こいじまい。 -Ep.the British-

ベンジャミン・スミス

文字の大きさ
37 / 112
第五章 Japanese Culture

第四話 家族

しおりを挟む
 その後、細かい日程調整をして、どうにか2日間だけ合わせる事ができた。両親の希望で大分県へ行くことになり、春人とアルバートにとっても初めての旅行となる。
 移動手段は車で、日本で運転資格のないアルバートに代わり、春人が運転をかってでた。車は松田さんが貸してくれ、車を取りに行った時「彼女と別れたから、月嶋とゴールデンウィークを楽しんで来い」と寂し気にフロントガラスを撫でていたのを目撃してしまった。

(相手が恋人なのは黙っておこう)

 そしてそのままアルバートと福岡空港へ向かい、到着ロビーでその時を待った。

「緊張している?」
「うん。まだ僕が恋人ってことは知らないんだよね?」
「ああ。気がついているだろうがね。」
「そっか」

空港は混雑していた。旅行客に加え、大きなトランク、走り回る子ども。ガイドの旗があちこちで上がり、その役目を果たしていた。
春人も背の高いアルバートのお陰でなんとかはぐれずにすんだ。混雑のせいで、飛行機は既に到着しているのに、なかなか両親はやって来ない。

「大丈夫かな?」
「大丈夫だ。日本に来るのは初めてじゃない」

 日本語講師のアルバートの両親、来日は今回で5回目だそうだ。
 到着ロビーで待つ事30分。

「あっ!」

思わず声を上げてしまった。
出口からアルバートの両親と思わしき人が出てきたからだ。事前に写真も見せて貰ってはいないのに分かる。

「あの人たちでしょ?!」
「よく分かったね」
「お父さんそっくりだね。ダンディーの更にダンディーだ!」

春人の視界にはどう考えてもアルバートの父親らしき人物がいた。プラチナブロンドに顔の骨格やパーツはアルバートそのもの。皺は深くアルバートが年をとったらあんな感じだと思わせるような人だ。紳士さに一層磨きがかかっている。
アルバートが軽く手を振り、両親を出迎える。久しぶりに対面した家族は外国流の挨拶で再会を喜んでいた。

(おお、アルバートが2人いるみたいだ!)

遠くから見れば2人のアルバートが抱き合っているように見える。
 そして2人のアルバートの横には母親がいた。色素の薄いブラウンの髪を肩で整えていて、優しそうか面立ち、身長は春人と同じくらいだ。
 再会の挨拶を済ませたアルバートが春人を引き寄せる。

「春人、父と母だ。日本語で構わないよ」

 見とれて呆けていた脳が固まる。6つの水色の視線が集中し、最初の言葉に詰まる。

「は、初めまして! 月嶋春人です! アルバートさんの研修担当をしています! よろしくお願いします!」
「こんにちは、春人、ジェームズ・ミラーだ。こっちは妻のエミリー」

渋い声。春人が年配の人をハンサムだと思ったのは初めてだ。

「え、えーと……キスしたらいいのかな?」

とぎこちなく手を広げアルバートに助けを求める姿は少し間抜けだ。恋人の両親の文化に合わせようとする春人の気持ちは伝わり、2人は優しく抱きしめ返し、頬にキスをしてくれた。

(くすぐったいな)

