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第1章 謎の魔導師
第1話 炎の髪の青年
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「おじさん、これちょうだい」
とある街のとあるお店。そこで私は短刀を2本見つけた。
「はいよ。2本で3000Jね」
「はい」
お金を渡し、短刀を2本受け取った。
「ありがとうね」
「こちらこそ。良い物買えました」
にこっと微笑み、そのままお店を出た。
「レイナー」
ん?
お店を出てそう名前を呼ばれたためそちらのほうに向けば、私と同じ漆黒の髪をサイドで1つに結んだ、黒縁メガネの女性が駆け寄ってきた。
「ライブラ……」
とあることを考えながら彼女の名を呼ぶ。
「何を買ったんだ?」
「短刀を2本」
「そうか」
彼女は見た目は人間だが、種族は精霊族。精霊界と呼ばれる別の世界に住まう者だ。
「ねえライブラ、私って今日呼んだっけ?」
精霊と契約している者はその精霊の名前を呼べば、こちらの世界に呼ぶことができる。
だが、どれだけ考えても呼んだ覚えはないし事前にこっちに来てと頼んだ覚えもないのだ。
「いや、呼ばれていないが?」
そして目の前にいる彼女はさも当然かの如くそう答えた。
「じゃあなんで来たの? しばらく忙しいとか言ってなかったっけ?」
「しばらくは研究に没頭するつもりだったんだが……」
「だが?」
歯切れが悪いな。
「ちょっと面倒なのが来たから逃げてきた」
面倒なの?
「ライブラって、他の精霊と交流あるんだね」
「はっ?」
「ライブラから他の精霊の話とか聞かないから交流ないのかと思ってた」
「確かにあまりあるわけではないが」
「どんな精霊なの?」
「あいつの話はいいんだよ」
ライブラがあいつって言うの初めて聞いたかも。
「ふふふ、仲良いんだね」
「レイナ、どこをどう解釈したらそういう結論に至るんだ?」
「顔が嫌そうじゃないから。ライブラ、本当に嫌いな人の話する時すっごく嫌そうな顔するから」
「うるさい! ほら、駅に行くんだろ? 送っていく」
「別にいいのに」
「ほら行くぞ」
強引だなあ。
そう思いながらライブラのあとをついていく。
「コウとはまだ会ってないのか?」
「うん。家の住所とギルドの名前はメールで送ったけど返信はない」
「珍しいな。コウがお前からの連絡に無視とは」
「戻ってくる気がないからそうしてるのかもしれないでしょ」
「それはないと思うが」
「わかんないじゃん」
「退け退けーっ!」
ん?
後ろを向けば深く帽子を被った男がそう叫びながらこちらに走ってきた。
「何?」
うるさいんだけど。
「待てー! 俺の金返せー!」
先程の男の声とはまた違う、聞き覚えのある声が男の後ろから聞こえてきた。
その声に反応し、男の後ろに目をやれば、炎のように真っ赤に染った髪が見えた。
「.......随分と懐かしいな」
「レイナ?」
「ちょっと離れてて」
ライブラにそう言い、走ってくる男の前へ足を踏み出す。
「おいっ! そこの怪しい奴! 退けっ!」
誰が怪しい奴だよ。
言われた通り横に退き、真横に来たと同時に男の腕を掴み、そのまま地面に叩きつけた。
「ぐはっ.......」
「確かにあんたと同じで顔隠してるけど、私はやましいことなんて何もないから怪しくなんてないんだよ」
って.......気絶してるし。この程度で気絶とか、だらしないな。
呆れたと内心思いながら男の所持品を漁る。すると内ポケットから小さな袋が出てきた。軽く揺すればジャラジャラと音がする。
「はあ.......はあ.......俺の、金.......」
「随分遅い到着だね。しばらく見ない間に体鈍ったんじゃない?――イアル」
そう言いながら、追いついてきた青年に向かってお金の入った袋を投げた。
「お前、レイナか!? 久しぶりだなあ!」
「レイナ、彼は?」
離れていたライブラがいつの間にか隣におり、そう言った。
「彼はイアル・ドラグール。私と同じく魔導師ギルド、白い天馬に所属している火の魔導師」
「ああ、聖議院で有名な問題児か」
「そうそう。彼が戦ったあとは建物が跡形もなくなるっていう」
イアルは聖議院では有名だから。
「俺だって壊したくて壊してるわけじゃねえんだよ。気づいたら勝手に壊れてるんだ!」
いや、それ威張って言うことじゃないから。
「すみません、連絡を受けて来たのですが.......」
後ろを向くと、スーツ姿で黒いマリンキャップを被った、胸元には盾を象ったバッチを付けている男性が2人。
「治安署か」
正式名称は地方治安署。全ての街や村に必ず一つ以上設置されている、街の治安を守ることを目的とした組織。聖議院の下請けの組織であり、実力が認められれば聖議院の昇格もありえる。
「状況を説明していただけますか?」
「彼が被害者で、そこで気絶しているのが加害者。私は加害者に殴られそうになったので正当防衛で気絶させました。彼の奪われたお金は既に彼に返してあります。まあ、私の行動は全てそこの雑貨屋さんの防犯カメラに記録されていますので、確認してみてください」
「確認は後ほどさせていただきますが……」
「あとは被害者である彼に聞いてください。私はこれで失礼させていただきますので」
「はい……」
「じゃあイアル、先にギルドに戻ってるわね」
「ああ、またあとでな」
イアルと別れ、ギルドへと戻った。
とある街のとあるお店。そこで私は短刀を2本見つけた。
「はいよ。2本で3000Jね」
「はい」
お金を渡し、短刀を2本受け取った。
「ありがとうね」
「こちらこそ。良い物買えました」
にこっと微笑み、そのままお店を出た。
「レイナー」
ん?
