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第10話 犯人の証明
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「しょ、証明ってどうやってだよ?」
佐藤が震えた声を出す。
これまで発言を控えていたようだが、ここにきて言葉を発した。
「ふむ、簡単な方法として誰かに飲ませてみることだな。それではっきりする。誰ぞ実験動物を連れてこい」
レイドル王の指示で何人かが会場を出ようとする。命令に従い、実験動物を取りに行こうとしているのだろう。杯に毒が入っているのだからそれは有効な証明方法になるだろう。だが、この場合それはまずい。
「お待ちください、国王様」
「なんだ?」
喉をさすりながら俺は立ち上がる。
「その杯に毒が入っているということは、入れた犯人がいるということ。今からそれを暴こうと思います」
もし犯人がいるとして、会場から出すわけにはいかないからだ。
「そのようなことが可能なのか?」
ここからは博打になる。だが、さきほどから感じる多様な痛みが俺の推測を裏付けてくれる。俺は覚悟を決めると、目一杯おどけた表情を浮かべた。
「ええ、こそこそと毒を盛って暗殺を企てる臆病者ですからね。そんな陰険にして卑怯者の間抜けを特定するくらいわけないです」
俺の挑発に会場の雰囲気が一変する。ある者は本当にできるのか? と懐疑的な視線を送ってきて、ある者は毒物など存在していないと考え俺をあざ笑う。
クラスメイトは困惑しつつ様々な感情を持ち俺を見つめている。そんな中、背筋に何かを感じ取った。
これは、明確な殺意。
「そこまで言うなら良い。だが、犯人を見つけ出せなければ貴様は絞首刑だ」
レイドル王から言い渡されるが、俺は晴れやかな気分になっていた。既に自分が殺されないことを知っているからだ。
「して、その者の名は?」
俺はその問いかけに対し、後を向くと言った。
「そこにいるズンポイ大臣。彼が国王様の杯に毒を入れた犯人です」
「なっ……わ、私が犯人……だと? 何という陰謀をっ!?」
顔を真っ青にしながら声を震わせている。
「ええ、あなたが犯人です。その証拠を今から提示します」
「このっ、永く国に使えた我が家に泥を塗るなど、星一つ風情がっ! 許さぬぞっ!」
激高し、俺に掴みかかろうとしてくるズンポイ。
俺は咄嗟に身構えると、
「それ以上私の従者に近付かないように」
掴みかかる瞬間、オリヴィアが手で遮った。
「ぐっ、ぬぬぬっ!」
殺意をこめて俺を睨みつけてくるズンポイ。目論見が外れたという顔をしている。
「して、召喚者よ。どのようにしてズンポイが犯人だと証明するつもりだ?」
動じないどころか、レイドル王はこの場を楽しんでいるように笑みを浮かべて見せた。
「簡単な話です、そこのズンポイ大臣が国王様が飲むはずだったワインを飲んで見せる。それで死ななければ毒物は無かったということになりますので、俺を殺してもらえれば結構ですよ」
「なるほど、わかりやすいな。ズンポイ、飲め」
近衛騎士によって杯が運ばれてくる。毒入りワインの杯がズンポイに差し出されると、彼は顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。
「飲めるわけがあるかっ!」
「どうしてですか?」
俺は首を傾げるとズンポイに問いかける。
「あれだけ毒が入っていると公言しているワインだぞ。万が一があったらどうする!」
ワインに毒が入っているのを確信しているのは犯人と俺だけだ。
このままたたみかけようと用意していた言葉を口にしようとすると、同じテーブルにいる誰かが動いた。
「おかしいわね。さきほどズンポイ大臣は『杯は多様な毒物を検出できるミスリルで作られている。そのようなことがあるかっ!』と言っていたわ。毒などないと公言していたのだから飲めるはずでしょう?」
アマンダが楽しそうに俺が言うはずだったセリフを口にした。
「うっ……そっ……それは……」
ズンポイの顔が真っ青になる。これでは杯に毒が入っていると認めているようなもの。俺はアマンダに続き言葉を重ねる。
「飲めないというのでは仕方ありません、別な証拠を提示する必要がありますね」
場は全体の八割がズンポイを疑う状況に代わっているが、放っておくと彼が言い訳して覆るかもしれない。
「そのような証拠があるのか?」
レイドル王の言葉に頷く。
ズンポイの怪しい動きが俺の考えの正しさを補強している。俺は自信をもって皆に聞こえるように発言をした。
「恐らくですが、ズンポイ大臣は今も手元に毒物を持っているかと思います。近衛の方、彼の身体を調べてみてください!」
俺の言葉にレイドル王が頷く。近衛騎士がズンポイを取り囲んだ。
「よせっ! さ、触るなっ!」
ズンポイは振り払おうとするが、数人の近衛騎士相手ではどうしようもない。あっという間に自由を奪われると、近衛騎士に服の上から身体検査をされる。
「ありましたっ! 怪しい小瓶を持っています!」
少しすると、近衛騎士の一人がズンポイの懐から一本の小瓶を取り出して見せた。
「それが毒物です。調べてみてください」
俺がそう言うと、皆は驚いた表情を浮かべ俺を見た。
「ふむ、まだ完全ではないが、ここまで的中しているのなら間違いなさそうだ。このワインと証拠の小瓶をもってズンポイを別室へ連れていけ」
