師追う背陰

秋赤音

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一人の兎-if.壊れても守るから

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逃げ切るために、あえて未使用の部屋に入る。
埃はないから手入れはされているようだった。

「ええと…ありがとう。一兎いちとちゃん、怖かったから…っ」

肩が震えている彼女を抱きしめた。

「大丈夫。僕が守るから」

「うん…ありがとう。あなたは誰ですか?女装してました、よね…?」

「僕は、 九兎くうと。九の兎と書いて 九兎くうと
女装はする理由があっただけ」

「そう、ですか…いつも、守ってくれて、ありがとうございます」

静かに泣き始めた彼女が流す涙を指で受けた。

「…っ、くうと…くんっ?」

咲夜さくや、の涙は綺麗だね」

「…っ!なまえ…っ」

「あの人と同じはやめる。僕もくん、つけなくていい。
ここも安全とは言えないから、よければ僕の勉強部屋で休もう?」

「うん」

彼女が安心したように柔らかく笑むから、嬉しかった。
僕の勉強部屋は彼女を初めて連れる部屋だけど、見た目は全部同じ。
一兎様といたときと違う部屋だって気づくかな?
私室の一つに与えられたお香を置いている部屋に着いたら鍵をかける。

「ここ…香りが、今までと…ちが、う?ぁ…っ」

フラりと倒れそうになった彼女を抱えあげる。
体温を確認するために首筋に触る。
撫でて、指先で軽く叩くか押し当てると熱くなり始めている体は女性だけに誘淫効果のある香りのせいだろう。
初めてくる部屋だと気づいてくれたのが嬉しくて、ドキドキした。
彼女とさらに思い出を重ねていく大きな一歩は、想像よりも心が跳ねた。

「大丈夫?」

「ぅ…んっ、ふ、ぅっ…ぁ、あっ…ん…んっ!」

「ベッドに運ぶよ」

滑りの良い冷たい生地が敷かれたベッドは彼女を興奮させるらしい。

「ぁひっ!つめ…たぃいっ!あつい、あつい…っ!」

恥ずかしそうに壁へ身を寄せた彼女。
寝返りながら冷たい布に体を押しつけると甘い香りが強くなる。

「ぁ…は、あぁあっ!いゃぁ…っ、あつぃ…っ!あついよぉ…っ!」

うつ伏せられている足に流れるとろんとした液体を指先でなぞると、彼女は高い声で絶頂した。

咲夜さくや。熱いの嫌?どこが熱い?」

「ぃやぁあっ…!おなか…むね、もぉ…っ!助けて、くうと…んぅうっ!」

背中から肩と腰に触れると、彼女が震えて艶やかな悲鳴を上げる。

「わかった。僕が守るから…ずっと傍にいてね。咲夜」

「んっ!んぅ…ずぅっと、いっしょ…んぁっ!あ、たって…っ!」

「うん。僕も男だから。好きな子に煽られれば、こうなる」

彼女から離れてきている服を脱ぎ、正体を明かす。
座って僕を真っすぐに見た彼女がシーツに染みを作って広げている。

「ぁあ…っ、ぉ、き…っ、ん…っ、ぁ…っ!ほし、ぃ…っ」

彼女の目がとろりと妖しく笑む。
自ら服を脱いで惜しみなく裸体を晒す彼女を見届け、一糸も邪魔がなくなった姿を目に焼き付ける。
彼女の足を開いて、体液が流れている女性の陰部を目前に晒す。

「触って、いいの?」

「くうと、に触ってほしいの…ここ、も…ぜんぶっ!」

「わかった」

愛し合うための大切な穴は指で撫でて、小さい突起を軽く押す。

「んひぃいいんっ!ぁついの、とまらなぃよぉ…っ!」

指を浅く、深く、押しつけたり、出し入れする。
触るたびに体液をこぼしながら跳ねて、喘いで、快楽をねだるように押しつけてくる。

「お腹の奥も、冷ますからね」

「んっ!あついの、だして…っ!くぅとぉ…っ!」

示され大きく開かれた陰部は、これから少女から女のものへと変わる。
一つになって、熱を分け合って。
女になった彼女は、九兎を呼んで、狂ったように九兎をさらに求めた。
毎朝、毎晩。

僕の新しい仕事は、彼女と子供を造る手伝いをすること。
遺伝子の回収と提供をするまでが大切な役割になった。
彼女は7日が過ぎる頃は淫らに染まり、お香がなくても発情する。
九兎だけを呼ぶ彼女は、過去の一兎様ごと癒してくれる。
目が覚めるとキスから始まり、互いに汗を流して食事をとる。
甘味を食べるように互いを求めて貪り、気が済むと食事をする。
一緒にお風呂へはいると必ず彼女から誘ってくれるようになり、繋がっていない時間を数える方が少ない日々。

夕食の前に身を清めたばかりの彼女は、今日もすでに発情している。
胸の前で手を組み、潤んだ目で僕の前に立ち、じっと見つめてくる。
着替えた服は彼女を引き立てる装飾でしかない。
じっと頭から爪の先まで見つめる。

「ぁっ!…#九兎__くうと_#、いつまで…みて、いるの…っ?胸が、苦しいの…っ、ここ…っ」

彼女が僕の手をとり自身の胸におしあてる。
手のひらで感じるすでに硬い胸の先。
本来なら赤子と共有しているはずの聖域は、女の欲望を隠さず甘く熟れて男を誘う。
濡れて透けているスカートの一部を見つめるだけで、ついに足に雫が伝って床まで濡らす。

「#九兎__くうと_#。もう、我慢できないの…早く、ぅ…ぁあっ、見ないで…もう、ィ、く…イくぅうう!」

ぐったりと倒れそうになる彼女を支えて抱き上げる。
今日は手加減しないといけなかった。
明日は母体の定期検査だった。
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