お店を出てそう名前を呼ばれたためそちらのほうに向けば、私と同じ漆黒の髪をサイドで1つに結んだ、黒縁メガネの女性が駆け寄ってきた。
「ライブラ……」
とあることを考えながら彼女の名を呼ぶ。
「何を買ったんだ?」
「短刀を2本」
「そうか」
彼女は見た目は人間だが、種族は精霊族。精霊界と呼ばれる別の世界に住まう者だ。
「ねえライブラ、私って今日呼んだっけ?」
精霊と契約している者はその精霊の名前を呼べば、こちらの世界に呼ぶことができる。
だが、どれだけ考えても呼んだ覚えはないし事前にこっちに来てと頼んだ覚えもないのだ。
「いや、呼ばれていないが?」
そして目の前にいる彼女はさも当然かの如くそう答えた。
「じゃあなんで来たの? しばらく忙しいとか言ってなかったっけ?」
「しばらくは研究に没頭するつもりだったんだが……」
「だが?」
歯切れが悪いな。
「ちょっと面倒なのが来たから逃げてきた」
面倒なの?
「ライブラって、他の精霊と交流あるんだね」
「はっ?」
「ライブラから他の精霊の話とか聞かないから交流ないのかと思ってた」
「確かにあまりあるわけではないが」
「どんな精霊なの?」
「あいつの話はいいんだよ」
ライブラがあいつって言うの初めて聞いたかも。
「ふふふ、仲良いんだね」
「レイナ、どこをどう解釈したらそういう結論に至るんだ?」
「顔が嫌そうじゃないから。ライブラ、本当に嫌いな人の話する時すっごく嫌そうな顔するから」
「うるさい! ほら、駅に行くんだろ? 送っていく」
「別にいいのに」
「ほら行くぞ」
強引だなあ。
そう思いながらライブラのあとをついていく。
「コウとはまだ会ってないのか?」
「うん。家の住所とギルドの名前はメールで送ったけど返信はない」
「珍しいな。コウがお前からの連絡に無視とは」
「戻ってくる気がないからそうしてるのかもしれないでしょ」
「それはないと思うが」
「わかんないじゃん」
「退け退けーっ!」
ん?
後ろを向けば深く帽子を被った男がそう叫びながらこちらに走ってきた。
「何?」
うるさいんだけど。
「待てー! 俺の金返せー!」
先程の男の声とはまた違う、聞き覚えのある声が男の後ろから聞こえてきた。
その声に反応し、男の後ろに目をやれば、炎のように真っ赤に染った髪が見えた。
「.......随分と懐かしいな」
「レイナ?」
「ちょっと離れてて」
ライブラにそう言い、走ってくる男の前へ足を踏み出す。
「おいっ! そこの怪しい奴! 退けっ!」
誰が怪しい奴だよ。
言われた通り横に退き、真横に来たと同時に男の腕を掴み、そのまま地面に叩きつけた。
「ぐはっ.......」
「確かにあんたと同じで顔隠してるけど、私はやましいことなんて何もないから怪しくなんてないんだよ」
って.......気絶してるし。この程度で気絶とか、だらしないな。
呆れたと内心思いながら男の所持品を漁る。すると内ポケットから小さな袋が出てきた。軽く揺すればジャラジャラと音がする。
「はあ.......はあ.......俺の、金.......」
「随分遅い到着だね。しばらく見ない間に体鈍ったんじゃない?――イアル」
そう言いながら、追いついてきた青年に向かってお金の入った袋を投げた。
「お前、レイナか!? 久しぶりだなあ!」
「レイナ、彼は?」
離れていたライブラがいつの間にか隣におり、そう言った。
「彼はイアル・ドラグール。私と同じく魔導師ギルド、白い天馬に所属している火の魔導師」
「ああ、聖議院で有名な問題児か」
「そうそう。彼が戦ったあとは建物が跡形もなくなるっていう」
イアルは聖議院では有名だから。
「俺だって壊したくて壊してるわけじゃねえんだよ。気づいたら勝手に壊れてるんだ!」
いや、それ威張って言うことじゃないから。
「すみません、連絡を受けて来たのですが.......」
後ろを向くと、スーツ姿で黒いマリンキャップを被った、胸元には盾を象ったバッチを付けている男性が2人。
「治安署か」
正式名称は地方治安署。全ての街や村に必ず一つ以上設置されている、街の治安を守ることを目的とした組織。聖議院の下請けの組織であり、実力が認められれば聖議院の昇格もありえる。
「状況を説明していただけますか?」
「彼が被害者で、そこで気絶しているのが加害者。私は加害者に殴られそうになったので正当防衛で気絶させました。彼の奪われたお金は既に彼に返してあります。まあ、私の行動は全てそこの雑貨屋さんの防犯カメラに記録されていますので、確認してみてください」
「確認は後ほどさせていただきますが……」
「あとは被害者である彼に聞いてください。私はこれで失礼させていただきますので」
「はい……」
「じゃあイアル、先にギルドに戻ってるわね」
「ああ、またあとでな」
イアルと別れ、ギルドへと戻った。
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