師追う背陰

秋赤音

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01.群れる兎-睦の先で

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六兎むつとは教会長の息子にして従順な部下、だった。

表に出来ない秘密の仕事を任されて、時には殺めることも迷いない。
勉強のためと初めて抱いた女性は教育係の保波 流錬ほなみ ながれ
一度では身につかないと抱き続けたのも保波 流錬ほなみ ながれ。 
必ず絶頂するときに叫ぶのは、一兎いちと様の名前。
愛らしい声で呼ばれる相手が羨ましかった。
一兎いちと様は、男女の行為の記憶だけは操作されて覚えていないから少し憎かった。
知っているのに知らないまま過ごせる幸せ。
それが本人にとって幸せかは分からないし、自覚させてもらえないと分かっていても。
彼女が抱かれ慣れていることに苛立ち、自分だけを見てほしいと願った瞬間に一人の女性として好いていると自覚した。
だが、誰かだけを想う様も含めて好いていると自覚すると苦しいばかりになった。

想いを隠して過ごしたが、愛する人保波 流錬 が消されてからは従順な部下でいられなくなった。
二度と会えない銀の髪と青い目を記憶の奥に隠して、従順なフリをして息をしているだけだった。
愛する人保波 流錬  の死を知ったのは、仕事一兎様の護衛から帰った直後だった。
本当は彼女の目が欲しかったけれど、本来は彼女が持って逝くほうがいいと思ったので言わなかった。

数少ない楽しみは、我が身が可愛い教育係に生きる術を学んだことを自分が生きるために使うだけ。
一兎いちと様を、影から支える誉れな仕事は生き甲斐になっている。
父親上司譲りのグレー髪と、写真だけで知る母親に似る深紅の目はいつ見ても嬉しい。
弟の九兎くうとに自分の一部を教えて、功績を残す楽しさを知る。
すると、俺の補佐に弟の十兎とうとが与えられた。
グレー髪と深紅の目は俺と同じで、同じ培養の子宮で育っても、一兎いちと様の経験も含めた自動学習装置で学び育った様に学ぶことも多い。
でも、三目 咲夜みつめ さくやが来た瞬間に全てが変わった。
白銀の髪と煌めく澄んだ紫の目は見ていると、嫌な予感で腹の奥が煮えそうだった。 


やはり問題は起こった。
一兎いちと様が夢中になるから、一度は会わされたが二度目は無かった。
想定外に執着していたようだ。

年齢が同じ九兎くうと一兎いちと様の身代わりになり三目 咲夜みつめ さくやを引き離す作戦、だった。
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