアルバートは全力で否定してきた。

「そんな趣向はない」
「じゃ、年下好きなの?」
「年下……それも違う気がする」

2、3回麺を啜った春人が「今まで付き合った恋人はどうなの?」と小さい声で尋ねた。
鰹と昆布の湯気が立つ水面に映る顔は歪んでいる。

「あっ、別に話したくなかったらいいから! ごめん新年早々変な話しして」

顔を上げ謝罪するがアルバートは嬉しそうだ。

「ありがとう。君が私の事を知ってくれているようで嬉しいよ」
「う、うん、それならいいんだけど……じゃ、改めて、今まで年下と付き合ったことあるの?」
「ない。日本人も初めてだ。だが、恋愛に国籍も年齢も関係ないと思っている。もしくは春人がそれを感じさせない程魅力的で、見る人を虜にしてしまうからかもしれないがね」

急に褒められ、春人はお茶で戻ってきそうになった蕎麦を流し込む。

「な、な、何言ってんの?! 僕にそんなのないよ! それどころか、童貞だしアルを気持ちよくさせられないし! お洒落な事も言えないし、薔薇も似合わないよ! ああ、もうよく分かんなくなってきた! ご馳走様、ほら、初詣行くよ!」

早口でとんちんかんな事を言った春人が食器を片付けコートを引っ掴む。その手にクリスマスに贈ったマフラーも握られていて「やはり魅力的だ」と呟いたアルバートも初めての蕎麦を胃に収めた。

 その後、近場の神社を探さずとも、人の波や歩道に上っている旗でどこに神社があるか分かった。
春人がマフラーに口を埋めて小動物みたいに身震いしているのを見下ろすアルバートが息を吐けば白い煙が昇っていく。
その音に反応して上を向いた春人。
冬空とアルバートはとても似合う。灰色の雲とプラチナブロンド、そして白人の肌はどこか似ている。だが、何となく煌めく太陽の下でも似合うと思い「誕生日、夏?」と聞いてみた。

「よく分かったね」
「何となく。いつなの?」
「8月30日。春人は?」
「僕は12月8日」
「なに?」

アルバートの足が神社の鳥居の前で止まる。

「もう終わっているではないか。どうして教えてくれなかったのだ。」
「どうしてって、あの時はまだ付き合っていなかったし」
「今からでも遅くはないだろうか」

顎に手をあて考え出すアルバートを春人は引っ張る。

「別にいいから! 次でいいよ!」
「しかし次は……」

そこまで言ってアルバートは口を閉ざし、神社の本殿を見た。春人も今の発言を聞かなかったことにしてアルバートを引っ張る。

「……」
「……」

 言わないだけで考えている事は同じだった。
アルバートは、次の誕生日を直接祝う事は出来るだろうか。
春人は、8月の誕生日なら直接祝う事ができる……ギリギリ。

——8月満期で研修は終わり、アルバートはイギリスへ帰国する。

必ず訪れる別離に2人はあえて今まで触れなかった。今、その話題をすべき時なのに、結局そこから話を逸らし初詣をすませた。
 きっと同じことをお願いした、そう確信しているがために春人はそれを悟られないように「エッチなお願いなんてしてないからね!」と突拍子もない事を言う。

「君の成長はなかなか目覚ましいよ」

と、ただ身体を開発されているだけの春人を褒めるアルバート。こんなことを言うのも日常茶飯事なのに今だけはわざとらしく感じてしまう。

「痛みさえどうにかなればいいんだけど。僕たち切腹に耐えられる種族のはずなんだけどなあ」
「しかしあれも最終的には介錯が必要だと聞いたが」
「介錯か……」

何となく切腹、いや挿入に伴う激痛の介錯が何か、春人には心当たりがあった。

(たぶん気持ちよくなっていればある程度我慢できる気がする)

昨夜の挿入時に自慰を並行しておこなった。そのせいで感覚的には楽な物があった。痛みを惑わす何かさえあれば、次こそは最後まで出来るかもしれない。
むむむと考える春人にアルバートはチャンスを与える。

