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異世界召喚編
⒈
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寒さに悴んだ手に、ギュッと握り締めた一枚の紙。
吹いた風が冷たくて、マフラーに埋もれるように首を竦めた。少女が身に纏った制服のスカートがヒラヒラと揺れる。
周囲には同じように制服に身を包み、寒さに耐えながら立ち並ぶ人達。その手にも、同じように一枚の紙が握られている。
友人同士でおしゃべりしている男子生徒、親と共に不安げな顔をしている女子生徒、そして少女のように1人で待つ人も少なくない。
着ている制服も、似ているようで違う様々な種類が集っていて、まるで一体感がない。
その中で唯一、共通しているのは視線の先。そこには1枚の掲示板。
チラチラと、あるいは恐る恐る、あるいはジッと。
ただひたすらに、その瞬間を待ち続けていた。
少女が両手を口元に持っていき、息を吐きかける。ジンワリと暖かくなった手を、冷え切った頬に当てて温めた。
その時、居並ぶ少年少女の前方。掲示板に近いところから、ザワザワと騒がしくなった。
大きな紙を持った3名の大人が、ささっと掲示板へと歩み寄る。
数多の視線に見つめられながら、大人達は手慣れた様子で紙を貼り付けていく。その紙には数百はありそうな数字の羅列が記載されていた。
掲示された紙と手元の紙を交互に見て、集った少年達の反応は分かれる。
歓喜に涙する者、友人同士で笑顔で手を取り合う者、ホッと安堵した様子の者。
悔しげに手元の紙を握り締める者、呆然と涙する者、どこか諦めの表情を浮かべている者。
それぞれの反応を浮かべ、場を後にする少年達。
少女もまた、慌てて駆けて行った。その手にはすでに紙はなく、スマホを手にどこかへ電話をかけようとしているようだ。
その顔に浮かんでいるのは、満面の笑み。
「あ! お母さん⁉︎ 受かった、受かったよっ!」
そう電話口に叫ぶ少女。通話先の女性は、安堵した様子の声を返す。
今日は何が食べたい? という女性の問いに、少女が喜色を浮かべ口を開く。
ーーしかし、その内容が相手に伝わることはなかった。
唐突に起こった光の爆発に、何事かと周囲の視線が集まる。
しかし、特に何かが壊れた様子もなく、これといった被害が目に見えなかった為に、注目は長く続かなかった。
何事もなかったかのように流れ出した空気の中、地面に通話状態のまま転がっているスマホ。
その持ち主の姿はどこにも見えず、ただ女性の心配した声がスマホから誰もいない空間に響いていく。
その日、1人の少女が世界から忽然と姿を消した。
**********
遠野美夜、18歳。
私は今、人生で最大級に怒っております。
念願の第一志望の大学に合格が決まり、遂に華の大学生、夢の大学生活を謳歌できると舞い上がっていた矢先。
合格祝いとしてお母さんに好物のホワイトシチューを希望しようとしたら、いきなり目の前がホワイトアウト。
視界が戻ると、そこは知らない建物の中だった。
状況についていけず固まっていると、周囲から聞こえた歓声にようやく他に人がいたことを認識する。
だけど……何故か、みんなが着ている服が古臭い。ボロっちいという意味じゃなくて、デザインが古いというか。
その中でも、ぱっと見で偉そうなおっさんが私の前に歩み寄ってくると、いきなり私の手を取った。
お父さんよりも年上、しかも知らないおっさんに手を握られ鳥肌が立ったのは言うまでもない。
「おぉ、貴女が巫女様! 見事な黒髪、黒い瞳、そして見たことのない衣装! まさに伝え通りのお姿!」
「み、みこさま……?」
「巫女様、どうか我らにお力をお貸しくだされ。勇者の旅に同行し、この世界をお救いくだされ」
「ゆうしゃ? せかい?」
明らかに外国人な見た目のおっさん。なんか日本語で話しているようだけど、ちょっと会話の中身が理解できなかった。
みこって、巫女? ゆうしゃは勇者だよね?
……え、良い歳してごっこ遊びか何か? 近くに鑑賞している子供でもいるのだろうか。
しかし、辺りを見渡しても変な格好をした大人の姿しかなく、残念ながら可愛い子供の姿は見えない。
じゃあ、何かの撮影とか? ドッキリ?
