男装麗嬢の麗しき日常

Ryo

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男装麗嬢の麗しき日常

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 太陽の光を浴びる姿とは違う、月の光を纏う神樹ユグドラ。

 ユグドラ王国の象徴といえる神樹が見える部屋にて、第二王子アイザックと第一王女ベアトリスがワインを飲んでいた。



「ふふ。ついに明後日ね、お兄様」

「あぁ……彼女は喜んでくれただろうか」



 楽しげなベアトリスに対し、不安げなアイザック。会話はもちろん、ローズワイスの麗嬢について。

 アイザック、ベアトリス、そしてローズワイス公爵夫人を交えて議論し合ったドレスは、すでに完成品としてアレクサンドラのもとへ届けられている。


 そのドレスを纏った姿を見ることができる夜会がついに2日後に迫り、作戦会議と称して兄妹は集っていた。



「相変わらずアレックスは『女装』って言っていますわ」

「女装……まぁ、彼女にとってはそうなのかもしれないが……」

「夜会ではちゃんと、女性として扱ってあげてくださいませ」

「もちろんだ。私はずっと、彼女を女性として想っているのだから」

「ふふ、男性にここまで想ってもらえるなんて、女性としては羨ましい限りです」

「そういうお前も、ジーンをエスコートに選んだのだろう? どうなんだ、そっちは」



 仲の良い兄妹は、仲良く同じ家系の姉弟を想っていた。むしろ、だからこそ仲が良かった。

 アイザックがアレクサンドラをを好いているように、ベアトリスはユージーンを好いている。


 お互いの近衛を狙っている2人は、こうして度々2人だけでコソコソと情報交換をしているのだ。

 それは仲が良くなるものである。


 グラスを傾けながら問うアイザックに、嬉しそうにベアトリスは頷いた。



「『アレックスとお兄様を2人きりにしたいから、その間の警護を頼みたい』といえば、快く引き受けていただけましたわ。作戦通りね」

「真面目なジーンらしいな」



 いくら自分達が仕組んだ作戦とはいえ、真面目に仕事をしているローズワイス姉弟に、少々申し訳なく思うアイザック。


 それでも、他の誰かにアレクサンドラをエスコートを任せる気は一切ないが。

 それはベアトリスも同じく。



「楽しみね、お兄様」

「あぁ、そうだな」
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