レイドル王の指示が聞こえる。
その瞬間、俺の無罪が確定し、ズンポイは国王暗殺未遂の罪で拘束されるのだった。
佐藤が震えた声を出す。
これまで発言を控えていたようだが、ここにきて言葉を発した。
「ふむ、簡単な方法として誰かに飲ませてみることだな。それではっきりする。誰ぞ実験動物を連れてこい」
レイドル王の指示で何人かが会場を出ようとする。命令に従い、実験動物を取りに行こうとしているのだろう。杯に毒が入っているのだからそれは有効な証明方法になるだろう。だが、この場合それはまずい。
「お待ちください、国王様」
「なんだ?」
喉をさすりながら俺は立ち上がる。
「その杯に毒が入っているということは、入れた犯人がいるということ。今からそれを暴こうと思います」
もし犯人がいるとして、会場から出すわけにはいかないからだ。
「そのようなことが可能なのか?」
ここからは博打になる。だが、さきほどから感じる多様な痛みが俺の推測を裏付けてくれる。俺は覚悟を決めると、目一杯おどけた表情を浮かべた。
「ええ、こそこそと毒を盛って暗殺を企てる臆病者ですからね。そんな陰険にして卑怯者の間抜けを特定するくらいわけないです」
俺の挑発に会場の雰囲気が一変する。ある者は本当にできるのか? と懐疑的な視線を送ってきて、ある者は毒物など存在していないと考え俺をあざ笑う。
クラスメイトは困惑しつつ様々な感情を持ち俺を見つめている。そんな中、背筋に何かを感じ取った。
これは、明確な殺意。
「そこまで言うなら良い。だが、犯人を見つけ出せなければ貴様は絞首刑だ」
レイドル王から言い渡されるが、俺は晴れやかな気分になっていた。既に自分が殺されないことを知っているからだ。
「して、その者の名は?」
俺はその問いかけに対し、後を向くと言った。
「そこにいるズンポイ大臣。彼が国王様の杯に毒を入れた犯人です」
「なっ……わ、私が犯人……だと? 何という陰謀をっ!?」
顔を真っ青にしながら声を震わせている。
「ええ、あなたが犯人です。その証拠を今から提示します」
「このっ、永く国に使えた我が家に泥を塗るなど、星一つ風情がっ! 許さぬぞっ!」
激高し、俺に掴みかかろうとしてくるズンポイ。
俺は咄嗟に身構えると、
「それ以上私の従者に近付かないように」
掴みかかる瞬間、オリヴィアが手で遮った。
「ぐっ、ぬぬぬっ!」
殺意をこめて俺を睨みつけてくるズンポイ。目論見が外れたという顔をしている。
「して、召喚者よ。どのようにしてズンポイが犯人だと証明するつもりだ?」
動じないどころか、レイドル王はこの場を楽しんでいるように笑みを浮かべて見せた。
「簡単な話です、そこのズンポイ大臣が国王様が飲むはずだったワインを飲んで見せる。それで死ななければ毒物は無かったということになりますので、俺を殺してもらえれば結構ですよ」
「なるほど、わかりやすいな。ズンポイ、飲め」
近衛騎士によって杯が運ばれてくる。毒入りワインの杯がズンポイに差し出されると、彼は顔を真っ赤にして怒鳴り散らした。
「飲めるわけがあるかっ!」
「どうしてですか?」
俺は首を傾げるとズンポイに問いかける。
「あれだけ毒が入っていると公言しているワインだぞ。万が一があったらどうする!」
ワインに毒が入っているのを確信しているのは犯人と俺だけだ。
このままたたみかけようと用意していた言葉を口にしようとすると、同じテーブルにいる誰かが動いた。
「おかしいわね。さきほどズンポイ大臣は『杯は多様な毒物を検出できるミスリルで作られている。そのようなことがあるかっ!』と言っていたわ。毒などないと公言していたのだから飲めるはずでしょう?」
アマンダが楽しそうに俺が言うはずだったセリフを口にした。
「うっ……そっ……それは……」
ズンポイの顔が真っ青になる。これでは杯に毒が入っていると認めているようなもの。俺はアマンダに続き言葉を重ねる。
「飲めないというのでは仕方ありません、別な証拠を提示する必要がありますね」
場は全体の八割がズンポイを疑う状況に代わっているが、放っておくと彼が言い訳して覆るかもしれない。
「そのような証拠があるのか?」
レイドル王の言葉に頷く。
ズンポイの怪しい動きが俺の考えの正しさを補強している。俺は自信をもって皆に聞こえるように発言をした。
「恐らくですが、ズンポイ大臣は今も手元に毒物を持っているかと思います。近衛の方、彼の身体を調べてみてください!」
俺の言葉にレイドル王が頷く。近衛騎士がズンポイを取り囲んだ。
「よせっ! さ、触るなっ!」
ズンポイは振り払おうとするが、数人の近衛騎士相手ではどうしようもない。あっという間に自由を奪われると、近衛騎士に服の上から身体検査をされる。
「ありましたっ! 怪しい小瓶を持っています!」
少しすると、近衛騎士の一人がズンポイの懐から一本の小瓶を取り出して見せた。
「それが毒物です。調べてみてください」
俺がそう言うと、皆は驚いた表情を浮かべ俺を見た。
「ふむ、まだ完全ではないが、ここまで的中しているのなら間違いなさそうだ。このワインと証拠の小瓶をもってズンポイを別室へ連れていけ」
レイドル王の指示が聞こえる。
その瞬間、俺の無罪が確定し、ズンポイは国王暗殺未遂の罪で拘束されるのだった。
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