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死後の幸彩
5.定めと約束
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儀式の前日、私服らしい装いで訪れた瑠璃さんから告げられた事実。
聞けば、何故か懐かしい感覚に納得ができた。
この魂は瑠璃さんが周囲に秘密で番に選んだ後に、現代へ送られ生きていたこと。
いつになっても番を選べない瑠璃さんに周囲が気づき、理由を話したこと。
今行われている番選びは番の魂が戻るまでの建前で、選ばれたことにして収束させること。
私たちには子供がいて、すでに番を得て幸せに暮らしていること。
これからはずっと一緒にいられる、と嬉しそうに話した瑠璃さんは部屋を出る前に口づけをくれた。
最後の儀式は、まるで愛しあう恋人がする行為だった。
されるばかりでなく、完全に動けるようになった体で彼女を愛でれば応えるように感じてくれた。
嬉しかった。
大切にしたいと、改めて思った。
後日。
瑠璃さんに連れられ初めて会う子供は、自分を見て迷わず微笑んだ。
「お母様、お父様。おかえりなさい」
「瑠唯、ただいま。羅生、ここが私達の家です」
「私達の家」
実感はない。ただ言われたことを繰り返す。
だが、それでも彼女は嬉しそうに微笑む。
「そう、私達の家。
瑠唯達は今日で本来の家に戻るから、普段は2人きり。
次に会うときは、孫が生まれるときです」
「はい。楽しみにしていてくださいね、お母様。お父様」
戸惑う自分に柔らかな笑みを向けた子供は、番様と帰路に向かった。
必要なものだけが整っている素朴な家は手入れが行き届いていた。
子供たちが過ごしていたと聞く客間も、名残すらない。
順番に案内をされて、最後は夫婦の寝室についた。
客間と寝室は、防音対策をしっかりするのが冥府流らしい。扉が閉まると、外の音が消えた。
「羅生、私、もう一人は子供がほしい、、今度は一緒に育てたい。できなくても、ね?」
上品で甘い笑みが雌の本能をさらけ出す。なにより、同じ願いを抱いていることが嬉しい。
「瑠璃さん。私も、同じ事を考えていました」
「嬉しい、、羅生」
抱き寄せられた体。重なった唇。満たされているような穏やかな彼女の笑み。欲情し熱い柔肌を優しく暴き、最果ての先へ導いた。
あれから3年。穏やかなな日々は続き、幼い我が子と孫の成長を育てながら見守る。
妻であり母の瑠璃の傍らで過ごす時間は、全てが大切になっている。
何気なく目があって、幸せだと穏やかな笑みの彼女は音もなく語る。
「瑠璃」
「羅生?」
ああ、幸せだ。呼べば返る声さえも嬉しいのだと。
敬称をつけなくなった頃、自分でも大げさだと思いながら、幸せで、嬉しくて告げたことはある。
彼女は自分よりも嬉しそうに、何度も名を呼びながら泣き出したことを思い出す。
泣き顔もいいが、やはり笑っている方がもっといい。
作った顔も美しいが、自然とこぼれる表情はさらに美しい。
全てを見ることができるのが嬉しい。
「瑠璃」
「羅生。これからも、ずっと、一緒です。子供は、わからないけれど」
「はい。瑠璃と、ずっと一緒です。子供が旅に出ても、ここで。私達の家で、子供たちを待てばいい」
言った後で自分の発言に気まずくなる。
この家は瑠璃が主だから、瑠璃と子供たちなら言っても許される事柄だった。
だが、訂正すれば寂しい思いをさせるかもしれない。
だが、間違いは謝らなければ。
「そう、ですね。はい、ここは私達の家です。私の羅生は、ずっと一緒です」
謝る前に、瑠璃は嬉しそうに微笑む。
瑠璃が願うなら、これからも共に守り続けよう。
きっと、これは自分にしかできないことだ。
そうであるように、大切に、大切に。
聞けば、何故か懐かしい感覚に納得ができた。
この魂は瑠璃さんが周囲に秘密で番に選んだ後に、現代へ送られ生きていたこと。
いつになっても番を選べない瑠璃さんに周囲が気づき、理由を話したこと。
今行われている番選びは番の魂が戻るまでの建前で、選ばれたことにして収束させること。
私たちには子供がいて、すでに番を得て幸せに暮らしていること。
これからはずっと一緒にいられる、と嬉しそうに話した瑠璃さんは部屋を出る前に口づけをくれた。
最後の儀式は、まるで愛しあう恋人がする行為だった。
されるばかりでなく、完全に動けるようになった体で彼女を愛でれば応えるように感じてくれた。
嬉しかった。
大切にしたいと、改めて思った。
後日。
瑠璃さんに連れられ初めて会う子供は、自分を見て迷わず微笑んだ。
「お母様、お父様。おかえりなさい」
「瑠唯、ただいま。羅生、ここが私達の家です」
「私達の家」
実感はない。ただ言われたことを繰り返す。
だが、それでも彼女は嬉しそうに微笑む。
「そう、私達の家。
瑠唯達は今日で本来の家に戻るから、普段は2人きり。
次に会うときは、孫が生まれるときです」
「はい。楽しみにしていてくださいね、お母様。お父様」
戸惑う自分に柔らかな笑みを向けた子供は、番様と帰路に向かった。
必要なものだけが整っている素朴な家は手入れが行き届いていた。
子供たちが過ごしていたと聞く客間も、名残すらない。
順番に案内をされて、最後は夫婦の寝室についた。
客間と寝室は、防音対策をしっかりするのが冥府流らしい。扉が閉まると、外の音が消えた。
「羅生、私、もう一人は子供がほしい、、今度は一緒に育てたい。できなくても、ね?」
上品で甘い笑みが雌の本能をさらけ出す。なにより、同じ願いを抱いていることが嬉しい。
「瑠璃さん。私も、同じ事を考えていました」
「嬉しい、、羅生」
抱き寄せられた体。重なった唇。満たされているような穏やかな彼女の笑み。欲情し熱い柔肌を優しく暴き、最果ての先へ導いた。
あれから3年。穏やかなな日々は続き、幼い我が子と孫の成長を育てながら見守る。
妻であり母の瑠璃の傍らで過ごす時間は、全てが大切になっている。
何気なく目があって、幸せだと穏やかな笑みの彼女は音もなく語る。
「瑠璃」
「羅生?」
ああ、幸せだ。呼べば返る声さえも嬉しいのだと。
敬称をつけなくなった頃、自分でも大げさだと思いながら、幸せで、嬉しくて告げたことはある。
彼女は自分よりも嬉しそうに、何度も名を呼びながら泣き出したことを思い出す。
泣き顔もいいが、やはり笑っている方がもっといい。
作った顔も美しいが、自然とこぼれる表情はさらに美しい。
全てを見ることができるのが嬉しい。
「瑠璃」
「羅生。これからも、ずっと、一緒です。子供は、わからないけれど」
「はい。瑠璃と、ずっと一緒です。子供が旅に出ても、ここで。私達の家で、子供たちを待てばいい」
言った後で自分の発言に気まずくなる。
この家は瑠璃が主だから、瑠璃と子供たちなら言っても許される事柄だった。
だが、訂正すれば寂しい思いをさせるかもしれない。
だが、間違いは謝らなければ。
「そう、ですね。はい、ここは私達の家です。私の羅生は、ずっと一緒です」
謝る前に、瑠璃は嬉しそうに微笑む。
瑠璃が願うなら、これからも共に守り続けよう。
きっと、これは自分にしかできないことだ。
そうであるように、大切に、大切に。
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