従僕と柔撲

秋赤音

文字の大きさ
19 / 28
曇天と棘

8.春留

しおりを挟む
青い春な高校生活。
しかし、二年目になれば悩みも増える。
この先の熟れ方を自分できまなければいけないのだから、ただ青いだけでは無くなってくる。
充実した学校生活、進学先を選べるだけの成績、進路すら雑談になる平和な日常。
学び舎の門を出て、買い物を済ませ、家に帰る。
鍵をあけて扉の中に立つと、私の仕事が始まる。
明日からは休日。
だから、今日は出迎えからと指定された。
鍵を閉めると、足音が聞こえた。

「おかえり」

愛しい彼が、数歩先の背後に立っている。
靴を脱いで、整える。
そして、小さく足音を残しながら彼の前に立つ。

「ただいま」

私は伸びてくる腕に体ごとすり寄って、彼を見て、目を閉じるだけでいい。
唇が触れ合って、湿っぽい音をたてるだけ。
制服には似合わない、卑猥でグロテスクなキス。
作り物の世界では綺麗に描かれていたものの現実は、想像よりも欲深くて綺麗とは遠い。
でも、なぜか満たされて、心地よい。
だから、綺麗でなくてもいいと、身を渡し続けてしまう。
どうせ生まれた時から望まれなかった私だから、今さら綺麗でいようとする方が馬鹿らしかった。
舌を絡ませ、目を見つめて、あいている片腕で続きを求めるだけ。
すると、必ず、彼は私の足を撫でる。
スカートの裾の中に向かって這う指先が、下着ごしに濡れている割れ目をなぞる。
焦らすような動きがもどかしい。

「…っ、ぁ、ここ、で…っ?」

「声が我慢できるなら。でも、無理だろう。
それとも、ここにだらしない水たまりを作るか?
男を誘う淫らな声を、扉の向こうまで聞かせるか?」

指が下着の内側にきた。
でも、ナカに入りそうで来ない。
思わせぶりな仕草に、期待で体が熱くなる。
抗う程に悪化する痛みが感覚を狂わせる。
我慢できないから、滑りの良い割れ目をなぞる指を入り口に近づけた。

「ぁっ…はぅう…っ、あぁっ、んぁっ…っ」

「いれただけで、イきそうだね。
ねだり方は、教えたよな。僕の恋人さん」

彼が指先で撫でるように触れたのは、硬くなって待っている小さな突部。
嫌なだけの痛みに変わるギリギリの心地よい感触に、腰が揺れる。
ここで我慢すれば、もっと良いことをしてくれるのを、私は知っている。

「あぁ…ん、イきたい、です…っ」

「だったら、食事より先にお風呂かな。
濡れても簡単に流せるから、安心して」

試すように彼の指が絶頂を促すように扱く。
ギリギリのところで耐えると、彼は私を抱えて浴室に向かった。
されるがまま脱がされた制服。
下着姿で壁に手をつきお尻をつきだせば、ようやくナカに埋められた温かな彼の指。
我慢から解放される合図を待ちながら、腰を振って彼の温度に縋る。

「よく、できました。イって、羅輝亜さん」

彼がナカと突部を同時に刺激した。

「ぁ、…っ、ぁひっ、イくっ、イ、きまぁあああああっ」

お腹の中から熱が一気に流れ出た。
そっと支える腕に身を預けると、彼は満足そうに笑った。
よかった。
今日も合格だと嬉しい。

恋人役らしく過ごしていると、気づけば彼を好きになっていた。
契約を名目に触れ合うことを悦び、その先を期待した。
万が一にも彼でない誰かに触れられることを想像するだけで、吐き気がするようになっていた。
さらに、未来で彼が私ではない誰かを選ぶ可能性に嫌悪する自分に気づいた。
恋人役でしかないのに、ずうずうしくて、気持ち悪くて、それでも好きで、辛かった。

提出する進路も決まらないまま、月日は過ぎる。
ある日、なんとなく、死のうと家を出る準備をしていたら彼に気づかれた。
台所で食事の片付けを終え、自室に戻り、荷物を持って居間に戻った。
書置きを残して、居間を出れば、よかった。
背後から伸びてきた腕にとめられ、叶わないと確信した。

「仕事を放棄することは許さない。
死ぬときは、一緒にいくから」

彼は温かな手で私を抱きしめて、淡々と言った。
きっと、この恋は叶わない。
仕事のためでもいい。
最後までいてくれると言った彼と一緒にいられるなら。

「どうせ死ぬ気なら、それまでに、やりたいことする。
愛人の子供らしく、最後まで一緒に、楽しく過ごそう」

初めて許可をとられることなく長椅子に押し倒された。
冷たい声とは逆の熱い手の温度。
何をするのか。
分かっていても、どうしてと聞きたくなる。
彼の顔が近づいてきて、予想通りに唇が重なった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一条さん結婚したんですか⁉︎

あさとよる
恋愛
みんなの憧れハイスペックエリートサラリーマン『一条 美郷(※超イケメン)』が、結婚してしまった⁉︎ 嫁ラブの旦那様と毒舌地味嫁(花ちゃん)....とっ!その他大勢でお送りしますっ♡ ((残念なイケメンの一途過ぎる溺愛♡))のはじまりはじまり〜 ⭐︎本編は完結しております⭐︎ ⭐︎番外編更新中⭐︎

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

そこは優しい悪魔の腕の中

真木
恋愛
極道の義兄に引き取られ、守られて育った遥花。檻のような愛情に囲まれていても、彼女は恋をしてしまった。悪いひとたちだけの、恋物語。

処理中です...