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自己中心 ― 箱庭の遊び
0.幸せになろう
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家は男性が継ぎ、女性は子を産み育てる。
大衆が支持する当たり前の幸せの形だ。
一部はありふれた幸せではなく、自分たちの幸せを持ち続けていた。
「変わり者の家だが仕事はできる」と言われている御三家。
彼らは、生まれた性別にこだわらない。
一番に生まれた順序で役割を決め、二番目に個人の能力で適切な役に振り直す。
三番目で生まれた体にできる生殖の役割を当てはめる。
親同士は愛想笑いで受け流し、話題に触れることなく互いの均衡を守っていた。
とある学び舎には、憧れの的となっている三組の男女がいた。
見目麗しく、文武に長け、誰もが一度は振り返る。
非の打ち所を探すのがほぼない実績を積み重ねて続け、
今では「理想の夫婦」と言われている人たち。
だが、彼らには誰にも明かせない秘密がある。
己の穢れとならないように、懸命に隠さなければいけない秘密が。
私たちは幸せだった。
両親や他の大人が生きる道を見せてくれた。
長子の理想を示したように、私たち末子にも理想を示してもらえたから。
望まれた枠を出なければ、確実に皆から愛情をもらえたから。
幸いにも末子の両親は、家業の跡継ぎではないゆえに楽だった。
親戚の付き合いも、与えられる役割も薄いので愛想笑いをする機会も少なかった。
私たちは幸せだった。
幼い頃から道を歩けば誰もが私たちに振り向き賛美する。
私たちにできないことは無かった。
何をしても、あまり努力はしないで相手が望む結果を出せてしまう。
自分たちの魅せ方も覚えた後は余裕の笑みが崩れるような苦労は無い。
最高の成績で卒業した学び舎。
両親が用意してくれた理想の職場で望まれた成果を出した。
私たちは幸せだった。
鏡合わせのような境遇だったが、だからこそ痛みも分け合えた。
兄や姉も含めて、家族は皆が理想的な結婚ができた。
「幸せになりなさい」と言った両親は、
持っている役割を子供に割り振り、ただの夫婦になって旅に出た。
でも、両親は知らない。
思い通りになっている子供が隠す一面を。
家を守り、妹や弟を守りながら手本になるよう育った長子は、
与えられた役を望まれたとおりに生きている。
しかし、両親や何も知らない他人には見えないところで暴走していた。
守る行動も度が過ぎて過保護に、支配者のようにふるまっていた。
善意の暴君を鎮めてくれたのは、結婚相手だった。
守られ、支配されることを望む相手を得たことで欲望が全て伴侶に向けられ、
弟や妹にはただ理想的な長子として接してくれた。
仲介役を求められた次子は、両親も含めた外面だけはよかった。
可愛い妹として姉に程よく甘えて、末子には姉の権限を使って上手く都合を調節をしていた
自分を良く見せるのも上手い。
妹としての自分と、姉としての理想の自分を維持し続けている。
圧倒的な支配を受けることなく苦痛を知らないまま育ったが、
初めて経験した挫折をきっかけに攻撃性を磨きながら、
何もしないで流れに身を任せることに心地よさを見出したらしい。
見つけた伴侶は、与えられる刺激を受け入れ、
与えられた同じくらいの支配を返す人だった。
安心して感情を向けられる相手がいることで棘が丸くなった次子は、
ただの理想的な次子になった。
素直で目上に甘えることを求められる私たちは、
彼らの人形のような気分だった。
自らだけで何かしようとすると、必ず誰かの機嫌を損ねてしまった。
手伝いを願えば満面の笑みで応えてくれる姿に、息が詰まった。
「誰かがいないと何もできない」と笑われ、可愛がられた。
姉や兄よりも成績が良いと両親は機嫌を良くして、
姉や兄は苦い顔をしながら冷たい目で笑っていた。
姉や兄よりは少し劣るが平均以上のときが一番穏やかに過ごせた。
何もかもが苦しかった。
だからだろう。
私たちは、他人に無関心と言われる人格を相手に選んだ。
可もなく不可もなく、互いの波が凪いだまま暮らせる人だ。
私たちは幸せだった。
産んだ子供が個性を表すまでは。
同じようにできる子供だと思っていたのに、違った。
どこにでもいるような個体よりは優れているが、足りない。
何でもできない子供に満足することは無い。
両親は不出来すら可愛がっているが、私たちは許せなかった。
穢れが広がらないうちに封じ込めなければいけない。
幸いにも問題なく学生生活を終えた子供たち。
選んだ仕事は職人。
私たちは作業部屋を与えて、外の世界とできるだけ離した。
成果もそれなりにでている。
これでいい。
私たちは幸せになれる。
誰もが賛美する証を失うことなく、
子供たちの暮らしも守ることができる。
