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泥雨の棘
2.雨と傘
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翌日。
起きている習慣でできあがった体は、眠ることを求めない。
気晴らしに出かけた街は、煩いくらいの輝きと欲望で満ちていた。
「あ。あの子がいい」
「そうか。聞いてみよう」
聞こえた声と足音。
誰かのことだと思っていたら、自分のことだった。
「私たちの子供役になってくれないか」
用意された高額の報酬と性的な干渉無しという条件は、悪くなかった。
住まいは今のまま、週末だけ、どこにでもいる家族ごっこをするだけの関係。
女の名前は、海南木 煌羅螺。
その場で成立した契約だった。
空いた時間で始めたのは、好奇心のまま書きなぐるだけの作業。
どうせなら、と汚いだけの過去を改変して作ったつまらない物語。
偶然にも、海南木 煌羅螺に気に入られ、知人に見せると言った。
後日。
なぜか、本を出すことになった。
作者の詳細を伏せて、なぜか売れたが面白くないと評判の一冊目。
そして「理想の世界を書く」二冊目以降は、好評だった。
女というのは飽き性らしい。
17歳になって与えられたのは、成人後は自分名義の家になる場所。
引き換えに、女の子供の管理と自由を得た。
高校卒業は資格だけを得ることにして、中退し、勉強だけで卒業した。
あとは適当に生きて、適当なところで死ねばいい。
死だけを希望に、つまらない時間を過ごした。
ずっと、予定通りに進むと思っていた。
海南木 羅輝亜に出会うまでは。
愛人の子供のわりには、普通に見えた。
突然に来た人間を普通に警戒し、表面だけ愛想よく振舞うだけ。
男に媚びる様子も、露骨に嫌悪することもなかった。
珍しいと思ったが、関わるつもりはなかった。
仕事で、書き表せていないらしい現実感を求められ、助けを求めるまでは。
起きている習慣でできあがった体は、眠ることを求めない。
気晴らしに出かけた街は、煩いくらいの輝きと欲望で満ちていた。
「あ。あの子がいい」
「そうか。聞いてみよう」
聞こえた声と足音。
誰かのことだと思っていたら、自分のことだった。
「私たちの子供役になってくれないか」
用意された高額の報酬と性的な干渉無しという条件は、悪くなかった。
住まいは今のまま、週末だけ、どこにでもいる家族ごっこをするだけの関係。
女の名前は、海南木 煌羅螺。
その場で成立した契約だった。
空いた時間で始めたのは、好奇心のまま書きなぐるだけの作業。
どうせなら、と汚いだけの過去を改変して作ったつまらない物語。
偶然にも、海南木 煌羅螺に気に入られ、知人に見せると言った。
後日。
なぜか、本を出すことになった。
作者の詳細を伏せて、なぜか売れたが面白くないと評判の一冊目。
そして「理想の世界を書く」二冊目以降は、好評だった。
女というのは飽き性らしい。
17歳になって与えられたのは、成人後は自分名義の家になる場所。
引き換えに、女の子供の管理と自由を得た。
高校卒業は資格だけを得ることにして、中退し、勉強だけで卒業した。
あとは適当に生きて、適当なところで死ねばいい。
死だけを希望に、つまらない時間を過ごした。
ずっと、予定通りに進むと思っていた。
海南木 羅輝亜に出会うまでは。
愛人の子供のわりには、普通に見えた。
突然に来た人間を普通に警戒し、表面だけ愛想よく振舞うだけ。
男に媚びる様子も、露骨に嫌悪することもなかった。
珍しいと思ったが、関わるつもりはなかった。
仕事で、書き表せていないらしい現実感を求められ、助けを求めるまでは。
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