無口な魔法学生の昼寝場所

Ryo

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第1章

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 学院の敷地内にある学生寮からは、歩いて10分ほどで教室にまで辿り着ける。


 その頃には、女生徒の数も20人ほど増えていた。他の関係のない生徒には、申し訳ないことだと思う。

 何故わざわざ自分の周囲で騒ぐのか一向に理解できていないが、それも後少しの我慢だ。


 教室に着けば、さすがに他クラスの生徒は渋々己の教室へと帰っていく。

 しかし、今度はクラスの女生徒がブラッドの席を取り囲んだ。



「おはよう、ブラッド君!」

「今日もカッコいいね! 素敵!」

「ねぇ、ブラッド。放課後に遊ぼ? もちろん、2人っきりで♡」



 好き勝手に話し始めた女生徒の言葉も、ブラッドには全く届いていない。もう聞く気力もない。


 特にブラッドから反応がなかろうが気にすることなく喋り続ける彼女たちは、始業のチャイムと共に名残惜しそうにチラチラと振り返りながら自分の席へと向かった。


 授業が始まれば、周囲で騒がれることはない。


 しかし、すでに履修済みの授業を真面目に受けるのも面倒だ。


 最初の頃は机に伏して寝ようとしていたのだが、何やら視線が集まり女生徒たちが小声で騒ぐという器用なことをしながら。



「きゃっ! ブラッド君、寝顔も綺麗!」

「睫毛なっが! 肌きれー!」

「唇も細くて、アレにチューされたい!」



 などと言っていたのが聞こえたので、何となく寒気がして教室で寝るのは止めようと誓った。


 最近は持ち込んだ本を気ままに読んで時間を潰すか、ただボーッと窓の外を眺めるかして過ごしている。


 そんな態度のブラッドに、教師にも反感を覚えた者はいたが、指名して質問しても完璧に答えてみせ、さらに女生徒が過剰に喜んで騒ぐので、今は見て見ぬふりをしていた。
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