「これから職場は離れるけど、また遊びにおいで」
「うん!」

 今後の職場が同じ県内とはいえ、離れてしまう2人は正月休みを共に過ごした。身体の関係に進展はなかったが、甘い恋人の時間を過ごし、休みは幕を閉じた。

 そして春人を喘がせたいアルバートと、最後までしたい春人の願いはこの後とんでもない形で実現する事となる。
その原因を作ったのは春人の隣のデスクの男だった。
 
 仕事始めから数日たったある日の金曜日、研修生の任から解かれ、春人は通常業務に戻っていた。そして松田の口からとんでもない単語が飛び出す。

「合コン行こうぜ!」

春人は手にした分厚いファイルを松田の足元に落としかけた。

「行きませんよ」
「何でだよ。相手は美人だぞ! CAさんだぞ!」
「CAって、客室乗務員ですか?」
「おうよ! な? こんなチャンス滅多にないぞ!」

年末の宝くじにでも当選したような表情で誘ってくる松田。

「行きません!」
「何でだよ。あっ、まさかクリスマス成功したのか?」
「?!」

もう別の支社へ行った恋人がチラつき、春人は結局ファイルを落としてしまった

「おわ! あっぶねえ! あー なるほど、振られたか」

社内恋愛に近い状況を悟られまいと急に真顔になった春人を松田は心配そうに覗き込んだ。

「だったら尚更行こうぜ?」
「僕は……」

——恋人がいるんです。

そう言おうとした春人より先に松田がとんでもない名前を持ち出した。

「アルバートも来るし!」
「え?!」

落としたファイルに伸ばした手がピタリと止まる。そのまま松田を見るとにやりと笑っていた。

「久しぶりに会いたいだろ? やっぱり指導員としては心配だよな」
「……」

指導員と研修生などもう二人には関係ない。それよりどうしてアルバートが合コンへ行くことになっているのかが春人には不思議でならなかった。
事態を把握できていない春人に松田が全く慰めにもならない情報を語り始める。

「ん? お前もしかして知らないの?」
「何をですか?」
「アルバートって独身なんだぞ! 凄いよな、あんなハンサムが独身だなんて。やっぱり日本とは結婚に対する価値観が違うのか?」

勝手に仕事観や結婚観の違いに独り言を咲かせる松田を放置して春人はファイルを棚に戻した。そこで一旦深呼吸をしてデスクへ戻る。

「それ、どこから沸いた話なんですか?」
「アルバートの独身話?」
「違います! 合コンです!」

松田にとって疑問の余地を持たない合コンでも春人には一大事だ。恋人を理由に断るつもりが、恋人が合コンに参加するというまさかの事態に見舞われた。

「ジョシュア!」

松田の担当研修生ジョシュア・ヴェネットの名前が出るも春人には先が読めない。

「今、福岡空港支社行ってるだろ?あそこ、クライアントと空港に行ったりするんだよ。いかに空路の安全が保障されているか百聞は一見に如かずってな。クライアントも安心、空港も利用する顧客が確保できる。こっちは言わずもがな」
「まさかその時にCAさんを?」
「ジョシュアも顔だけはいいからなあ。いい仕事するよな」

職務怠慢と言おうものなら、あのアメリカ人の高笑いが聞こえてきそうだ。

「でもどうしてアルバートなんですか? ダグラスさんもいますよね?」

ほぼ会話はしたことはないが、もう一人アメリカから来たオレンジ系ブラウンの髪をした男がいる。年齢はジョシュアと一緒だ。それどころかあの二人はアメリカで勤務している会社も同じだった。

「断られたんだと」
「でもだからってアルバートにする必要はないんじゃ……松田さんの合コン友達じゃ駄目なんですか?」
「分かってねえな。耳貸せ」

松田が春人と肩を組み、耳打ちする。

「正直アルバートで落ちない女がいると思うか? 担当だから知ってるだろ? あのルックスにジェントルマン、しかも独身! 確実にやってくる女子のレベルは高くなる!」

その後も、合コンのテクニックを語りだす松田の話をどうにか遮る。

「僕まで行く理由は?」
「ジョシュアが可愛い系の男を連れてきて欲しいっていうから」

つまりは、似通った男でなく、幅の聞くメンバーで挑みたいという作戦がだだ漏れだった。

「な? 久しぶりにアルバートの様子も気になるだろ? 俺は可愛い研修生のジョシュアが気になるぞ!」

と、わざとらしく言う松田。

「アルバートはなんて返事したんですか?」
「勿論参加!」

松田が突き立てた親指をへし折りたくなる。
段々と腹の底から松田ではなくアルバートに怒りが湧いて来る春人は、いつもより低い声で

「行きます。どうせクリスマス失敗しましたから」

と松田に言っても仕方のない皮肉を込めて返事をした。
 それを聞いた松田はご機嫌な様子で春人の背中を叩き、軽い足取りでオフィスを出て行った。
そしてトイレでスマートフォンを取り出しジョシュア・ヴェネットの名前を探す。

