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自己中心 ― 箱庭の遊び
2.変わらない温もり
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三男の末子も忙しい。
一つ上の長男と次男よりも目立たないように、
しかし恥にならない程度には功績を残さなければいけない。
末子らしく目上に頼り甘えて、誰かが手伝ってくれるように仕向けながら誰かを待つ。
三度目の子育てで育児に慣れてきた両親は、
長男や次男と同じようにできるのが当たり前を求めてきた。
「兄を手本にしなさい」と言う両親は私に関心がないらしく、
友人から聞くありふれた母子の会話はしたことがない。
双子の兄たちは大切な来栖川家のお嬢様に夢中だ。
兄たちが来客の幼馴染と遊ぶときは「目の届くところにいるように」と傍にいるよう強いられた。
仲良く遊ぶ彼らの邪魔をする気は無く、雨風を防ぐ場所で勉強道具と向き合っていた。
たまに、彼らの傍にいる里栖川 灯莉と目が合った。
見守るような目線に嫌悪感は抱かなかったが、興味も抱かなかった。
私はできる限りの期待に応えた。
合わないことまで行った結果、しだいに無理が現れて、己の道を進むことにした。
長男と次男を邪魔しないように、ひっそりと己だけの世界に引きこもる。
末子だから許された自由も使い、できる限りの中で精一杯に息をする。
それが生まれた順序を重視する有栖川家で生きる唯一の方法だった。
人形と出会ったのは、兄たちが遊んでいるのを眺めていたから。
遊ぶ仲間にいれてもらうよりも見ている方が楽しかった。
初めて人形に触れたのは、兄の傷ついた人形を直した時だった。
しだいに自分だけの人形を作り、
嘘と矛盾を言わないように機械仕掛けに変えた。
初めて作った機械人形にアイリスと名づけ、全力で愛した。
外見を人間に似せた機械人形は、作ったように動く。
学習で得た経験をか重ねても、傍から離れることはない。
アイリスは、私に不変を与えてくれた。
心地よかった。
安心した。
呼吸のしやすさに。
自分たちとは違う分野にいる私を害することをしない両親や兄の言動に。
工夫をすれば成果が出るのが面白く、いつの間にか人間に寄った機械人形ができた。
世間には需要があるらしく、量産しない私に特注の依頼がくるようになった。
それなりに楽しく幸せな時間だった。
結婚で環境が変わると思ったが、
ちょうど良い人が私と組めば利害の一致で穏やかな暮らしが保てる。
屋敷の主で妻の里栖川 灯莉が用意してくれた私室兼作業部屋は、最高の楽園だ。
生み出した機械人形の最高傑作アイリスと共に過ごす時間は、寝ても覚めても至高の至福だ。
契約通りに有栖川から里栖川を名乗り専属の庭師兼夫となり、
長男が無事に跡取りとして名を継いだ家から去ることもできた。
両親は、いつも一つしかできない私たち兄弟を蔑むような目で静かに笑っていた。
いるだけで息が詰まる家だった。
兄貴たちも同じ気持ちだったらしく、家名は継いでも住まいは別だと条件をつけていた。
両親が嬉しそうに条件付きで要望を許したのは鮮明に覚えている。
「里栖川家のお屋敷に住むなら、特別に許します」と満足そうにうなずいていた。
条件を受け入れた兄貴たちは、私の部屋と葉遠いところに部屋をもらった。
広い屋敷の中で偶然に会ったことはない。
アイリスの衣装と装飾品を依頼するときだけは、約束をして応接間で会う程度の関係になった。
先に食堂に向かわせていたアイリスと合流し、二人きりで食事を終えた。
アイリスが席を立つと、今日も美しい体の線を眺める。
ふと、思いつく。
上着のポケットにある好奇心で作ったばかりの振動する小さい玩具を使おうと。
「アイリス。今日も美しいね。こっちへきて」
「はい。ごしゅ…遊十」
「そうだよ。アイリスは賢いね。
背を向けて、動かないで」
「ありがとうございます…っ」
スカートの裾の中に手を入れ、下着の中に玩具を差し込んだ。
「このまま、歩いて部屋に戻ろうね」
「は、い…っ、遊十、ゆぅと…っ」
