代償 ー願いの対価ー

秋赤音

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1.ホコリ

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廃れた二つの玉座が見下ろす場所に、一人の女性が佇んでいる。王がいるべき場所は空で、隣には堂々と笑みを浮かべる女性が座っている。見下ろす先には幼い10歳の男女が頭を垂れていた。
「シラハ。今度の舞踏会で、伴侶を選びなさい。レイヤの妻に相応しい女性を選ぶための機会だけれど、集まる女性目当てや挨拶にくる男性もいるはずです。ハクトも伴侶を選びなさい。多くの女性が集まります。」
妃の椅子に座る女性は、軽い口調で告げた。与えられた指示に、女性はため息をつきながら、笑った。
「はい。お母様。」
縁結びの品を落としてもいいですから、良い男性を選びな「落としません。」
「まあ、そう言わず。拾った方を探せば、運命に出会えるかもしれませんよ。」
「失礼します」
幼子が出ていき残された女性は、歪んだ笑みを浮かべた。

手入れされている廃墟の城にある一室。自室に戻った幼子たちはソファーに隣り合わせで座り、同じ顔を向かい合わせて苦笑する。
「ハクト、お義母様は貴族ごっこをいつまで続けるのでしょう?」
「シラハ…同じ女なら共感できることもありそうなのに。…お父様が、お母様と別れるまで続くかもしれない。」
小さな紳士の言葉に同調する幼い淑女はため息をはく。
「早く、結婚した方が楽そうね。冒険者よりは、安全に口論もなく家から離れられそう。」
「旅をしたいなら、すればいい。」
「ハクトは男の子だから言えるのよ。私は…。」
「大丈夫。冒険者の人と結婚したらいいんだよ。それまでは、僕が守るから。ね、シラハ。」
「ハクト…ありがとう。」
二人は抱き合い、共に眠る。

レイヤは母親が違う白亜の妹を気にかける。
甘やかし、許されるうちは傍にいない時間の方が短いくらいだった。他者から見れば仲が良いように見えるが、レイヤは悩んでいる。
レイヤが義妹のシラハを見つめて考えているのは、今と過去だ。家族の前では腹違いの優しい義兄。
しかし、寝室で一人になると過去の艶やかな記憶が劣情を煽る。7歳の頃からハッキリと見えるようになり、10歳になる頃には強い刺激にも順応し自己処理するのも慣れてしまった。
「レイではない…俺はレイヤ…っ…は、ぅ…おと、は…っ」
脳裏には知らないはずの義妹に似た大人の女が蕩けた笑みを浮かべて夫に抱かれている。熱を解放する度に強くなる劣情と罪悪感で潰れそうになっていた。
通例では成人の15歳で伴侶を定めるが、腹違いの双子である弟妹は例外になった。時期が早まった理由に自分が無関係ではない自覚はある。
おそらく無意識にシラハを見る目が、距離感が兄妹のものでないのだろう。どこにでもいる兄妹のように愛しているだけなのに。
「…ごめんな。」
まだ眠る気配がない欲望の象徴は、本能のまま種付けの用意を整え続けている。伝わらない謝罪は湿る空気に消えた。
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