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終章
最終話
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『20話目・スローライフと私 / 更楽茄子』
「えっと、社交性を32.0%まで─────施錠 (概念)」
私の中でカチャリと音がして、開け放っていた社交性が閉じた……気がした。
全てキラキラに見えていた周囲が、いつもの様に少しだけどんよりとした雰囲気に戻ってゆく。
それに合わせて元の世界の人の顔が頭に浮かぶ。
─────私が通う学校のクラスメイトたちの顔
─────私のクラスの担任の先生の顔
─────私の両親の顔
………胸がズキンと痛んだ気がした。
社交性を開錠したら普通に他人と話せる様になるものの、根本的な自分までは変わらない様で、なんとも言えないモヤモヤがずっと心に溜まっていっている気がして、それがすごいストレスに感じていた。
なので、魔王と話もつけた事だし、今まで通りの内向的な自分にまず戻そうと思ったのだった。
ちなみに、『施錠 (事象)』や『施錠 (概念)』は、普通の施錠の様にレベル毎に外せる種類が増える訳でなく、開ける割合を設定できる様になる仕様だった。
Lv1だと開ける閉めるしかなかった選択肢が、Lv3くらいから4段階に、さらにLv7で10段階と細かく設定できる様になり、Lv10になった今では小数点第一位まで細かく設定できる様になったのだ。
まぁ、そこまで細かく設定する必要性も感じないんだけど、仕様だったら仕方ないよね?。
私は一度この世界で一番大きな街に向かい、言っていた通り5重の魔法壁で囲んだ上で、その中の時間の流れを『施錠 (概念)』で止めた上で、転移してきた最初の街を目指して馬を走らせた。
「─────女神さま、ただいまー」
『あらぁ?。ユキナさん戻ってきたんですかぁ?』
「うん、外は面倒だし、他の人が何とかするまで、私はここでのんびり過ごすよ。レベル2の鍵師だしね」
『そうですかぁ。戦いに向き不向きありますからぁ、仕方ないですねぇ。私が連れてきちゃったせいでぇ…』
申し訳なさそうな声が響いた。
『お呼びした方ももぉ残りが5人しかいなくなっちゃってぇ、力が戻ったら新しく召喚しようかなと思ってるんですよぉ』
(…まぁ、よっぽどな人は私が止めればいい、かな?。女神様、私が世界の破壊を食い止める抑止力にはなるから、それで勘弁してね)
「いいんじゃないかな?。早く世界が平和になるといいね」
『そうですねぇ、皆さんの頑張りで世界の破壊はとりあえず止まってるみたいですしぃ、今度新しい方呼んでみますねぇ』
「うん、がんばれ女神さま。あと、お腹すいたので食事をお願い」
『はいー。ちょっと待ってくださいねぇ』
食事はある、便利な風呂もある、ベッドもある。
ゴロゴロ過ごすのはこれ以上の無い環境がある。
元の世界みたいにネットはないけれど、その代わり煩わしい人間関係もない。
暇と天秤にかければ、どう考えても暇な方が快適に決まっている。
それに暇は……たまに魔王ちゃんに遊んでもらえば大丈夫だしね。
机に現れた簡単な食事を摂ると、ご馳走様と手を合わせる。
それからとりあえず、私はふかふかのベットに飛び込んだ。
~Fin~
「えっと、社交性を32.0%まで─────施錠 (概念)」
私の中でカチャリと音がして、開け放っていた社交性が閉じた……気がした。
全てキラキラに見えていた周囲が、いつもの様に少しだけどんよりとした雰囲気に戻ってゆく。
それに合わせて元の世界の人の顔が頭に浮かぶ。
─────私が通う学校のクラスメイトたちの顔
─────私のクラスの担任の先生の顔
─────私の両親の顔
………胸がズキンと痛んだ気がした。
社交性を開錠したら普通に他人と話せる様になるものの、根本的な自分までは変わらない様で、なんとも言えないモヤモヤがずっと心に溜まっていっている気がして、それがすごいストレスに感じていた。
なので、魔王と話もつけた事だし、今まで通りの内向的な自分にまず戻そうと思ったのだった。
ちなみに、『施錠 (事象)』や『施錠 (概念)』は、普通の施錠の様にレベル毎に外せる種類が増える訳でなく、開ける割合を設定できる様になる仕様だった。
Lv1だと開ける閉めるしかなかった選択肢が、Lv3くらいから4段階に、さらにLv7で10段階と細かく設定できる様になり、Lv10になった今では小数点第一位まで細かく設定できる様になったのだ。
まぁ、そこまで細かく設定する必要性も感じないんだけど、仕様だったら仕方ないよね?。
私は一度この世界で一番大きな街に向かい、言っていた通り5重の魔法壁で囲んだ上で、その中の時間の流れを『施錠 (概念)』で止めた上で、転移してきた最初の街を目指して馬を走らせた。
「─────女神さま、ただいまー」
『あらぁ?。ユキナさん戻ってきたんですかぁ?』
「うん、外は面倒だし、他の人が何とかするまで、私はここでのんびり過ごすよ。レベル2の鍵師だしね」
『そうですかぁ。戦いに向き不向きありますからぁ、仕方ないですねぇ。私が連れてきちゃったせいでぇ…』
申し訳なさそうな声が響いた。
『お呼びした方ももぉ残りが5人しかいなくなっちゃってぇ、力が戻ったら新しく召喚しようかなと思ってるんですよぉ』
(…まぁ、よっぽどな人は私が止めればいい、かな?。女神様、私が世界の破壊を食い止める抑止力にはなるから、それで勘弁してね)
「いいんじゃないかな?。早く世界が平和になるといいね」
『そうですねぇ、皆さんの頑張りで世界の破壊はとりあえず止まってるみたいですしぃ、今度新しい方呼んでみますねぇ』
「うん、がんばれ女神さま。あと、お腹すいたので食事をお願い」
『はいー。ちょっと待ってくださいねぇ』
食事はある、便利な風呂もある、ベッドもある。
ゴロゴロ過ごすのはこれ以上の無い環境がある。
元の世界みたいにネットはないけれど、その代わり煩わしい人間関係もない。
暇と天秤にかければ、どう考えても暇な方が快適に決まっている。
それに暇は……たまに魔王ちゃんに遊んでもらえば大丈夫だしね。
机に現れた簡単な食事を摂ると、ご馳走様と手を合わせる。
それからとりあえず、私はふかふかのベットに飛び込んだ。
~Fin~
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