 向こうからすれば普通の事でも、春人からすれば受け入れられたと勘違いしてしまうくらい挨拶の成功は大きかった。

「では、行こうか」

とアルバートの声でようやく混雑していた空港を後にする。「大丈夫かい?」と駐車場に行く間声をかけてくれたアルバート。

「大丈夫。もっと楽しんでもらえるように頑張らないと!」
「……本当に君は可愛いね」
「ちょっ‼ 親に聞こえたらどうするの?!」

慌てて後ろを確認したが、2人はキスをしていた。

「?!」
「いつものことだよ」
「言っとくけど僕には駄目だからね! キスは部屋で2人きりの時にこっそりと!」

アルバートから意味深な視線を感じ取り慌てて回避しようとする。

「むっつりだな」
「そんな言葉どこで覚えたの! もう!」

とアルバートを小突き車のキーを探す。
その様子を後ろの2人が微笑んで見ていた事には気が付かなかった。
 
 松田に借りた車は高速道路に乗り、大分県を目指した。およそ2時間の旅路だ。
 助手席に乗ったアルバートが家族と会話を楽しむ。

「ラクサスは元気?」

3人は春人の為に日本語で会話してくれていた。しかし、車内では運転と緊張で会話に入る事は出来ず、耳を傾けるのみだった。

「元気だ。勉強に励んでいるよ」
「羨ましがられなかった? 日本に行くって言ったら」
「言ってないのよ!」
「えっ?」
「大丈夫よ、置き手紙を置いてきたから」

 ミラー家は自由な家族だった。各々好きな事を楽しみ人生を謳歌しているというのが会話から伝わる。
そして話も尽きぬまま、目的地へと到着した。エミリーが大分県の有名所、地獄めぐりの看板の前ではしゃいでいる。

「これに行ってみたくてね!」

 所々に立っている鬼の像を春人はエミリーの横で見上げた。

「鬼だ」「春人も初めてなの?」「はい! 僕、日本でも北の方が実家なんです」

真っ赤な「血の池地獄」や水色の「海地獄」、湯気が昇るそれを堪能しているうちに、春人とエミリーは仲良くなっていく。

「春人、こっちこっち!」
「はあい!」
「あのマイペースさんたちは置いてっちゃいましょ! 本当に顔も中身もそっくりなんだから!」


はしゃぐ2人をそっくりな男たちが煙に巻かれないように追いかける。そんな感じで観光地を巡った。
アルバートは時折煙の隙間から見える春人の笑顔に、彼の緊張も溶けてしまったと安心する。

「アル」
「ん?」

ジェームズが英語で話しかける。先の2人には聞こえない声量に、アルバートも気を遣い肩を寄せた。

「いい子だな」
「春人かい?」
「ああ。……そういうことなんだな?」

ジェームズの投げかけに彼と同じ低さで「そうだね」と答える。
 そっくりな我が子に、身体を温めてくれるような吐息を吐き出すジェームズ。

「そうか、よかったよ。お前が私達家族に負い目を感じてこのまま恋人を紹介してくれないのではと思っていたのだ」
「そんなことは……」
「何もいうな。お前が幸せそうでよかった。母さんなんて春人に会うのを本当に心待ちにしていてね。飛行機の中で寝かせてもらえなかったよ」
「相変わらずだね、母さんは」

きっと誰よりも息子のことで悩んだであろう母の楽しそうな表情を見つめる。

「母さんも、お前も春人も幸せそうな顔をしている。特に春人の笑顔は格別だ。なかなかあんな素敵な笑顔に出会えるものじゃないぞ?」

アルバートは父に恋人を褒めてもらえて、嬉しさのあまり頬が緩んでしまった。

「無論知っている。春人の笑顔は格別だ」

——この笑顔を守っていきたい。その気持ちが下した決断を伝えるのは今日だった。
 しかし、まだ早い。

「それにしても、日本人は童顔だね! 春人はかなり若く見えるよ」
「春人は若いよ。今年で23歳だ」
「?!」

息子が同性愛者とカミングアウトした時より驚いた顔をしていたジェームズをアルバートは一生忘れないだろうなと思った。

「何しているのー?」

とエミリーが呼ぶ声でハッとなり、「今行くよ!」とジェームズは愛する妻の元へ、アルバートも愛する男の元へと早足で向かった。


◇        ◇      ◇


 その日は大分県で一泊する予定になっていた。普段ならなかなか泊まれないような純和風な旅館に、到着して直ぐに春人は焦り始めた。

「ちょっと、アル! やっぱり僕も払うよ!」
「結構だ」
「で、でも!!」

受付を楽しそうにしているミラー夫婦の後ろで小声で話す。
 実はここの代金はアルバートが全部持っている。

「運転じゃ割に合わないって!」
「そんなことはない」
「でも! あっ、すみません!」

受付を済ませたジェームズが部屋の鍵を差し出してきたので会話が中断する。
その手にはもう1本握られていた。そして夫妻の隣の部屋に案内される。
中は和室で、窓からは温泉街が一望できた。

