亡き夫の遺影の前で、義姉は僕の種を強請る

くろがねや

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亡き夫の遺影の前で、義姉は僕の種を強請る

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夏の湿り気を孕んだ空気が、古い木造家屋の奥深くにまで澱んでいた。
蝉の声さえ途絶えた深夜、廊下を渡るわずかな風も熱を帯び、じっとりとして肌にまとわりつく。

法事で数年ぶりに帰省した僕を待っていたのは、数年前に兄を亡くし、一人でこの大きな家を守り続けてきた義姉――陽子さんだった。

「……透くん、まだ起きてたの?」

襖の隙間から漏れる微かな光。
声をかけてきた陽子さんは、薄い藍色の浴衣を緩く羽織り、縁側に腰を下ろしていた。

湯上がりなのだろうか。しどけなく乱れた襟元から、白く柔らかな曲線が覗いている。
そこから漂う石鹸の香りと、熟れた果実が爆ぜたような濃密な甘い匂い。

僕の喉が、不自然な音を立てて鳴った。

かつて、兄の隣で幸福そうに笑う彼女を、僕はどんな心地で眺めていただろう。
端正で、理性的で、完璧だった兄。その影で、僕は常に「出来損ないの代替品」のような顔をして笑っていた。

けれど、唯一――陽子さんの瞳の中にだけは、兄さえも気づかない、底知れない孤独の泥濘があることを僕は知っていた。僕と同じ、光を知らない獣の気配が。

(兄さんが死んで、ようやく僕のものになる……)

