影に鳴く

願いの果てに

1.ずっと一緒に

王家の掃除を続けて13代目。
この身はすでに血で穢れている。
それでも、守りたいものが一つだけ。
初恋は実らないと、誰かが言っていた。
毎夜、正面から聞こえてくる甘い音に身を焦がす。
幼い頃からの慣習は、身体の反応まで変えた。
おかしいと分かってはいても、もう、戻れない。

 
「レン、もっと奥まで…っ」

「まだだ。我慢しろ」

本来の用途とは違う使われ方に慣れた臓器は、
馴染んだ快楽を求めて疼いている。
浅いところで前後する昂ぶりを強請るが、与えられることはない。
うつ伏せで両手をとられているので、何もできないのがもどかしい。


十五歳。
大人として認められて初めての試練は、婚姻だった。
メイが癒して、レンが狩る。
ちょうどいい組み合わせだと大人たちは口をそろえた。
僕たちが一緒にいたのは相性を観察が目的だと知った。


幼馴染のおかげか僕たちはいつも一緒にいられたし、
周囲も許してくれていた。
メイが襲われそうになった時、
まだ呪術の扱いが未熟な僕とは違いレンは拳でメイを守った。
僕も武術を習おうと決意してレンにお願いすると、叶えてくれた。
求められた対価は、僕の体とメイの結界。
魔法の訓練と言ってメイに結界を張らせたレンは、
メイの目の前で僕を抱いた。
初めは痛かったが、
だんだんと慣れて快楽を求める身体も受け入れた。
しだいに、僕の痴態をみながら自慰をメイするに興奮するようになった。
最後は、蜜をこぼすメイと共に達するのがクセになっている。
もう、メイとレンがいないと生きていけない。
二人の傍にいられるなら、それでも良かった。

「レン、お願い、だから…ぁっ」

「しかたない。玩具をやるから遊んでいろ」

僕のモノに触れたレンは、慣れた手つきで玩具をつけた。
女性器を模したそれが振動を始めると、急速に射精感が増す。

「レン、気持ちい…っ、イく、僕、イきます…っ！」

「堪え性がないな。イけ」

「……っっ！ぁ…は…っ、ん、あっ、とまら、ない…っ」

一度射精すると、やっとレンが深いところを埋めてくれた。
玩具とレンとで快楽が沸き上がる。

「メイ、みえるか？玩具からこぼれるくらいイってる」

「はい。そうですね。今日は魔力の消耗が多いからでは」

「メイも同じだろ。我慢強くなったな。
ついでに後方支援を頑張ったライを労わってくれ」

「わかりました」

メイが近きベッドの上に膝をつくと同時に体勢が変わる。
いれたまま仰向けにされた刺激だけで達したモノから玩具がとられる。
自由になった手でメイの秘部に触れると、
とろりとした蜜と締めつけが僕の指を迎え入れる。

「最後は、治癒士の手でイかせてもらえ」

「あ…メイ…っ、それ、いい…っ！もっと、して…んっ、あ！ぁ、あっ、イ、く…っ！！！」

「レン…っ、…ぁ、……っ！」

「…っ、…は、……っ」

レンの熱が注がれ、メイのナカが強く収縮するのを感じながら、達した。
満たされる魔力と眠気に間ぼたが重くなり、そのまま目を閉じた。


翌日。
夕暮れ時に魔物が出ると聞いて、三人で街の郊外へ向かった。
襲われていた民を助け、逃がした。
標的を僕たちに変えた魔物が襲ってくる。

「レン。強化してる！」

「このまま突っ込む！」

「二人とも待って！傷を」

メイの治癒が体に染みるのが分かる。
駆ける間に癒えた傷のおかげで体は軽い。
そのまま、表面にいる魔物を魔術で強化した剣で貫いた。

「ライ」

「レン」

終わりの合図。
消失する魔物を目の前で確認し、
安全を確信するとメイが僕たちの全身を癒した。

「お疲れさまでした」

三人で、戦った気配すらなくなった姿で街へ戻る。

僕たちは影。
誰かに感謝されることはないが、目立つこともない。
それで、よかった。
それが、よかった。

夕飯を簡単に済ませると、
片付けをしようとしたメイに目配せをしたレン。
僕はレンに抱えあげられ、そのまま寝室へと連れられた。
この先で何をするかが分かり、体が疼く。
メイが扉に鍵をした音を最後に、意識は途絶えた。