輪廻の終わりで

秋赤音

文字の大きさ
24 / 41
他様生

建前の裏側

しおりを挟む
とある一室。
窓からの薄暗い光が、血の気のない女の肌を照らす。乱された衣服と壊された貞操帯、首に描かれた刃線。見た者たちは、目を伏せて手を合わせる。

「壊しですかね?上手いです。傷に無駄が無い」
「ああ、慣れているな」

若い仕事人は、壊れている貞操帯の電子制御へ機械を近づける。機械は、記録されている履歴を表示する。顔にシワのある仕事人は、苦い顔で録音されている音声の確認も促す。

「壊されてます。音声は…ひどいですね。脅迫され、拒否した後に破壊し強姦です」
「…ああ、ひどいよな。まあ、分かるようになっただけマシか」
「そうですね。一方的に加害者が守られることはありません」
「冤罪ではなかったことも分かるしな」
「そういえば、新作の試験。来週だったな」
「はい。彼女に協力してもらいます」
「そうか。結果報告は、忘れないように」
「はい」

仕事人たちは、貞操帯に残された証拠を元に犯人を追う。今夜も、家に帰るのは難しい。

貞操帯が定着すれば、弱点を利用し違法な壊す方法もしだいに考えられるようになった。見つけられ、広がって、性被害は質も悪化する。
対策を検討され、少しずつ改良の末に完成した追加された履歴機能。正しい証拠を得られ、事情聴取で嘘か確認するのが目的だ。専用の機械でしか履歴を読み取れない。
『生き残った被害者が証言を行う苦しみを減らし、亡くなった被害者の事実を明らかにするために』とあくまで事実調査向きに開発される。

仮眠室では、男女が疲れとストレスを発散していた。それぞれの指に光る輪に、抑止の意味はない。男は立ったまま仕事着を乱し、貞操帯はそのままで女の腰を支えている。女は壁にすがり男へ尻を突き出し、胸部の守りだけはそのままで下肢を晒す。浅いところで交わる所からは、乾くことなく体液が滴り落ちる。

「んっ、もぅ、ぁれぇ……んはぁっ、めんどくさぃいいっ……早く、認めてくれればああんっ」
「物理証拠も、遺伝子証拠も…あるから、な」
「あなたも、そろそろ…家に、ぃるよりっ……んっ、あぁっ……一緒に、イきたぃのにいぃいいっ」
女はぐったりと荒い呼吸を沈めながら、男へ煽るような眼差しを向ける。
「少し…認めたくない、気持ちがわかるかな。
さて、新作帯の実験だ。避妊具型、薄くて丈夫で、漏れにくい。と聞いたが」
応えるように、男は微笑む。ゆっくりと焦らしながら、女のさらに奥へと己を突き上げる。
「んんっ……ぁ、あっ…ん、ぅ…悪い人」
女は嬉しそうに艷やかな笑みを浮かべ、腰を男の方へ押しつける。
「お互い様、だろう。試験結果は有意義に使われる」
「あっ、うぅっ…んぅうっ、はぁああんっ」
「もし、君が犯されたときは。必ず、自分が捕まえる。だから、まっすぐに、生きてくれ」
「あ、ぁっ…いやぁっ、みないでぇっ…、私はぁあああっ」
互いに違う意志を示すよう、見つめ合いながら、激しく体を交じり合う。
「大丈夫。自分は、君の全てを肯定する。君が、そうしてくれているように」
「あっ、ぅぁんっ…ずるぃいっ…ぃっしょに、一緒に捕まえて、生きる、からぁっ」
「それが、望みなら。叶える努力はしよう」
「あぁあっ、も、イくっ、ぃくうぅううううっ」
「…っ、……先に、出る」
「もし、記録が、壊れて。あなたが疑われても…私は、信じる。犯人、捕まえる…っ」
「頼りに、している」
男は女から離れると、身を整え部屋を出た。
「医務室、いかないと」
女も身を整えて部屋を出る。医務室で、調査用の体液を採取された結果は優秀だった。
後に製品化された新作の男性用貞操帯は、望まない出産を防ぐ確率を上げた。悪用されても被害が少なくと調査しやすいよう研究は続く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...