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第九章 The end
第三話 開花する孤独
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まだ咲き誇っている薔薇を1本取り胸に抱き締める。そのまま布団を被り、匂いが充満するその中で自分が口にしてしまった言葉を消そうと躍起になる。
手にした薔薇をアルバートと重ね、必死に謝った。
(アルバートは浮気なんてしない。僕の勘違いだったじゃないか。なのに……頑張ってるアルバートにそんな酷い事……)
棘が付いていればもっと冷静に慣れたかもしれない。しかし綺麗な茎は冷たく、皮膚を通じて伝わるそれが更にアルバートの冷たい手と重なる。
(アルは大人の対応ができるのに、どうして僕は出来ないんだ。佐久間さんの時だって、僕を信じてくれていたのに……)
本当はプライドでアルバートが色々な感情を隠しているのに、それに気が付いていない春人。そして自身も年上の彼に背伸びして隠している感情が沢山ある。
だが、最近それは本人おかまいなしに暴れようとする。
口から漏れ出そうになる本音。
アルバート本人に抱かれたいという欲望。
布団の中に充満した香りが、春人の欲望を刺激してくる。
「……」
手だけを布団から出す。手探りで蛇の様に進み、あれが入っている引き出しを開ける。
手首を器用に折り曲げ中を物色し、自慰に使用する玩具を探した。
(今日はこっちにしよう)
アナルパールだけだった玩具はもう一つ増えていた。今日手にしたのはもう一つの方——男性器型の玩具だ。
柔らかい素材で大きさはアルバートに及ばないものの、これで我慢していた。
人の熱を持たぬそれを秘部にあてがう。まだ入らないのに、無理矢理グリグリと押し込んだ。
「んっ」
薔薇の匂いを吸い込み、一気に挿入する。
「はぁッ、んッ」
脳が錯覚を起こし、アルバートとヤっている気分にさせてくれる。
布団の温もりは彼の温もり、性器型の玩具に、彼と同じ薔薇の匂い。寂しさで感覚がマヒしている春人には最高のご褒美だった。
「アル……気持ちいいよ……お願い、僕の中に出して……」
中出しは絶対にしないアルバートも、妄想なら別だ。
春人は過激な妄想を瞼の裏で繰り広げる。
*
アルバートは重たい瞼を上げた。
「おはよう兄さん」
パソコンを腹部に乗せたままソファーで眠ってしまっていたアルバートの上にラクサスの顔が現れる。
仕事をしたまま眠り朝を迎えたようだ。
「お腹空いたー」
自身の若いころにそっくりな弟は恋人と同じ年齢。しかし圧倒的に精神年齢が低く、兄に何事も頼りがちである。
昨日も、ここに来ては「日本語の勉強!」と言い張って書斎で書籍を漁っていた。結局早々に音をあげ、アルバートへ縋りついてきた。少しだけ教えて後は本人に任せ、仕事にとりかかった。それに対し「寂しい」「構ってくれ」と言葉を投げかけたという事は、そもそもここへは勉強ではなく遊びに来ているという事は簡単に想像できた。
それだけ家族とも時間が取れていない。諦めて帰ったと思っていたが、ラクサスはまだ家にいた。
「帰ったのではないのか? 大学は?」
語学系の院に通っているラクサスが伸びをする。
「いや、泊まった。学校は休みだよ。曜日感覚が麻痺している兄さんこそまだ仕事? そんなに仕事していると春人に愛想着かされるよ」
春人から来たチョコレートの箱をあけ、1つ摘まみあげ食べようとする。最後の1つだ。
「昨日1つあげただろ? 君が撮った写真を貰う事を交換条件に」
その手首を掴み、眉間に皺を寄せると「冗談だよ!」とアルバートの口に押し付けた。
咥内の熱で溶けるチョコレートの味は懐かしい気がして、日本にいる春人に会いたくなってしまう。