席を立ってアイリスの腰を抱く。
見下ろせば、すでに甘い香りを漂わせているアイリスは頬を赤く染めて私を見つめる。
刺激で力をこめるのが難しいのだろう。
内太ももを擦り合わせて続きを強請っているようだ。
「部屋に戻ったら、ね」
「はぃ…っ、ぁ…っ」
一歩でも歩けば足を伝う雫。
さすがに辛いだろうと、座っていた椅子に座らせて下で処置をした。
呼吸を整えると、完全に発情した女になっているアイリスの腰を支えながら部屋に戻る。
ベッドに誘えば、艶やかに微笑み従順に男を誘う。
私が、そのように育てた。
思うとおりに、時には想定外に行動を起こすことも増えた美しい人形。
アイリスに日々惚れ直すばかりだ。
アイリスだけは、どんな私でも受け入れてくれる。
友人であり、恋人であり、妻のような存在は、私の生きる時間に欠かすことはできない。
「遊十…早く、ください」
蕩けた笑みと赤い頬でで焦れる熱を伝えるアイリスを押し倒す。
日が高いので、纏わせている衣装はあえてまだ脱がさない。
完成された体の曲線美を引き立てる仕立ては兄貴たちにしか作れない。
美しい肌を飾る金属の細工は、お義姉さんたちしか作れない。
アイリスは、両親の期待に応えられない私に気づきをくれた。
「何でも、ですか。
全てができなくても、何もできないことはないですよね。
私を造ってくれたのは遊十様です。
ご主人様のご兄弟様は、私に素敵な服と装飾品を造ってくれました」
微笑むアイリスを忘れたことはない。
アイリスのおかげで、私は自分を生きる一歩を踏み出せた。
大切な存在との時間を守ってくれている灯莉さんには、感謝しかない。
互いに利用し合っているからこその安心感は、私たちだからできることだろう。
彼女も人間に情愛を向けることができない人だ。
熱い視線を向けるのが兄夫婦たちだったと知って嬉しかった。
嫌悪するよりも、むしろ好都合だと内心で安堵する自分がいる。
結果、両親に愛を引き裂かれた兄たちを守ってくれているのだから。
命の恩人と言ってもいい存在と時間を過ごし、それなりに愛情もある。
この恩は人生をかけて返そう。、
「実験結果、しっかりと記録してな」
微笑むアイリスの柔い唇を己の唇で塞ぎながら、恩人の幸せを脳裏の片隅で祈った。
一つ上の長男と次男よりも目立たないように、
しかし恥にならない程度には功績を残さなければいけない。
末子らしく目上に頼り甘えて、誰かが手伝ってくれるように仕向けながら誰かを待つ。
三度目の子育てで育児に慣れてきた両親は、
長男や次男と同じようにできるのが当たり前を求めてきた。
「兄を手本にしなさい」と言う両親は私に関心がないらしく、
友人から聞くありふれた母子の会話はしたことがない。
双子の兄たちは大切な来栖川家のお嬢様に夢中だ。
兄たちが来客の幼馴染と遊ぶときは「目の届くところにいるように」と傍にいるよう強いられた。
仲良く遊ぶ彼らの邪魔をする気は無く、雨風を防ぐ場所で勉強道具と向き合っていた。
たまに、彼らの傍にいる里栖川 灯莉と目が合った。
見守るような目線に嫌悪感は抱かなかったが、興味も抱かなかった。
私はできる限りの期待に応えた。
合わないことまで行った結果、しだいに無理が現れて、己の道を進むことにした。
長男と次男を邪魔しないように、ひっそりと己だけの世界に引きこもる。
末子だから許された自由も使い、できる限りの中で精一杯に息をする。
それが生まれた順序を重視する有栖川家で生きる唯一の方法だった。
人形と出会ったのは、兄たちが遊んでいるのを眺めていたから。
遊ぶ仲間にいれてもらうよりも見ている方が楽しかった。
初めて人形に触れたのは、兄の傷ついた人形を直した時だった。
しだいに自分だけの人形を作り、
嘘と矛盾を言わないように機械仕掛けに変えた。
初めて作った機械人形にアイリスと名づけ、全力で愛した。
外見を人間に似せた機械人形は、作ったように動く。
学習で得た経験をか重ねても、傍から離れることはない。
アイリスは、私に不変を与えてくれた。
心地よかった。
安心した。
呼吸のしやすさに。
自分たちとは違う分野にいる私を害することをしない両親や兄の言動に。