よく目を凝らして見ても、カメラの類は見当たらなかった。
そもそも、私はさっきまで大学から家に帰宅しているところだったはず。
こんな、石造りの建物に入ったような覚えはない。
……夢? 夢なのか?
うん、そうに違いない。頭の片隅に「異世界召喚」の文字がチラついた気がするけど、そんなはずはない。
だって、アレはファンタジー。あくまで物語のフィクションであって、現実には起こらない。
……お、起こらない、よね?
「巫女様? いかがなさった?」
しかし、目の前で不安げな表情を浮かべるおっさんの、握られた手の感触は妙にリアル。それはもう、今すぐに振り解きたいくらいに。
「あの……その、巫女様っていうのは、私のことです?」
「それはもちろん!」
満面の笑みで頷かれた。周囲の人達もコクコクと首を縦に振っている。
とりあえず、すっと掴まれていた手を引き抜いた。バレないよう手を拭いつつ。
「ここは……」
「【カルフェルノン】でございます。そして、ワシがこの国の王リュニック、我が喚び声に応じていただき光栄ですぞ」
「それは、地球のどこなのかな?」
「ちきゅう、というのは巫女様が元いらっしゃった世界でございましょうか。ここは創造神セレンディスが創りし世界、そして今はーー」
とっても長ったらしい話だったので割愛。
おっさん王の話を簡単にまとめると。
この世界には、魔物がいて人を襲う。そのボスとして魔王がいる。魔王は魔物を率いて人を滅ぼし世界を終わらせようとしている。
それに対抗するのが、人間サイドの勇者。そして異世界から現れし巫女。この2人が力を合わせることで、世界を救うのだと書かれた古文書がある。
どうやら魔王は倒されても何百年後かに再び生まれるらしく、その古文書も何千年も昔から保管されているのだとか。
勇者もそれと同時期に世界のどこかに生まれるらしいが、問題は巫女。
なんでも巫女が見つからず、勇者が1人で魔王に挑み敗北した歴史が何度かあるらしい。
異世界から現れるという巫女は、いつ現れるのか分からないだけでなく、現れるのかどうか不確定。
これでは不味いと思った数百年前の魔法使いが、異世界から人を召喚するという馬鹿げた魔法を発明。
そして、その結果、私が喚ばれた、と。時期的に考えて、召喚されたのは私が2人目のようだけど。
「ちょっと聞きたいんですけど……その、前回喚ばれた巫女様? ってのは、元の世界へ帰ったんですよね?」
「いえ、まさか! 当時の勇者と結ばれ、こちらの世界に止まられました」
「へぇ……それで、私は帰れるんですよね? 元の世界へ、帰してもらえるんですよね?」
「そ、それは、ですねぇ…………いやぁ、ははっ」
ジッと目を睨みつけるように覗き込めば、サッと逸らされる視線。
その頃には、私の中で「異世界召喚」の文字が堂々と輝いておりましたよ。えぇ、さすがに。
「……はぁ。すぐには決められません。少し時間をください」
「も、もちろん! 今日はゆっくりとお休みくだされ!」
溜息をつきつつ言えば、焦りながらも嬉しそうに口角が上がっているおっさん王。
その指示によって、私は1人の騎士らしき人に案内され1つの部屋へと通された。
どう考えても1人で使うとは思えない広過ぎる部屋は、見たこともないような豪華な物が配置されている。
今日はもう休んでも良いとのことだったので、1人部屋に残された。
バタンと閉められたドアを眺め、諦めの溜息と共に、元の世界に帰れないんだと、静かに涙を流す。
ーーわけがなかった。
ベーっとドアに向かって舌を出し、ささっと大きな窓まで駆け寄る。
両開きの窓を開け、高さを確認。どうやら2階のようで、私はニヤリと笑みを浮かべた。
よっ、と窓から身を乗り出し、恐ることなく空中へと身を躍らせる。
難なく着地。周囲を見渡し、人の気配を避けながら広い庭のような場所を走った。
そして、裏口のような場所を発見。見張りらしき兵士は1人。しかも運良く居眠りをしていた。
そのことに心の中で感謝しながら、私は敷地内から外へ飛び出す。
こうして、私は私を召喚しやがった国から脱走した。