そしてその彼をほぼ放置した状態で仕事に没頭している自分がいる。
「……」
「図星? やっぱりこの前電話切れたのって……」
「違う。あれは春人がラクサスとの時間を大切にするよう気を遣ってくれただけだ。ちゃんと連絡もその後貰った」
嘘だ。あれから連絡など一通も来ていない。
「ふう」
「重たい溜息なんかついちゃって。心配なら早く日本に行きなよ。俺だって兄さんに会えていなくて無理矢理家に押しかけているんだから春人はもっと寂しいと思うよ」
「大丈夫だ。3月には必ず行く」
「もとはいつ行く予定だったの?」
「12月」
「それは最悪だね。あんな黒髪のキュートボーイを待たせるなんて」
「……何故君が春人の容姿を知っている」
「それは……ほら……」
ラクサスは床に転がるスマートフォンを楽し気に指さした。
「待ち受け画面にしちゃうくらい愛しているなら尚更手放せないでしょ? もし春人に別れを告げられたらどうするの?」
「……」
「もしくは寂しくて浮気しちゃうとか? 毎日連絡してる?」
「……」
「さっきからどうして黙っているのさ! それにいつになったら俺とおしゃべりしてくれるの?!」
アルバートの肩を揺さぶるラクサスに、疲労困憊の脳が揺れる。
「はあ。まだこの仕事が終わっていないのだ」
「早く終わらせて!」
腰に手を当て仁王立ちするラクサスはとても我儘だ。しかし意見や要望をはっきり言う面は高く評価している。
「……君の我儘を少し春人に分けたらどうだ」
「春人は我儘言わないの?」
「言わない」
「……我慢してるんじゃないの? 年上と付き合っているんだからそうなっちゃうか……」
「……」
「また黙る! 兄さんこそもしかして春人の前で何も言わないの?!」
「それは私の方が大人なのだから……」
「はいはい。恋人を待ち受け画面にしている42歳なんて見た事ありません! あのね、1つ言っていいかな?」
「言わなくても分かっている」
掌を向けられ、今度はラクサスが黙る番だった。
弟が何を言いたいかは分かっている。それは遠距離恋愛を始めてアルバートが常々感じていた事。改善したくても己のプライドが邪魔をして改善できないもの。
「私と春人は……」
——決定的に言葉が足りていない
いつも本音が言えない唇をなぞる。チョコレートの味はもうしない。
*
唇に張り付いた薔薇の花弁がはらりと舞い落ちる。
「……最悪」
目が覚めたら真っ暗だった。部屋は勿論、布団の中にいるせいでそれは余計だ。気怠い身体でフラフラと電気を探す。
点灯後、部屋を見渡すと、ベッドだけが大惨事になっていた。
握りしめた薔薇は花びらが散り、精液塗れになっている。その横に転がる玩具は薔薇と相反する見た目に申し訳なさそうにシーツに沈んでいた。
「どうかしてる。きっとおかしくなっちゃったんだ」
射精後のすっきりとした脳内が、自慰をする前の自分を責め立てる。
恋人を想像するならまだしも、恋人を重ねた花と共に行為にふけるなど、危ない香りがする。
サッと汚れた薔薇を処理し、脳をリセットするかのように籠で咲き乱れる薔薇に鼻を近づける。いつものアルバートの香りだ。
(せっかくの贈り物でこんなことをしているなんてバレたら幻滅される)
しかし、薔薇を使った行為の味をしめた春人は毎日それを繰り返した。籠から消えた薔薇の本数が、脳内でアルバートが春人を犯した回数。
休みの日は無数の花びらが舞い、春人もまたベッドの上で悲壮感と虚無感に散っていった。
そして散った花びらに反して、訪れようとしている春。
寂しさの花の蕾も震える3月に1本の電話がかかってきた。
それがいよいよ負の花を開花させてしまう。
『春人、3月中頃に日本へ行く』
「……」
(嬉しいはずなのに喜べない。それは本当なの?)