工夫をすれば成果が出るのが面白く、いつの間にか人間に寄った機械人形ができた。
世間には需要があるらしく、量産しない私に特注の依頼がくるようになった。
それなりに楽しく幸せな時間だった。
結婚で環境が変わると思ったが、
ちょうど良い人が私と組めば利害の一致で穏やかな暮らしが保てる。
屋敷の主で妻の里栖川 灯莉が用意してくれた私室兼作業部屋は、最高の楽園だ。
生み出した機械人形の最高傑作アイリスと共に過ごす時間は、寝ても覚めても至高の至福だ。
契約通りに有栖川から里栖川を名乗り専属の庭師兼夫となり、
長男が無事に跡取りとして名を継いだ家から去ることもできた。
両親は、いつも一つしかできない私たち兄弟を蔑むような目で静かに笑っていた。
いるだけで息が詰まる家だった。
兄貴たちも同じ気持ちだったらしく、家名は継いでも住まいは別だと条件をつけていた。
両親が嬉しそうに条件付きで要望を許したのは鮮明に覚えている。
「里栖川家のお屋敷に住むなら、特別に許します」と満足そうにうなずいていた。
条件を受け入れた兄貴たちは、私の部屋と葉遠いところに部屋をもらった。
広い屋敷の中で偶然に会ったことはない。
アイリスの衣装と装飾品を依頼するときだけは、約束をして応接間で会う程度の関係になった。
先に食堂に向かわせていたアイリスと合流し、二人きりで食事を終えた。
アイリスが席を立つと、今日も美しい体の線を眺める。
ふと、思いつく。
上着のポケットにある好奇心で作ったばかりの振動する小さい玩具を使おうと。
「アイリス。今日も美しいね。こっちへきて」
「はい。ごしゅ…遊十」
「そうだよ。アイリスは賢いね。
背を向けて、動かないで」
「ありがとうございます…っ」
スカートの裾の中に手を入れ、下着の中に玩具を差し込んだ。
「このまま、歩いて部屋に戻ろうね」
「は、い…っ、遊十、ゆぅと…っ」
席を立ってアイリスの腰を抱く。
見下ろせば、すでに甘い香りを漂わせているアイリスは頬を赤く染めて私を見つめる。
刺激で力をこめるのが難しいのだろう。
内太ももを擦り合わせて続きを強請っているようだ。
「部屋に戻ったら、ね」
「はぃ…っ、ぁ…っ」
一歩でも歩けば足を伝う雫。
さすがに辛いだろうと、座っていた椅子に座らせて下で処置をした。
呼吸を整えると、完全に発情した女になっているアイリスの腰を支えながら部屋に戻る。
ベッドに誘えば、艶やかに微笑み従順に男を誘う。
私が、そのように育てた。
思うとおりに、時には想定外に行動を起こすことも増えた美しい人形。
アイリスに日々惚れ直すばかりだ。
アイリスだけは、どんな私でも受け入れてくれる。
友人であり、恋人であり、妻のような存在は、私の生きる時間に欠かすことはできない。
「遊十…早く、ください」
蕩けた笑みと赤い頬でで焦れる熱を伝えるアイリスを押し倒す。
日が高いので、纏わせている衣装はあえてまだ脱がさない。
完成された体の曲線美を引き立てる仕立ては兄貴たちにしか作れない。
美しい肌を飾る金属の細工は、お義姉さんたちしか作れない。
アイリスは、両親の期待に応えられない私に気づきをくれた。
「何でも、ですか。
全てができなくても、何もできないことはないですよね。
私を造ってくれたのは遊十様です。
ご主人様のご兄弟様は、私に素敵な服と装飾品を造ってくれました」
微笑むアイリスを忘れたことはない。
アイリスのおかげで、私は自分を生きる一歩を踏み出せた。
大切な存在との時間を守ってくれている灯莉さんには、感謝しかない。
互いに利用し合っているからこその安心感は、私たちだからできることだろう。
彼女も人間に情愛を向けることができない人だ。
熱い視線を向けるのが兄夫婦たちだったと知って嬉しかった。
嫌悪するよりも、むしろ好都合だと内心で安堵する自分がいる。
結果、両親に愛を引き裂かれた兄たちを守ってくれているのだから。
命の恩人と言ってもいい存在と時間を過ごし、それなりに愛情もある。
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