その歪んだ確信が、数年ぶりに再会した彼女の芳香を嗅いだ瞬間、理性を焼き切った。

「暑くて、眠れなくて」

「そう……。ここは、東京よりずっと……夜が長いのよ」

陽子さんは力なく微笑んだ。その瞳は潤み、どこか遠くを見つめている。

「一人でいるとね、時々……このまま闇に溶けて、消えてしまいそうになるの」

畳の上を這うようにして、彼女に近づく。

僕たちの間に流れる沈黙は、ただの静寂ではない。
互いの呼吸が熱を帯び、シンクロしていくのがわかった。

僕は我慢できずに、その細い指先に触れた。白く、けれど確かな体温を持った指先。

「っ、あ……」

陽子さんの肩が、小さく震える。

拒絶はなかった。ただ、彼女の指が僕の手を、縋るように、あるいは導くように強く握り返した。

「透くん、だめよ。あなたは、まだ……」

言葉とは裏腹に、彼女の身体は熱く、僕を求めていた。

僕は無言のまま、彼女の浴衣の合わせ目に手をかけた。
指先が絹の生地を擦り、微かな衣擦れの音が静寂に響く。

「綺麗だ、陽子さん……」

月の光に照らされた、白磁のような肌。
その美しさに、僕は呼吸を忘れた。
淡い光を反射する鎖骨のくぼみに、僕は唇を寄せた。

「……あ、っ……ん、んぅ……」

彼女の喉が小さく鳴る。
石鹸の香りの奥に潜む、女の体臭。
吸い上げるたびに、彼女の指が僕の髪を掻き乱し、頭皮に爪を立てる。

僕は彼女を、古びた畳の上に押し倒した。

指先が秘所を割り、ぬるりと沈み込む。
粘膜が指に吸い付く、淫らで、重厚な音。

陽子さんの「奥」は、既に僕を待ちわびるように、熱く、脈打っていた。

「あ、……あぁっ」

陽子さんは顔を背け、自身の口元を覆った。
指先が粘膜を分かつ重苦しい水音を聞くたびに、彼女の脳裏には、亡き夫の面影が掠める。

思考では拒絶しながらも、身体はあまりに正直だった。

夫が一度も触れなかった、自分さえ知らなかった深い場所。
そこを、僕の指が抉るように撫で上げた。

背徳感という名の毒が、快楽という名の蜜と混ざり合い、彼女の理性を溶かしていく。
「いけないこと」だと理解すればするほど、禁忌を犯す愉悦が彼女を締め付けさせた。

「……ねぇ、陽子さん。本当は、ずっとこうして欲しかったんじゃないの?」

「ちが、……違う……そんな、こと……っ」

否定する唇が、震えている。

けれど、彼女の秘所からは、糸を引くほどの粘液が溢れ出していた。
陽子さんは、自ら浴衣の裾をさらに捲り上げた。

「透、くん……っ、お願い……。私を、壊して……。あの人の、記憶ごと……私を、あなたの泥で塗りつぶして……っ!」

僕は、彼女の脚を大きく開かせた。

そこへ、僕の楔を、ゆっくりと、けれど力強く押し当てていく。

「あ、あ……っ! 大きい……っ、入って、くる……透くんのが……っ」

一気に入れ替わる空気。
密着した場所から、じゅぷり、と、濃密な音が漏れる。

日常を、倫理を、思い出を。

すべてを、この熱い結合と、ぶつかり合う肉の音が塗りつぶしていく。

「あ、あ、……いい、……あの人のよりも、ずっと……ずっと太いのが……奥まで、届いてるぅ……っ!!」

言葉にしてはいけない比較が、喘ぎとなって零れ落ちる。

絶頂の瞬間、彼女の奥が激しく痙攣し、僕を絞り上げた。
一度決壊したダムが、濁流となって理性を流し去っていく。

彼女はふらふらと立ち上がると、乱れた浴衣をそのままに、僕の手を引いた。

「最後にもう一度だけ……お焼香をしていくわ」

行き先は、深夜の仏間。
祭壇の中央では、兄が穏やかな微笑を浮かべて僕たちを見下ろしている。

陽子さんは、遺影の真ん前で浴衣の帯を完全に解いた。

「あなたに……ちゃんと見せてあげたいの。私が、透くんの女になったところを」

僕は、彼女の腰を背後から乱暴に引き寄せた。
兄の視線が突き刺さる中で、陽子さんの「奥」へと、再び荒々しく楔を突き立てる。

「あ、あぁっ!!……ねぇ、見て……っ! 私、あなたの弟くんに、こんなに奥まで……っ、かき回されてるのぉっ!!」

「陽子さん……っ、もう、兄さんのことなんて、考えさせない……っ!!」

「いいわよ、もっと……。あの人との思い出を、あなたの、濁った熱いので、全部、塗りつぶしてぇっ!!」

畳を叩く衝撃が、重く、鈍い音を立てて仏間に響く。

陽子さんは遺影に手を伸ばし、狂おしい愛と取り返しのつかない絶望が混ざった瞳で僕を射抜いた。

「だめ、あなたの目の前で……っ、イっちゃう、最高に不実な女として……イっちゃうぅぅぅっ!!」

「陽子、さん……っ! 一生、逃がさない……っ! 僕が、君を、呪ってやる……っ!!」

「っ!! あ、あ……嬉しい……。呪って、愛して、私を……あなたの、奴隷にしてぇぇっ!!」

絶頂の瞬間、陽子さんは遺影を畳に叩き落とした。
ガラスの割れる鋭い音が響き、その破片の上で、僕たちは重なり合って果てた。

彼女の胎内に注ぎ込まれる、熱い奔流。
それは、永遠に闇の中を堕ちていくための、血よりも濃い契約の儀式だった。

静寂が戻った仏間で、陽子さんは割れた遺影のガラスを、愛おしそうに拾い集めていた。

その指先から滴る一滴の血が、畳に黒いシミを作る。

「これで、本当にお別れね。あなた」

彼女は冷ややかに微笑み、僕を振り返った。
その瞳には、自分を奪い去った少年への、狂気にも似た深い執着だけがある。

「ねぇ、透くん。東京へ行っても、毎日……私を、ぐちゃぐちゃにしてくれる?」

「ああ。死ぬまで、君を離さない」

僕は彼女の血の付いた指を口に含み、深く、吸い上げた。

夏の夜が終わる。
僕たちは、亡き人の亡霊を置き去りにして、二人だけの、底なしの愛へと足を踏み出した。
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