『やっと君に会える。嬉しくて堪らないよ。日付と飛行機の時間だが……』
(でもどうせまた別れが来る。もう空港であんな気持ちにはなりたくない)
いつも空港での別れ際、感情を押し込み破裂しそうな胸は痛いという単語で表せるレベルではない。それなのに、見送りに行き、飛行機が飛び立つ姿まで見てしまう。
嫌なのに止められない。ギリギリまで恋人を見ていたい。しかし目の前で繰り広げられる別離に心は壊れていくばかり——一緒に過ごした時間だけ、酸素を吸い取られているようだ。
(もう……)
「ねえ」
もう春人の我慢は限界を迎えていた。
そして生を宿していない瞳が落胆の色に染まり、気が付けば機械的に口が開いていた。
そして……
「もう、会いたくない」
そのあまりにも低い声はアルバートですら怯えさせた。
手にした薔薇をアルバートと重ね、必死に謝った。
(アルバートは浮気なんてしない。僕の勘違いだったじゃないか。なのに……頑張ってるアルバートにそんな酷い事……)
棘が付いていればもっと冷静に慣れたかもしれない。しかし綺麗な茎は冷たく、皮膚を通じて伝わるそれが更にアルバートの冷たい手と重なる。
(アルは大人の対応ができるのに、どうして僕は出来ないんだ。佐久間さんの時だって、僕を信じてくれていたのに……)
本当はプライドでアルバートが色々な感情を隠しているのに、それに気が付いていない春人。そして自身も年上の彼に背伸びして隠している感情が沢山ある。
だが、最近それは本人おかまいなしに暴れようとする。
口から漏れ出そうになる本音。
アルバート本人に抱かれたいという欲望。
布団の中に充満した香りが、春人の欲望を刺激してくる。
「……」
手だけを布団から出す。手探りで蛇の様に進み、あれが入っている引き出しを開ける。
手首を器用に折り曲げ中を物色し、自慰に使用する玩具を探した。
(今日はこっちにしよう)
アナルパールだけだった玩具はもう一つ増えていた。今日手にしたのはもう一つの方——男性器型の玩具だ。
柔らかい素材で大きさはアルバートに及ばないものの、これで我慢していた。
人の熱を持たぬそれを秘部にあてがう。まだ入らないのに、無理矢理グリグリと押し込んだ。
「んっ」
薔薇の匂いを吸い込み、一気に挿入する。
「はぁッ、んッ」
脳が錯覚を起こし、アルバートとヤっている気分にさせてくれる。
布団の温もりは彼の温もり、性器型の玩具に、彼と同じ薔薇の匂い。寂しさで感覚がマヒしている春人には最高のご褒美だった。
「アル……気持ちいいよ……お願い、僕の中に出して……」
中出しは絶対にしないアルバートも、妄想なら別だ。
春人は過激な妄想を瞼の裏で繰り広げる。
*
アルバートは重たい瞼を上げた。
「おはよう兄さん」
パソコンを腹部に乗せたままソファーで眠ってしまっていたアルバートの上にラクサスの顔が現れる。
仕事をしたまま眠り朝を迎えたようだ。
「お腹空いたー」
自身の若いころにそっくりな弟は恋人と同じ年齢。しかし圧倒的に精神年齢が低く、兄に何事も頼りがちである。
昨日も、ここに来ては「日本語の勉強!」と言い張って書斎で書籍を漁っていた。結局早々に音をあげ、アルバートへ縋りついてきた。少しだけ教えて後は本人に任せ、仕事にとりかかった。それに対し「寂しい」「構ってくれ」と言葉を投げかけたという事は、そもそもここへは勉強ではなく遊びに来ているという事は簡単に想像できた。
それだけ家族とも時間が取れていない。諦めて帰ったと思っていたが、ラクサスはまだ家にいた。
「帰ったのではないのか? 大学は?」
語学系の院に通っているラクサスが伸びをする。
「いや、泊まった。学校は休みだよ。曜日感覚が麻痺している兄さんこそまだ仕事? そんなに仕事していると春人に愛想着かされるよ」
春人から来たチョコレートの箱をあけ、1つ摘まみあげ食べようとする。最後の1つだ。
「昨日1つあげただろ? 君が撮った写真を貰う事を交換条件に」
その手首を掴み、眉間に皺を寄せると「冗談だよ!」とアルバートの口に押し付けた。
咥内の熱で溶けるチョコレートの味は懐かしい気がして、日本にいる春人に会いたくなってしまう。
そしてその彼をほぼ放置した状態で仕事に没頭している自分がいる。
「……」
「図星? やっぱりこの前電話切れたのって……」
「違う。あれは春人がラクサスとの時間を大切にするよう気を遣ってくれただけだ。ちゃんと連絡もその後貰った」
