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後悔、先に立たず
3.進む、未知
しおりを挟む綺麗になった台所で、料理をする。
祖母は隣で、味付けをしている。
私は、盛り付け担当だ。
できるときは…と、
定番になった共同作業の一つ。
台所では、祖母は先生だ。
手入れが楽になった風呂の掃除も、
私が続けている。
それは、祖父が亡くなった後のお父さんと鷹広の頃から変わらない。
改装したあと、一度だけ味付けをしたことがあるが、それっきり。
鷹広でやっていた癖で、
減塩を意識した味付けになったのがいけないらしい。
家の家事は、それなりに汗をかくと言う祖母。
そして、私がやっていることも、
それなりに汗をかくことだから…というのが祖母の意見だった。
庭の手入れや電球の取り替えなど、
思えば確かにそれなりだ。
あの料理は、みんなが元気に暮らせるように…という祖母の心遣いだろう。
「できました」
「はい。できました」
「今度は、少し味付けをしますか?
私が決めている調味料を入れてもらうだけですが」
有無を言わせない笑みで、
私に聞いてくる祖母。
わざと先生らしく振る舞うような様子に、微笑ましく思う。
「はい。三空先生。
よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします。
鷹昌さん」
盛り付けが終わった食器を運び、
一緒に食べる。
片付けが終わったあと、
何気なくつけたラジオ。
流れているのは、軽快なリズムの音楽と声。
やや息苦しそうな人や悠々と話す人は、司会とゲストらしい。
一緒に体操をする企画と思われた。
「楽しそうですね」
と、楽しそうに手振りを真似をしている祖母。
せっかくなので、同じように手振りを真似してみる。
すると、祖母は目を瞬かせたあと、
再び続ける。
結局、最後まで一緒にやった。
ラジオの向こうでは、
疲れた様子の司会へゲストが心配そうに声をかけている。
「明日も、ありますかね」
「あると、いいですね」
とても楽しそうな祖母に、
思わずつられた。
おそらく、あれば明日も同じように体を動かすのだろう。
翌日。
祖母が、自らラジオをつける。
話している人は違ったが、
体操の企画はあるらしい。
宣伝の後は、恒例の…と言っている。
体操の時間より、少し早かったようだ。
「毎日あるかもしれませんね。
明日もつけていいですか?」
「かもしれないな。
だが、まずは、今日の放送だろう」
「そうですね」
笑みをこぼす祖母がラジオへ向き直った瞬間、
始まった。
軽快な音楽と共に始まるのは、
新たな習慣になりそうな楽しい時間。
まだ知らない未来へ、
また一歩、
近づく。
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