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花は愛を乞う
7.解け凍る雪の温もり
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出会って六か月が過ぎた。
記憶がない夫は私を妻として認識し、どこにでもいる夫妻のような時間が訪れた。
毎夜、愛ある夜伽を求められ、時には明け方まで愛し合うこともあった。
ようやく、求めていたものが得られた。
朝食を終え、並んで食器の片づけをしていると、不意に頬へ感じた温かさ。
アルトの顔を見ると、何もなかったように穏やかな笑みで私を見つめる。
するりと持っている皿が消えた。
小さな音をたてながらあるべき場所に置かれるのを聞きながら、重なった唇の温かさに意識を向けた。
そして頬に、耳に、瞼にも、触れては離る繰り返しに焦れ、空いた両手で腰に抱きつく。
「スノウ」
「アルト。くすぐったい」
「スノウ、したいです」
すでに昂り硬い雄をドレス越しに感じると、胸の奥が熱くなる。
アルトを欲情させているのは私なのだと、嬉しくて。
深い口づけの誘いに応え、さっきの皿で最後だったと気づくころには、すでにドレスは体から離れていた。
「ベッドにいかないの?」
「待てません」
「ん、もう…っ、きて?」
台に手を置きアルトに背を向ける。
すると、お尻を守る布がずらされ、雌の証に逞しい熱が入ってきた。
それだけでイった。
快楽を煽るようにナカで射精され、またイった。
一度イくと鎮静薬を飲むまでは興奮したままの体は、雄の深い突きや浅い刺激だけで遠慮なく果てを昇り続ける。
優しく、一つずつの動きにアルトの存在を刻むような熱さを感じる幸せ。
ずっと、続く。
そう、思っていた。
街で偶然に夫様の恋人を連れたウォル・ガディ様と出会うまでは。
あの日から、穏やかな暮らしに影が落ちた。
いつもではないが、目が覚めると今にも泣きそうなアルトを見るようになった。
原因になっている見た夢の内容は教えてくれない。
そっと抱きしめても、どんな言葉をかけても、瞳に宿す影が消えない。
記憶が戻り始めているのだろうか。
不安を紛らわせるように、契約という名目でジル様に激しい交わりを求めてしまう。
アルトの心が少しでも自分に向くように、できるだけ傍にいて、求められれば応じる。
途中からの終わりの記憶がないことは増えたが、体のいたるところにある赤い痕が嬉しい。
でも、夢にまででてきてアルトを悲しませるような、熱心に求められる相手が羨ましい。
でも、妻は私。
傍にいてアルトの涙を分け合えるのは私だけ。
一か月が過ぎた。
アルトの影は深くなるばかり。
どんな夢を見ているか知りたくて、眠ったふりをして寝言が聞こえるのを待った。
でも、後悔した。
ぽつり、とこぼされる言葉と優しい声は恋人と過ごしているような様だった。
薬を使っても思い出すのだから、よほど好きなのだろう。
でも、アルトの愛情を諦めることはできなかった。
記憶がない夫は私を妻として認識し、どこにでもいる夫妻のような時間が訪れた。
毎夜、愛ある夜伽を求められ、時には明け方まで愛し合うこともあった。
ようやく、求めていたものが得られた。
朝食を終え、並んで食器の片づけをしていると、不意に頬へ感じた温かさ。
アルトの顔を見ると、何もなかったように穏やかな笑みで私を見つめる。
するりと持っている皿が消えた。
小さな音をたてながらあるべき場所に置かれるのを聞きながら、重なった唇の温かさに意識を向けた。
そして頬に、耳に、瞼にも、触れては離る繰り返しに焦れ、空いた両手で腰に抱きつく。
「スノウ」
「アルト。くすぐったい」
「スノウ、したいです」
すでに昂り硬い雄をドレス越しに感じると、胸の奥が熱くなる。
アルトを欲情させているのは私なのだと、嬉しくて。
深い口づけの誘いに応え、さっきの皿で最後だったと気づくころには、すでにドレスは体から離れていた。
「ベッドにいかないの?」
「待てません」
「ん、もう…っ、きて?」
台に手を置きアルトに背を向ける。
すると、お尻を守る布がずらされ、雌の証に逞しい熱が入ってきた。
それだけでイった。
快楽を煽るようにナカで射精され、またイった。
一度イくと鎮静薬を飲むまでは興奮したままの体は、雄の深い突きや浅い刺激だけで遠慮なく果てを昇り続ける。
優しく、一つずつの動きにアルトの存在を刻むような熱さを感じる幸せ。
ずっと、続く。
そう、思っていた。
街で偶然に夫様の恋人を連れたウォル・ガディ様と出会うまでは。
あの日から、穏やかな暮らしに影が落ちた。
いつもではないが、目が覚めると今にも泣きそうなアルトを見るようになった。
原因になっている見た夢の内容は教えてくれない。
そっと抱きしめても、どんな言葉をかけても、瞳に宿す影が消えない。
記憶が戻り始めているのだろうか。
不安を紛らわせるように、契約という名目でジル様に激しい交わりを求めてしまう。
アルトの心が少しでも自分に向くように、できるだけ傍にいて、求められれば応じる。
途中からの終わりの記憶がないことは増えたが、体のいたるところにある赤い痕が嬉しい。
でも、夢にまででてきてアルトを悲しませるような、熱心に求められる相手が羨ましい。
でも、妻は私。
傍にいてアルトの涙を分け合えるのは私だけ。
一か月が過ぎた。
アルトの影は深くなるばかり。
どんな夢を見ているか知りたくて、眠ったふりをして寝言が聞こえるのを待った。
でも、後悔した。
ぽつり、とこぼされる言葉と優しい声は恋人と過ごしているような様だった。
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でも、アルトの愛情を諦めることはできなかった。
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