瞬く間に住む魔

秋赤音

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花は愛を乞う

6.美しく咲くために

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異母姉が実験体に選ばれた。
半分は同じ血が流れているのだから、私だって優れているはずなのに。
母親に渡された玩具を使い、自分で体が繁殖行為の快楽に慣れるよう慰める。
苛立ちを抱えながら迎えた舞踏会。
会場で一目惚れした他族の混じりない真人族を夫にする。
初めは元素種で混じりのない人がよかっただけ。
でも、選んだ人と結婚恋人の影が気になった。
今はウォル・ガディの番で妻だから、二度と会うことはできないはず。
でも、気持ちは消えないのだろう。
アルトには、妻である私だけを想ってほしいのに。

結婚して七日後。
一人で街を歩いていると、男性とぶつかる。
足をねん挫した私は、何度断っても手当を願い乞うジルと名乗った者について行く。
なりゆきで悩みを話すと、条件付きで私の願いを叶える協力をしてくれることになった。
定期的に会うようになり、培養器の使用と引き換えにジルと肉体関係を持つ。
目隠しで分からないが、人妻が相手なのだからきっと避妊はしている。
三日に一度の逢瀬で夜伽術が増えていく。
得た技を使い、アルトの体に自分を覚えこませた。
家族を人質にして逆らうことを牽制し、自慰を禁止して完全に射精を管理する。
心が無理なら体だけでもいい。
優れた遺伝子を残して、私も優れていると認められたい。
合図が定着し、体が反応して我慢ができなくなってアルトは自らねだってくるようになった。

出会って三か月が過ぎた、ある日。
夕食に食事に秘薬を混ぜて食べさせた。
ジル様からもらった記憶操作の薬。
代償は大きかったが、得たいものには代えられない。
脳裏に代償行為の激しい交わりが浮かんだ。
アルトとは違う刺激を思い出すと、体の奥が熱くなってくる。
おかしい。
契約のため、しかたなく行っているだけなのに。
嫌なのに、どうして。
ジル様のねっとりと熱い視線に見られるだけで、お腹の奥からとろりと何かがこぼれてしまう。
いつも焦らすように胸を丁寧に愛撫してから目隠しをするから、より敏感になっているだけ。
きっと、そう。
アルトと交わり快楽を知った体の反射反応かもしれない。
逆らえないアルトを連れて浴室に入ると、いつものように私の体を見ながら身を清めるように指示する。
私が身を清めているときも目を離さないように、と。
体の本能か、覚えた習慣か、見せつけながら終えると、雫をこぼしながら勃起するアルトの雄を見つめる。

「こぼしてはだめ、と言っているのに。
罰として、今すぐにいれます。
ほぉら、ここ…でも、まだ動いてはだめ。
あとで、私の子宮に、たくさん、射精して、ね?」

自慢の大きな胸で勃起している雄を包んだ。
すると、すぐに雄は反応して雫が伝い溢れてくる。

「はい…っ、スノウ様、ぁ…あぁあっ、イかせて、くだ、さい…っ、スノウ様で、イかせてください…っ」

アルトは泣きながら許しを求める。
今のアルトと熱を交わすのは最後になるから、叶えてもいいか。

「イって、アルト。私の胸に射精して」

「ぁ…は、ぁ、あ、ぅく…っ!」

勢いよく出た白濁が胸を濡らす光景に、アルトは涙を流しながら雄の硬さを増した。
褒美を与えなければ、と勃起した先に口づけるとまた射精した。
出された精を舌先ですくうと、口の中に押し込まれるように硬いものが入ってきた。
おねだりができた褒美に、一度だけ喉の奥に射精を許した。

ベッドに身を預けると、射精欲が満ちる目のアルトを押し倒す。
雌のナカへ雄を招き、逃がさないようにし締め包む。
愛が無い交尾は、これでおしまい、
明日の朝には、新しい日常が始まる。
スノウ・クラフだけを愛する夫アルトと、ありふれた幸せで満たされる時間が待っている。
泣き啼く声も良いが、夫妻となって生まれた愛されたい願いが叶えられる。
名残惜しくて焦らし、今とこれからある嬉しさで何度も射精させた。

翌朝。
目を覚ましたアルトは、願い通りに記憶を失っていた。
やっと、夫妻になれるのよ。
アルト。
私が、スノウ・クラフがアルトの恋人で、妻になった人なの。
一緒に、たくさんの優れた遺伝子を残しましょうね。

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