輪廻の終わりで

秋赤音

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閉ざされた箱庭

忘れられる逢瀬

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光那ひな?」

炎胡こうが、光那ひなをみている。劣情が交じる瞳が、光那あたしをみている。それだけで光那あたしは体は熱さを増し、絶頂したばかりの腹の奥からなにかが溢れる。
光那あたし炎胡こうへ見せるように腰を振って、目の前に蕩けた陰部を晒す。

「…ぁ、みない、で…っ…ぃやあぁあんっ」

飛沫く陰部の水が近づいてくる炎胡こうの足にかかった。

「穢れの…いや、俺の力、痛みのせいか…?光那ひな

「ぁんっ…ぁ、あっ、痛い、の…わかってたぁんっ、からぁああっ……気にし、なぁっ、ぃ……っ」

炎胡こうの目の前で加速する穢れの確認と自慰行為。じっと見つめられながら何度も緩い絶頂を繰り返す。
理性が飛んでいる光那あたしは、熱い眼で炎胡こうを見つめるだけ。
炎胡こうは、水たまりに映る光那アタシにも気づいたようだ。
困惑し、不安も混じった表情で光那ひなを見つめる。

「気に、する。俺にできることは…痛みを紛らわせることだけだ」

「ぁっ、なら、してっ。炎胡こうの指、で慰め、てっ」

「わかった」

炎胡こう光那ひなの体を抱きしめた。
暖かい。
温かい。
熱い。熱い。
熱い。
炎胡こうの指がドレス越しに胸を這い、陰部へ伸びている|光那ひなの手を包んだ。
愛撫され、背後に当たる熱いナニカを感じながらの絶頂。腹の奥へ精を受けることはなかった。
が、光那アタシは熱を交わしてしまうことで変わった光那あたし炎胡こうの記憶を消した。
覚えているのは光那アタシだけ。
いえ。夜闇よいもきっと感じている。光那ひなが作った水たまりにできた穢れを身に受けてしまうから。
あれから、光那あたしは穢れ払いへより気を張るようになった。
記憶はなくても本能が避けるようだった。
でも、体の感覚は消しきれない。
チカラを使うたび痛む体は、気を紛らし求める快楽も過激になる。

炎胡こうに見つかった日は必ず処女を破る寸前まで行われている。
そのたびに二人の記憶を消す光那アタシは、光那あたしへの妬みと寂しさと虚しさを力に変えていた。
繰り返すと、光那あたしが眠った後で少しだけ体を動かせるようになった。

そして、ついに憧れを叶えた。
今日も淫らな記憶を消した後、疲れて眠った光那あたしの体を借りる。
隣で眠る炎胡こうと向き合って、服越しに手で下肢にある男性の証をなぞってみる。
だんだんと硬くなって、熱くなって。
光那あたしは忘れている慣れ始めた愛撫を思い出した。
光那あたしはしたことがないコトをしたくなり、ドレスを胸元だけ緩めた。柔く手に余る胸を硬いモノへ包むようにそわせて、なぞる。
薄い皮膚ごしに感じる熱と共に身も蕩けて、弾けた瞬間に光那アタシも絶頂した。
まだ目覚めない炎胡こうの手を借りて、疼く陰部と胸を刺激する。

「あっ、んはぁ…っ、…これ、がっ……ぃ、いっ…もっと……っ」

すると、炎胡こうの影から穢れの腕がのびてきた。
光那アタシは迷わず受け入れる。抱きしめるように素肌を這いながら的確に快楽へ誘う炎胡こうの感情が愛おしい。炎胡こうの胸へ身を預け、ほしかった熱さを味わう。
だが、光那あたしの意識が目覚めようとしている。

「そう、よ…っ、んぁあっ……っ…ん、んんっ、あたし、だめっ…こなぃでっ…ぃやぁ…っ」

光那ひな…?」

目覚めた炎胡こうが、ぼんやりと光那ひなを見つめて、口づけをくれた。
光那アタシだとわかっていなくても、嬉しかった。
同時に絶頂し、炎胡こうから生まれた穢れも消えて。
光那アタシはあたしの内側へ帰る。
炎胡こうの記憶を消したら、何もなかったように穏やかな笑みで抱きしめてくれた。
光那あたしは困惑しながら腕を炎胡こうの背に回して受け入れるから。
光那アタシも、光那あたし。でも、光那ひな光那あたしだけ、なのよね。
影になると決めた光那アタシを恨み、光那あたしを妬み、嫉み、恨む気持ちが増えていく。
今日も全てがチカラに変わって、あたしを動かす。
光那アタシは痛みながら見ているだけ。

炎胡こう。今日も一緒に頑張りましょう」

「ああ、困ったら呼べ。俺は光那ひなを必ず助ける」
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