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閉ざされた箱庭
2.光は降り散り
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あたしは、夜闇と楽しく暮らしたかっただけなのに。
汚物は消しても無くならない。
無くなるどころか、増えるばかりで。
あたしは、全てを反射しても焼き消すこともできる。
夜闇は全てを受け止めることをやめられないから、壊れていく。
何もない大地が恋しくて、広い荒野と高い空が懐かしくて苦しい。
澄んだ泉に映る暁や夕暮れと星の瞬きが見たかった。地上を戻すのは難しいと思った。
だから、夜闇と空へ行けばいいと。
汚物を避けながらにはなりそうだが、天空を飛び回るのもきっと楽しい。
でも、夜闇は地上を守ると言ったから。
壊れかけた夜闇がようやく自分を守るために創り出した宝石は、消耗すれば壊れる。
が、少しずつ夜闇の心は回復していた。
でも、間に合わない。
あたしだけでは、夜闇と穏やかに暮らせない。
清らかな雷鳴も雷も、多数の汚物に圧倒されている。
あたしと夜闇の怒りと苦しさが混ざり絶望に近づいていた時、炎胡が現れた。
燃えるような赤を待とう炎胡は、炎の一振りで周囲の汚物を消した。
夜闇も、炎胡が与えた炎でやっと、全てを受け止めなくていいことが実行できる力を得たようだ。
あたしではできなかった。
あたしが与えた眩い光は美しい星の導となっているけれど、夜闇を壊す汚物は消えてくれなかった。
宙で揺らぐ力はそよ風となって大地を翔けるけれど、夜闇の足は穢れている地についたまま。
だから、
「ありがとうございます」
あたしは彼に、炎胡に願おう。あたしにも炎を、汚物を払える力がほしいから。
「お願い。あたしに、あなたの力を分けてほしいの」
分けてもらった炎は、汚物を焼き払うことができる。
そして、使えば使うほど代償に自分自身も傷がつく。
できる傷の痛みは想像以上で、初めて知る感覚に夜闇が受けているはずの痛みを思った。
今日も汚物を少しだけ焼き払った。
本来は持っていない力だから、光だけでは消えない時だけ使うことにした。
が、炎を扱った右腕の肌が赤くて痛い。どうしてだろう。
相手に触れることなく全てを拒絶していることに変わりはないのに。
向けた光で目が眩んだことは無いのに。
誰もいなくなった場所で、わずかに漂ったままの汚物を見つけるが体が上手く動かせない。
「ぃぎいぁああぁあっ…っぅう…きえ、ろぉおおおお」
光で照らせば消えた汚物。綺麗になった視界に安堵すれば、痛みはさらに悪化する。
痛みを無視をすれば、気づいたときに積もっている。
時間が過ぎれば治ると知っても、今痛いことが辛い。
慰めるような通り雨が降り止んだ大地に膝をつき、痛みが過ぎるのを待つしかない。
炎胡は力の代償も教えてくれたから、知ったうえで得たのだから。
自分で越えなければ。
唯一痛みに寄り添ってくれそうな夜闇は傍にいない。
「ぅう…っ。夜闇…」
全てを受け入れる夜闇。
受け流せるようになっても、一度は身に受けている夜闇。
これだけで痛いのだから、もっと。
あたし、頑張るから…。
ふと、水たまりに映ったあたしが歪んだ、気がした。
「一人で辛いなら、二人で分け合おう」
声がした。優しく甘い声だった。
水たまりに映ったあたしはなぜか白銀の髪をしていた。
月光のように穏やかな笑みに夜闇を思い出す。
「あたしはアタシ、アタシはあなた。
怖いものはアタシが引き受けるから、あなたは夜闇の光でいてね」
一瞬の出来事だった。水たまりに映ったあたしは見慣れた白金色。
周りを見渡しても声は聞こえない。
不意で焼いた大地に触ってしまった。
痛い。
