瞬く間に住む魔

秋赤音

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4.閉ざされた場所で

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用意された部屋に泊ったクラフ家。
煌びやかな舞踏会の翌日。
フィーナ・クラフは、サンルーナ国にある別荘へ移動したと同時に男性と対面する。

「この中から、結婚する相手を選びなさい。
優れた遺伝子を造るのも、これも代表貴族としての仕事だ」

「あなたのために選びました。
舞踏会は自分で選ぶ最後に与えた機会だったの。
掴まなかったのはあなたよ」

両親が選び連れてきた大半の男性たちは、獲物を狙う目でフィーナ・クラフを見つめている。
顔から感情が消えたフィーナ・クラフが選んだのは、艶やかな黄の髪と無気力な緑の目をした男性。
応接間へと移動した二人は、対面するよう椅子に座り目を合わせる。

「私は、フィーナ・クラフ。
オーウィン国の第三王女の三女です。
あなた様、名前は?」

「リンと申します。
四男で、サンルーナ国の平民です。
遺伝子だけは優れている、と言われます」

男性は陰のある作り笑顔で女性に応じている。

「優れた遺伝子があるなら、暗い顔をする理由が私には分かりません。
どうして?」

女性は、首を傾げ問う。
すると男性は苦い顔で笑った。

「あえて、隠しません。
興味が無いことを行わなければいけない苦痛を抱えて、心から笑むことはできません。
しかし、遺伝子を残すことが役割だと聞かされ生きています。
これは、どんな功績を残しても、変異種ゆえに遺伝子を残さない限りは価値が無い命です。
自分に限っては、意思を持った道具は欠陥品と同じです」

己は道具だと嗤う男性。
女性は椅子から立ち上がり、男性の隣に座った。
そして、両手で男性の手をとり包み込んだ。

「私も道具です。
変異種の二世代目でありながら、今日まで役割を知りながら放棄してきました。
そして、元素種の民の辛さよりも、自分の楽しみを優先させてきた。
だから、興味が無いことを行う辛さも分かる。
同じ想いを抱える私たちなら、きっと穏やかな暮らしを過ごせる。
そう、思いませんか?」


「そう、ですね。
これから、よろしくお願いします」

繋がれた手。
男性は女性の左手をとり、誓うように甲へと口づけた。

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