幸いにも末子の両親の子供だから、家業の跡継ぎではない。
これでいい。
これでいい。
私たちは幸せになることができる。
大衆が支持する当たり前の幸せの形だ。
一部はありふれた幸せではなく、自分たちの幸せを持ち続けていた。
「変わり者の家だが仕事はできる」と言われている御三家。
彼らは、生まれた性別にこだわらない。
一番に生まれた順序で役割を決め、二番目に個人の能力で適切な役に振り直す。
三番目で生まれた体にできる生殖の役割を当てはめる。
親同士は愛想笑いで受け流し、話題に触れることなく互いの均衡を守っていた。
とある学び舎には、憧れの的となっている三組の男女がいた。
見目麗しく、文武に長け、誰もが一度は振り返る。
非の打ち所を探すのがほぼない実績を積み重ねて続け、
今では「理想の夫婦」と言われている人たち。
だが、彼らには誰にも明かせない秘密がある。
己の穢れとならないように、懸命に隠さなければいけない秘密が。
私たちは幸せだった。
両親や他の大人が生きる道を見せてくれた。
長子の理想を示したように、私たち末子にも理想を示してもらえたから。
望まれた枠を出なければ、確実に皆から愛情をもらえたから。
幸いにも末子の両親は、家業の跡継ぎではないゆえに楽だった。
親戚の付き合いも、与えられる役割も薄いので愛想笑いをする機会も少なかった。
私たちは幸せだった。
幼い頃から道を歩けば誰もが私たちに振り向き賛美する。
私たちにできないことは無かった。
何をしても、あまり努力はしないで相手が望む結果を出せてしまう。
自分たちの魅せ方も覚えた後は余裕の笑みが崩れるような苦労は無い。
最高の成績で卒業した学び舎。
両親が用意してくれた理想の職場で望まれた成果を出した。
私たちは幸せだった。
鏡合わせのような境遇だったが、だからこそ痛みも分け合えた。
兄や姉も含めて、家族は皆が理想的な結婚ができた。
「幸せになりなさい」と言った両親は、
持っている役割を子供に割り振り、ただの夫婦になって旅に出た。
でも、両親は知らない。
思い通りになっている子供が隠す一面を。
家を守り、妹や弟を守りながら手本になるよう育った長子は、
与えられた役を望まれたとおりに生きている。
しかし、両親や何も知らない他人には見えないところで暴走していた。
守る行動も度が過ぎて過保護に、支配者のようにふるまっていた。
善意の暴君を鎮めてくれたのは、結婚相手だった。
守られ、支配されることを望む相手を得たことで欲望が全て伴侶に向けられ、
弟や妹にはただ理想的な長子として接してくれた。
仲介役を求められた次子は、両親も含めた外面だけはよかった。
可愛い妹として姉に程よく甘えて、末子には姉の権限を使って上手く都合を調節をしていた
自分を良く見せるのも上手い。
妹としての自分と、姉としての理想の自分を維持し続けている。
圧倒的な支配を受けることなく苦痛を知らないまま育ったが、
初めて経験した挫折をきっかけに攻撃性を磨きながら、
何もしないで流れに身を任せることに心地よさを見出したらしい。
見つけた伴侶は、与えられる刺激を受け入れ、
与えられた同じくらいの支配を返す人だった。
安心して感情を向けられる相手がいることで棘が丸くなった次子は、
ただの理想的な次子になった。
素直で目上に甘えることを求められる私たちは、
彼らの人形のような気分だった。
自らだけで何かしようとすると、必ず誰かの機嫌を損ねてしまった。
手伝いを願えば満面の笑みで応えてくれる姿に、息が詰まった。
「誰かがいないと何もできない」と笑われ、可愛がられた。
姉や兄よりも成績が良いと両親は機嫌を良くして、
姉や兄は苦い顔をしながら冷たい目で笑っていた。
姉や兄よりは少し劣るが平均以上のときが一番穏やかに過ごせた。
何もかもが苦しかった。
だからだろう。
私たちは、他人に無関心と言われる人格を相手に選んだ。
可もなく不可もなく、互いの波が凪いだまま暮らせる人だ。
私たちは幸せだった。
産んだ子供が個性を表すまでは。
同じようにできる子供だと思っていたのに、違った。
どこにでもいるような個体よりは優れているが、足りない。
何でもできない子供に満足することは無い。
両親は不出来すら可愛がっているが、私たちは許せなかった。
穢れが広がらないうちに封じ込めなければいけない。
幸いにも問題なく学生生活を終えた子供たち。
選んだ仕事は職人。
私たちは作業部屋を与えて、外の世界とできるだけ離した。
成果もそれなりにでている。
これでいい。
私たちは幸せになれる。
誰もが賛美する証を失うことなく、
子供たちの暮らしも守ることができる。
幸いにも末子の両親の子供だから、家業の跡継ぎではない。
これでいい。
これでいい。
私たちは幸せになることができる。
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