夢の大学生活を壊したことに、怒りの炎を燃やし復讐を固く誓いながら。
まぁ、国から出てしばらくした場所で振り返り、盛大に中指を立ててやったのは些細なことだろう。
吹いた風が冷たくて、マフラーに埋もれるように首を竦めた。少女が身に纏った制服のスカートがヒラヒラと揺れる。
周囲には同じように制服に身を包み、寒さに耐えながら立ち並ぶ人達。その手にも、同じように一枚の紙が握られている。
友人同士でおしゃべりしている男子生徒、親と共に不安げな顔をしている女子生徒、そして少女のように1人で待つ人も少なくない。
着ている制服も、似ているようで違う様々な種類が集っていて、まるで一体感がない。
その中で唯一、共通しているのは視線の先。そこには1枚の掲示板。
チラチラと、あるいは恐る恐る、あるいはジッと。
ただひたすらに、その瞬間を待ち続けていた。
少女が両手を口元に持っていき、息を吐きかける。ジンワリと暖かくなった手を、冷え切った頬に当てて温めた。
その時、居並ぶ少年少女の前方。掲示板に近いところから、ザワザワと騒がしくなった。
大きな紙を持った3名の大人が、ささっと掲示板へと歩み寄る。
数多の視線に見つめられながら、大人達は手慣れた様子で紙を貼り付けていく。その紙には数百はありそうな数字の羅列が記載されていた。
掲示された紙と手元の紙を交互に見て、集った少年達の反応は分かれる。
歓喜に涙する者、友人同士で笑顔で手を取り合う者、ホッと安堵した様子の者。
悔しげに手元の紙を握り締める者、呆然と涙する者、どこか諦めの表情を浮かべている者。
それぞれの反応を浮かべ、場を後にする少年達。
少女もまた、慌てて駆けて行った。その手にはすでに紙はなく、スマホを手にどこかへ電話をかけようとしているようだ。
その顔に浮かんでいるのは、満面の笑み。
「あ! お母さん⁉︎ 受かった、受かったよっ!」
そう電話口に叫ぶ少女。通話先の女性は、安堵した様子の声を返す。
今日は何が食べたい? という女性の問いに、少女が喜色を浮かべ口を開く。
ーーしかし、その内容が相手に伝わることはなかった。
唐突に起こった光の爆発に、何事かと周囲の視線が集まる。
しかし、特に何かが壊れた様子もなく、これといった被害が目に見えなかった為に、注目は長く続かなかった。
何事もなかったかのように流れ出した空気の中、地面に通話状態のまま転がっているスマホ。
その持ち主の姿はどこにも見えず、ただ女性の心配した声がスマホから誰もいない空間に響いていく。
その日、1人の少女が世界から忽然と姿を消した。
**********
遠野美夜、18歳。
私は今、人生で最大級に怒っております。
念願の第一志望の大学に合格が決まり、遂に華の大学生、夢の大学生活を謳歌できると舞い上がっていた矢先。
合格祝いとしてお母さんに好物のホワイトシチューを希望しようとしたら、いきなり目の前がホワイトアウト。
視界が戻ると、そこは知らない建物の中だった。
状況についていけず固まっていると、周囲から聞こえた歓声にようやく他に人がいたことを認識する。
だけど……何故か、みんなが着ている服が古臭い。ボロっちいという意味じゃなくて、デザインが古いというか。
その中でも、ぱっと見で偉そうなおっさんが私の前に歩み寄ってくると、いきなり私の手を取った。
お父さんよりも年上、しかも知らないおっさんに手を握られ鳥肌が立ったのは言うまでもない。
「おぉ、貴女が巫女様! 見事な黒髪、黒い瞳、そして見たことのない衣装! まさに伝え通りのお姿!」
「み、みこさま……?」
「巫女様、どうか我らにお力をお貸しくだされ。勇者の旅に同行し、この世界をお救いくだされ」
「ゆうしゃ? せかい?」
明らかに外国人な見た目のおっさん。なんか日本語で話しているようだけど、ちょっと会話の中身が理解できなかった。
みこって、巫女? ゆうしゃは勇者だよね?
……え、良い歳してごっこ遊びか何か? 近くに鑑賞している子供でもいるのだろうか。
しかし、辺りを見渡しても変な格好をした大人の姿しかなく、残念ながら可愛い子供の姿は見えない。
じゃあ、何かの撮影とか? ドッキリ?