「部屋、別々なんだ。一緒でもよかったのに」
「そこは、色々事情があってだな」
「?」
「しかし、食事は一緒だ。構わないかい?」
「うん! もちろん!」

 直ぐに夕食の時間となりお風呂は諦め、2人は隣の部屋へと向かった。部屋を出る前に緊張した面持ちのアルバートが春人を抱きしめる。少し震える手に「大丈夫だよ」と2回甲を叩く。上から長い深呼吸が聞こえ「ありがとう。君は何も言わなくていいから。今日は大切な日だ。私に任せてほしい」と掠れた声が返ってきた。

「うん」

と、もう一度手の甲を撫で部屋を出た。
 懐石料理に舌鼓をうち春人はアルバートの幼少期の事を尋ねた。

「どんな子だったんですか?」
「昔から大人しかったわ。喧嘩したことないんじゃないかしら」
「君が知らないだけで私とアルバートは喧嘩をしたことがあるよ」
「あらそうなの?」
「1度仕事でクリスマスをすっぽかした時に散々言われたよ」
「ふふふ。それは喧嘩じゃなくて貴方が怒られただけじゃないの?」
「そうとも言うな。私が食べられなかった母さんの料理の美味しさを自慢されて、私も言い返した気がする」
「まぁ大人気ない。」
「アルバートらしいや!」

 思い出に花を咲かせるも、微笑むアルバートの口数は少ない。それをカバーするように春人は一番喋った。
 そして……

「箸まで食べちゃうほど美味しかったわ。それにたくさん話せて楽しかった」
「君は本当にいつまでもお喋りさんだね」
「あら、そんなこと言うとまたアルバートに怒られちゃうわよ。ほら……アル?」

エミリーがアルバートの異変に気がつく。父を咎める訳でもないその表情は今まで1度しか見たことがない──同性愛者とカミングアウトした時しか。
 
「父さん、母さん」

黙っていたアルバートが震えた声で話し出す。部屋の空気が強ばり、食後に出てきたコーヒーの黒い水面も張りつめた。

「家族旅行を楽しんでいるところ申し訳ない。でも今日はもう1つ目的があって……2人に話したい事があるのだ」

その目的が何か、ここにいる全員知っている。だが、アルバートが改めて言うものだから、春人も夫妻も緊張した。

「春人は……」

横に座る春人を見る。真っ直ぐに前を見据える漆黒の瞳は緊張で揺れるも、落ち着かせてくれるような輝きを纏っていた。若さを感じる濁りのないそれに後押しされるように、アルバートは両親と向き合った。

「とても魅力的で年も国籍の壁も壊してしまう男だ。私はそんな彼に惹かれた。笑顔も素敵で、こちらまで明るくしてくれる。今、こうして横に彼がいる事は私にとって夢のようなのだ」

端的なアルバートが今日に関しては話が長い。まとめてきたであろうに、突如言葉は暴れだし、永遠と春人の魅力を語っている。
 
「彼とこれからの人生を歩んでいこうと思っている。だから胸を張って言いたい——月嶋春人は私の恋人だ」

春人の心臓がドクンと高鳴る。まるで怒られる前の子どものように。しかし、夫妻の優しい笑顔で心臓が静まっていく。
優しい、優しい笑顔だった。アルバートだけではなく、春人のことも包み込むようなそんな笑顔を向けてくれていた。
その片方から涙が溢れる。

「貴方が、貴方達が幸せで、本当に良かったわ」

母エミリーの一言にアルバートの緊張も溶けていくのが分かる。
アルバートの決死の告白に対し交わした言葉はそれだけだった。それなのに、その一言で全てが受け入れられ、幸福に満ちた瞬間だった。

——ああ、これが家族なのだ。

 少ない言葉で通じ合う。
 誰かの幸せが、幸せ。
 イギリスでも日本でもなく……本当の帰る場所なのだ。 
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...