「もしもし、今大丈夫か?」
『大丈夫だよ。どうだった?』
「こっちはばっちりだ。ただ、案外渋ってさ。久しぶりに研修生に会いたいだろって押し切ったからアルバートの方頼む」
『Ok.こっちもそれを理由に誘ってみるよ。まだ話せていないんだ』
「頼んだぞ」
『分かっているよ。相手の女性にもダンディーなイギリス人が来るよ、で釣っているからね。来てもらわないと』
「抜け目ねえな」
『このやり方教えてくれたのは要だろ?』
「一蓮托生ってやつだな」
『また難しい言葉を使うね。後で調べておくよ、何だかとんでもない意味な気がするけど……そろそろ切るよ。アルバートを口説き落としに行かないと』

悪い笑みを浮かべ、松田は電話を切った。


◇          ◇         ◇

松田と同じくして電話口で悪い顔を浮かべたヴェネットが、何度か拳で胸を叩いて、オフィスの様子を伺う。そしてタイミングを見計らってアルバートを呼びだした。

 同じ研修生でも雰囲気で出来る男だと分かるイギリス人を前にしてもヴェネットは怯まない。誰にでも平等に明るく接することが出来るのは彼の長所だ。
 しかしアルバートの方が上手で、ヴェネットの口元の緩みでよからぬ事を企んでいる事にいち早く気が付いた。

「——ゴウコン?」
「楽しくディナーするだけだよ!  相手はこの前仕事で一緒になった人達だ。春人も来るしどうだい?」

ヴェネットの予想通りアルバートは二つ返事とはいかなかった。しかし仕事の話を出せば別、更にもう一人の相方の名前を出せば考え込むような顔をして「分かった」と快諾した。

「じゃ、今夜頼むよ!」

と、手を振ってはオフィスへ戻っていくヴェネット。

(久しぶりに会えるのか)

春人と職場が離れてから会うのは今日が初めてだ。
 その後、一緒に過ごせるだろうかと思案しているアルバートの背中を誰かが叩く。

「よお」
「赤澤さん。お疲れ様」

回りを見渡す赤澤とアルバートがいる廊下には人の気配はしない。それを確認し赤澤が重たく口を開いた。

「研修の件ありがとよ。一人手が空いている分、助かってる。あと……」
「ん?」

眉間に皺を寄せ、小さく唸りながら赤澤が瞳をウロチョロさせる。そして唸る声より小さく「月嶋は?」と聞いてきた。

「ああ。上手くいったよ」
「あーそう。おめでとさん……いや、まじでめでたい」

素直に喜ぶのを恥ずかしがる男は頭をガシガシと掻くが、その口元は微笑んでいた。

「ちゃんと会ってんのか?」
「今日会う予定だ」
「そうか。ここと門司支社じゃ遠いからな。大変だろ?」

赤澤も長距離通勤になっている為、妻との時間が確保できていなかった。

「あっちまで会いに行くのか?」
「今日はこっちで一緒にゴウコンに行く」
「はああああ?!」

突如声を上げた赤澤にアルバートも肩を震わせた。

「お前、合コンに行くのか?! 月嶋と?!」
「あぁ。何か変なのだろうか?」

あっけらかんというアルバートのいたく真面目な瞳。その色の違う瞳に赤澤は何かを悟った。

「……一応確認するけど、合コンの意味知ってる?」
「取引相手と楽しくディナー」

赤澤が膝に手をついてため息を吐いた。

「合コンていうのはな、男女が出会いを求めてする飲み会だよ」

アルバートの眉間に皺が寄る。

「付き合いたてのお前らには無縁中の無縁。しかも2人揃って行くなんておかしな話だろ。誰主催だ」
「私はジョシュアから聞いた」

赤澤は必然的に門司支社にいる天然パーマの村崎の部下を連想した。

「とりあえず、そのゴウコンというのは、私や春人には無縁の物のようだな」
「たぶん松田が何か絡んでいるな」
「困ったな。もう予約してしまっているというし。相手は仕事関係だと聞く」
「ドタキャンは、酷だな……よし、俺に任せろ」
「?」
「その代り、この前の件はチャラだ」
「この前?」
「あれだよ……会議室で月嶋の胸座掴んだ……ああ、もう! 俺のお節介で色々やらかしたやつだよ!」

 まだ門司支社勤務の頃、村崎と春人が会議室で二人きりになっている──また、手を出していると勘違いした赤澤が会議室に特攻をかけたあの日だ。

借りを作るのが大嫌いな男・赤澤はあの日の失態をずっと気にしていた。それを挽回する為に考えた作戦にアルバートは乗る事にした。
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