よく目を凝らして見ても、カメラの類は見当たらなかった。
そもそも、私はさっきまで大学から家に帰宅しているところだったはず。
こんな、石造りの建物に入ったような覚えはない。
……夢? 夢なのか?
うん、そうに違いない。頭の片隅に「異世界召喚」の文字がチラついた気がするけど、そんなはずはない。
だって、アレはファンタジー。あくまで物語のフィクションであって、現実には起こらない。
……お、起こらない、よね?
「巫女様? いかがなさった?」
しかし、目の前で不安げな表情を浮かべるおっさんの、握られた手の感触は妙にリアル。それはもう、今すぐに振り解きたいくらいに。
「あの……その、巫女様っていうのは、私のことです?」
「それはもちろん!」
満面の笑みで頷かれた。周囲の人達もコクコクと首を縦に振っている。
とりあえず、すっと掴まれていた手を引き抜いた。バレないよう手を拭いつつ。
「ここは……」
「【カルフェルノン】でございます。そして、ワシがこの国の王リュニック、我が喚び声に応じていただき光栄ですぞ」
「それは、地球のどこなのかな?」
「ちきゅう、というのは巫女様が元いらっしゃった世界でございましょうか。ここは創造神セレンディスが創りし世界、そして今はーー」
とっても長ったらしい話だったので割愛。
おっさん王の話を簡単にまとめると。
この世界には、魔物がいて人を襲う。そのボスとして魔王がいる。魔王は魔物を率いて人を滅ぼし世界を終わらせようとしている。
それに対抗するのが、人間サイドの勇者。そして異世界から現れし巫女。この2人が力を合わせることで、世界を救うのだと書かれた古文書がある。
どうやら魔王は倒されても何百年後かに再び生まれるらしく、その古文書も何千年も昔から保管されているのだとか。
勇者もそれと同時期に世界のどこかに生まれるらしいが、問題は巫女。
なんでも巫女が見つからず、勇者が1人で魔王に挑み敗北した歴史が何度かあるらしい。
異世界から現れるという巫女は、いつ現れるのか分からないだけでなく、現れるのかどうか不確定。
これでは不味いと思った数百年前の魔法使いが、異世界から人を召喚するという馬鹿げた魔法を発明。
そして、その結果、私が喚ばれた、と。時期的に考えて、召喚されたのは私が2人目のようだけど。
「ちょっと聞きたいんですけど……その、前回喚ばれた巫女様? ってのは、元の世界へ帰ったんですよね?」
「いえ、まさか! 当時の勇者と結ばれ、こちらの世界に止まられました」
「へぇ……それで、私は帰れるんですよね? 元の世界へ、帰してもらえるんですよね?」
「そ、それは、ですねぇ…………いやぁ、ははっ」
ジッと目を睨みつけるように覗き込めば、サッと逸らされる視線。
その頃には、私の中で「異世界召喚」の文字が堂々と輝いておりましたよ。えぇ、さすがに。
「……はぁ。すぐには決められません。少し時間をください」
「も、もちろん! 今日はゆっくりとお休みくだされ!」
溜息をつきつつ言えば、焦りながらも嬉しそうに口角が上がっているおっさん王。
その指示によって、私は1人の騎士らしき人に案内され1つの部屋へと通された。
どう考えても1人で使うとは思えない広過ぎる部屋は、見たこともないような豪華な物が配置されている。
今日はもう休んでも良いとのことだったので、1人部屋に残された。
バタンと閉められたドアを眺め、諦めの溜息と共に、元の世界に帰れないんだと、静かに涙を流す。
ーーわけがなかった。
ベーっとドアに向かって舌を出し、ささっと大きな窓まで駆け寄る。
両開きの窓を開け、高さを確認。どうやら2階のようで、私はニヤリと笑みを浮かべた。
よっ、と窓から身を乗り出し、恐ることなく空中へと身を躍らせる。
難なく着地。周囲を見渡し、人の気配を避けながら広い庭のような場所を走った。
そして、裏口のような場所を発見。見張りらしき兵士は1人。しかも運良く居眠りをしていた。
そのことに心の中で感謝しながら、私は敷地内から外へ飛び出す。
こうして、私は私を召喚しやがった国から脱走した。
夢の大学生活を壊したことに、怒りの炎を燃やし復讐を固く誓いながら。
まぁ、国から出てしばらくした場所で振り返り、盛大に中指を立ててやったのは些細なことだろう。
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