影に鳴く

秋赤音

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雨降って地固まる、と言いますが

3.手繰り寄せて

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窓辺に小さな新緑が光を浴びて煌めく。
ナツの願いが通じたのか、少しずつだが育っている。
カーテン越しに透ける光がいいらしい。
順調に葉を伸ばすそれを楽しみに見ているナツを思い出す。
ナツの楽しみは俺の楽しみだ。

「ハル?」

まだ覚醒していない様子の足音が背中で止まる。
するりと腹へ回された腕に触れると、安堵したようなため息が聞こえた。

「どうした」

「起きたら、いないから」

拗ねた声で甘えるように身を寄せるナツ。
昨夜の名残はそのままの無防備な様がただ愛しく、
そっと向きを変えて正面から抱きしめれば綻ぶ笑みに胸が高鳴る。
カーテンをしめておいてよかったと心から思う。

「悪かった…っ、な、っ、…っ」

「…ん、…っ、…ぁ、…っっ!」

突然の口づけに驚くが、嬉しい誘いに応える。
向けられるとろりと艶のある眼差しに下半身が熱を持ち始めていた。
このままではナツと朝食を食べ損じてしまう。
それはそれで問題だ。

「ナツ、朝飯、作るか…っ、…っ!」

「ハル、僕だけを、見て、ください…ね?」

煽るように下肢で燻っている欲へ触れられ、
完全に劣情を主張している。

「ナツ、いいのか?
またベッドから動けなくなるが」

「いい、ですよ。僕、ハルがほしいです」

首に腕を回されたので、そのまま横抱きにした。
ベッドへ着くころには穏やかな寝息が聞こえている。

「…まあ、だと思ったが。おやすみ」

そっとナツを降ろすと、その横に寝ころんで腕に抱き、目を閉じる。
煽られた分は、きちんと覚醒したナツに受け止めてもらうことにした。


「ぁ…」

慌てた声に目を開けると、顔を赤くしているナツがいた。
俺の腕から逃がすわけもなく、ただ動けず劣情を服越しに感じている。

「おはよう」

「おはよう、ございます…ハル、あの。
離してくださ…っ」

抵抗して離れようとするナツの下肢に自身を押しつける。
さらに慌てて言葉を紡ぐ唇を塞ぐと、瞬く間に瞳が蕩けた。
下肢にはナツの欲を感じる。

「辛そうだな」

「ハル、が…するからです」

「先に煽ったのはナツだ。受け入れろ」

「僕、そんなこと…っ、ハル…触らないで…っ!ぁ、あっ!やめ、イく、から…っっ!」

服越しに触れただけでも染みができているモノを空気へ晒すと、
溢れる露が潤滑油のようにしてさらに愛撫をする。
もう少しで達する手前であえて止めると、続きを促すように腰が揺れている。

「やめた」

「…ぁ、ん…ぅ、…っ、ハル、どうして」

「触るな、と言った」

俺の言葉に赤い頬をさらに赤らめ、目を強く瞑る。

「触って、ください…ハル」

「触るだけでいいのか?」

ナツはさらに強く擦りつけながら息をのんだ。

「…っ!……て、ください」

「なに?」

「イかせて、ください…、…ぁ…っっ!!!」

俺の手で自慰をしているような動きに合わせて動かすと、
小さな悲鳴をあげて達した。

その後、ナツの腰が砕けるまで愛を交わした。
ベッドから動けないナツを抱き上げて一緒に入浴し、
バスタオルで身を包んでベッドへ戻る。
水を傍に置いて一度離れ、食事を作って戻ると全て食べさせた。
食器を片付けようと動こうとするが、ナツの手にとめられた。

「ハル。どこへ」

「片付け」

「一緒に…っ」

腰が痛むらしい。
服を掴まれているところへ、さらにしわが寄る。

「無理するな」

「ごめんなさい」

「気にするな。予定通りだから」

落ち込むナツの頬へ口づけると、肩が揺れた。
思い出したように羞恥と欲で潤む瞳から目を反らす。

「ハル…」

「すぐに戻る」

甘い声へ言葉を返すと、やっと離れた手。
部屋を移動し片付けをする。
早く戻ってナツの期待に応えたい。
今頃は一人で慰めているかもしれないが、
それはそれで楽しもうと思う。
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