痛いけど弾かれたように一瞬で消える。
これなら、今よりもっと何かができる気がした。
「夜闇。あたし頑張るよ」
汚物は消しても無くならない。
無くなるどころか、増えるばかりで。
あたしは、全てを反射しても焼き消すこともできる。
夜闇は全てを受け止めることをやめられないから、壊れていく。
何もない大地が恋しくて、広い荒野と高い空が懐かしくて苦しい。
澄んだ泉に映る暁や夕暮れと星の瞬きが見たかった。地上を戻すのは難しいと思った。
だから、夜闇と空へ行けばいいと。
汚物を避けながらにはなりそうだが、天空を飛び回るのもきっと楽しい。
でも、夜闇は地上を守ると言ったから。
壊れかけた夜闇がようやく自分を守るために創り出した宝石は、消耗すれば壊れる。
が、少しずつ夜闇の心は回復していた。
でも、間に合わない。
あたしだけでは、夜闇と穏やかに暮らせない。
清らかな雷鳴も雷も、多数の汚物に圧倒されている。
あたしと夜闇の怒りと苦しさが混ざり絶望に近づいていた時、炎胡が現れた。
燃えるような赤を待とう炎胡は、炎の一振りで周囲の汚物を消した。
夜闇も、炎胡が与えた炎でやっと、全てを受け止めなくていいことが実行できる力を得たようだ。
あたしではできなかった。
あたしが与えた眩い光は美しい星の導となっているけれど、夜闇を壊す汚物は消えてくれなかった。
宙で揺らぐ力はそよ風となって大地を翔けるけれど、夜闇の足は穢れている地についたまま。
だから、
「ありがとうございます」
あたしは彼に、炎胡に願おう。あたしにも炎を、汚物を払える力がほしいから。
「お願い。あたしに、あなたの力を分けてほしいの」
分けてもらった炎は、汚物を焼き払うことができる。
そして、使えば使うほど代償に自分自身も傷がつく。
できる傷の痛みは想像以上で、初めて知る感覚に夜闇が受けているはずの痛みを思った。
今日も汚物を少しだけ焼き払った。
本来は持っていない力だから、光だけでは消えない時だけ使うことにした。
が、炎を扱った右腕の肌が赤くて痛い。どうしてだろう。
相手に触れることなく全てを拒絶していることに変わりはないのに。
向けた光で目が眩んだことは無いのに。
誰もいなくなった場所で、わずかに漂ったままの汚物を見つけるが体が上手く動かせない。
「ぃぎいぁああぁあっ…っぅう…きえ、ろぉおおおお」
光で照らせば消えた汚物。綺麗になった視界に安堵すれば、痛みはさらに悪化する。
痛みを無視をすれば、気づいたときに積もっている。
時間が過ぎれば治ると知っても、今痛いことが辛い。
慰めるような通り雨が降り止んだ大地に膝をつき、痛みが過ぎるのを待つしかない。
炎胡は力の代償も教えてくれたから、知ったうえで得たのだから。
自分で越えなければ。
唯一痛みに寄り添ってくれそうな夜闇は傍にいない。
「ぅう…っ。夜闇…」
全てを受け入れる夜闇。
受け流せるようになっても、一度は身に受けている夜闇。
これだけで痛いのだから、もっと。
あたし、頑張るから…。
ふと、水たまりに映ったあたしが歪んだ、気がした。
「一人で辛いなら、二人で分け合おう」
声がした。優しく甘い声だった。
水たまりに映ったあたしはなぜか白銀の髪をしていた。
月光のように穏やかな笑みに夜闇を思い出す。
「あたしはアタシ、アタシはあなた。
怖いものはアタシが引き受けるから、あなたは夜闇の光でいてね」
一瞬の出来事だった。水たまりに映ったあたしは見慣れた白金色。
周りを見渡しても声は聞こえない。
不意で焼いた大地に触ってしまった。
痛い。
痛いけど弾かれたように一瞬で消える。
これなら、今よりもっと何かができる気がした。
「夜闇。あたし頑張るよ」
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