嘘だ。あれから連絡など一通も来ていない。
「ふう」
「重たい溜息なんかついちゃって。心配なら早く日本に行きなよ。俺だって兄さんに会えていなくて無理矢理家に押しかけているんだから春人はもっと寂しいと思うよ」
「大丈夫だ。3月には必ず行く」
「もとはいつ行く予定だったの?」
「12月」
「それは最悪だね。あんな黒髪のキュートボーイを待たせるなんて」
「……何故君が春人の容姿を知っている」
「それは……ほら……」
ラクサスは床に転がるスマートフォンを楽し気に指さした。
「待ち受け画面にしちゃうくらい愛しているなら尚更手放せないでしょ? もし春人に別れを告げられたらどうするの?」
「……」
「もしくは寂しくて浮気しちゃうとか? 毎日連絡してる?」
「……」
「さっきからどうして黙っているのさ! それにいつになったら俺とおしゃべりしてくれるの?!」
アルバートの肩を揺さぶるラクサスに、疲労困憊の脳が揺れる。
「はあ。まだこの仕事が終わっていないのだ」
「早く終わらせて!」
腰に手を当て仁王立ちするラクサスはとても我儘だ。しかし意見や要望をはっきり言う面は高く評価している。
「……君の我儘を少し春人に分けたらどうだ」
「春人は我儘言わないの?」
「言わない」
「……我慢してるんじゃないの? 年上と付き合っているんだからそうなっちゃうか……」
「……」
「また黙る! 兄さんこそもしかして春人の前で何も言わないの?!」
「それは私の方が大人なのだから……」
「はいはい。恋人を待ち受け画面にしている42歳なんて見た事ありません! あのね、1つ言っていいかな?」
「言わなくても分かっている」
掌を向けられ、今度はラクサスが黙る番だった。
弟が何を言いたいかは分かっている。それは遠距離恋愛を始めてアルバートが常々感じていた事。改善したくても己のプライドが邪魔をして改善できないもの。
「私と春人は……」
——決定的に言葉が足りていない
いつも本音が言えない唇をなぞる。チョコレートの味はもうしない。
*
唇に張り付いた薔薇の花弁がはらりと舞い落ちる。
「……最悪」
目が覚めたら真っ暗だった。部屋は勿論、布団の中にいるせいでそれは余計だ。気怠い身体でフラフラと電気を探す。
点灯後、部屋を見渡すと、ベッドだけが大惨事になっていた。
握りしめた薔薇は花びらが散り、精液塗れになっている。その横に転がる玩具は薔薇と相反する見た目に申し訳なさそうにシーツに沈んでいた。
「どうかしてる。きっとおかしくなっちゃったんだ」
射精後のすっきりとした脳内が、自慰をする前の自分を責め立てる。
恋人を想像するならまだしも、恋人を重ねた花と共に行為にふけるなど、危ない香りがする。
サッと汚れた薔薇を処理し、脳をリセットするかのように籠で咲き乱れる薔薇に鼻を近づける。いつものアルバートの香りだ。
(せっかくの贈り物でこんなことをしているなんてバレたら幻滅される)
しかし、薔薇を使った行為の味をしめた春人は毎日それを繰り返した。籠から消えた薔薇の本数が、脳内でアルバートが春人を犯した回数。
休みの日は無数の花びらが舞い、春人もまたベッドの上で悲壮感と虚無感に散っていった。
そして散った花びらに反して、訪れようとしている春。
寂しさの花の蕾も震える3月に1本の電話がかかってきた。
それがいよいよ負の花を開花させてしまう。
『春人、3月中頃に日本へ行く』
「……」
(嬉しいはずなのに喜べない。それは本当なの?)
『やっと君に会える。嬉しくて堪らないよ。日付と飛行機の時間だが……』
(でもどうせまた別れが来る。もう空港であんな気持ちにはなりたくない)
いつも空港での別れ際、感情を押し込み破裂しそうな胸は痛いという単語で表せるレベルではない。それなのに、見送りに行き、飛行機が飛び立つ姿まで見てしまう。
嫌なのに止められない。ギリギリまで恋人を見ていたい。しかし目の前で繰り広げられる別離に心は壊れていくばかり——一緒に過ごした時間だけ、酸素を吸い取られているようだ。
(もう……)
「ねえ」
もう春人の我慢は限界を迎えていた。
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(5月14日より連載開始)
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