クラス転移、異世界に召喚された俺の特典が外れスキル『危険察知』だったけどあらゆる危険を回避して成り上がります

まるせい

文字の大きさ
18 / 22

第18話 欠陥王女

しおりを挟む
「なん……だ?」

 目を開けてみると、オリヴィアの顔が間近にあった。気絶しているようで目を閉じていて、俺の背中に腕を回し抱き着いている。

 至近距離から整った顔立ちを確認して心臓が高鳴るのを感じる。思わず唇に視線が吸い寄せられるが、口元に緑色の液体がついているのを確認する。

「俺、どうなって……?」

 良くない考えが浮かびそうだったので、オリヴィアから視線を外し周囲を見渡した。

「なんだこれ?」

 目の前にはムカデが焼け焦げた姿があった。煙から嫌な臭いが立ち込め、部屋に充満している。

 遠く離れた場所には俺が持ってきた荷物が散乱しており、治療道具もバラバラに地面に落ちていた。

「そうだ、解毒剤を……」

 思考が追い付き、自分が毒に侵され身体が動かなくなったことを思い出す。

「あれ? 動くぞ?」

 口元が濡れているのに気付いて指で拭うと緑色の液体が付着した。どうやら解毒剤のようだ。

「もしかして、姫様が飲ませてくれたのか?」

 他に人もおらず、それしか考えらない。

「だとすると、このムカデも姫様が?」

 あれほど魔法を出し惜しみしていたオリヴィアが、なぜあのタイミングで魔法を使ったのかわからない。だが、どうやら俺は彼女に命を救われたようだ。

「姫様、助かりました。起きてください」

 俺に解毒剤を飲ませたあと意識を失ったのか、彼女はピクリとも動かない。意識を失った彼女に勝手に触れるのはまずいと思うが、いつまでもこのままではいられない。

 俺は割り切って彼女の頬に触れると、

「……冷たい」

 まるで呼吸をしていないようで、慌てて胸を見る。服の上からかすかに心臓が動いているのが確認できたので生きているのは間違いない。

 だが、彼女はグッタリしていてどう考えても正常な状態には見えなかった。

「は、早く、医者に見せないと……」

 焦りを浮かべ、誰かいないか周りを見渡すと【星の宝珠】が輝いているのが目に映った。

「そうだ、あれを取れば迷宮から出られるはず」

 俺はオリヴィアを地面に横たわらせると、

「姫様、もう少しの辛抱ですからね」

 一刻も早く彼女を医者に見せるため、宝珠を取りに走った。


          ★

 サントブルム王国は、異世界の人間の血を取り込み、力をつけた国だった。

 召喚の儀式により、現れた異世界人と試練を通して絆を得て、その血筋を王侯貴族が取り込むことで強力な力を持つ子孫が生まれ、王国の礎となってきた。

 そんないびつなやり方のせいか、周辺国家はサントブルム王国を批難した。

 異世界から人を召喚する術を持つのがサントブルムだけだったというのもあるだろう。他国は異世界人の血を取り込もうとあらゆる手段を用いて侵略を仕掛けてきた。

 それらの計略をすべて退けてきた王国だったが、時が経つにつれ強力な血筋は薄まっていった。

 まず、異世界の血筋を証明する黒髪黒目の幼児が生まれなくなった。さらに、魔法や剣など、戦闘で効果を発揮する分野で突出した才能を示す人間の数も減ってきたのだ。

 それまで、一騎当千の英雄を多数抱えていたお蔭で保っていた外交バランスは徐々に均衡を崩していく。

 サントブルムが富国強兵だった時代は過去のものとなり、周辺諸国は力を落とす王国を狙うようになった。

 そんな中、私は生まれた。

 生まれながらにして膨大な魔力を保有している赤子。将来は国の守護者となることを期待されたが、その期待はすぐに絶望へと変わる。

 私の身体には欠陥があったからだ。

 人間の身体には目に見えない魔力経路というものがある。魔道士はこの魔力経路を通して魔法を実体化させて放つのだが、私の魔力経路は塞がっていた。

 正しくは繋がっている経路もあるので魔法を使えなくはないが、大量の魔力を流すと、魔力経路がズタズタになり命に危険があるのだ。

 初めて私が魔法を使った時、皆はその威力に感嘆とした。

 この力があれば他国の侵略に対し大きな牽制となる。皆が私を賞賛した。

 だけど次の瞬間、私が昏倒したことでそれはあっさりと覆った。

 『魔力だけあっても魔法を使えない欠陥王女』。皆が侮蔑を口にして離れていった。

          ★

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

処理中です...