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最終回

女スパイとしての人生

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社長に結婚してほしいと告白された耀子。
しかし、女性スパイとして谷口に厳しく指導され、女性としての幸せを捨てて、人のために生きることを選んだ。
最初は厳しい指導をする鬼の教官・谷口を怨んだ。
だが、「お前には心を読まれない鉄火面のような強さと美貌がある」
「それに、抜群の運動神経と頭の回転のよさは素晴らしい」
「お前は一流の女スパイになれるだけの素質があるんだ」
そう言われた耀子は、普通の生活をする女性には戻れなかった。
「私にはやるべきことがある」
心を奪われても、毅然とした態度、クールな表情でスパイ活動を続けると言う耀子。
その芯の強さに心を打たれた社長。
「俺の言ったことは忘れてくれ」
「はい」
「では、失礼します」
社長室を出て行く耀子を追いかけて、腕をグッと掴む。
そして、グイッと強く抱きしめて、キスをした。
耀子は抵抗もせず、素直に受け入れる。
「俺が本気で愛した女は・・・お前だけだ」そう伝える社長に、心が痛む。
女性スパイとして生きることを誓った女にとって、純粋な恋心は辛いものだ。
「社長。私のことが本気で好きなら、その気持ちは胸の中にしまっておいてはくれませんか」
「え?」
「お気持ちはとても嬉しいです。しかし、私にはその気持ちを受け入れることはできません」
「そんな・・・」
「いつか私が女スパイを辞めたときまで待っていてくれるのなら・・・結婚しましょう」
「それは、いつぐらいかな?」
「10年先か、20年先か・・・それまで待ってはくれますか?」
「そ、そうだな・・・」
社長には迷いがある。
耀子はその気持ちを読み取ると、二度と振り向かずに片手を振り、部屋を去っていく。
その後ろ姿を見て、「フッ」と社長は笑う。
「どこまでも人の気持ちを見破る女だな」
その後、秘書として社内で働き、数々の組織ぐるみの事件を解決した耀子。
今では幹部にまで上り詰め、多くの女性スパイの教育に当たっている。
「社長、元気でいますか?」
遠い所にいる社長をふと思い出し、空に向かって呟く耀子であった。
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