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花は愛を乞う
9.愛を注ぎましょう
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出会って一年が過ぎた。
記憶を夢に見るようになったらしいアルトは、寝言で艶やかに人妻の名前を呟いている。
「夫様とはどうなんだ?」と、他人を呼ぶような敬った呼び名をしているから、ワケアリ恋人の逢瀬らしさがある。
人妻を抱くアルトはいつも同じ夢を見ている。
夢だから、当然と言えば当然で。
見る人に都合がいい幻だから、しかたない。
目が覚めたアルトの瞳と笑みに宿る罪悪感が辛かった。
だが、しばらくは待たないといけない。
記憶操作をしようとしたが、今度は確実にしなければいけない。
不審に思われないように少しずつ、一度の効き目は弱いが確実に成果はある。
いつも同じ夢しか見ないようになったから、その夢の元も消えればいい。
早く忘れてほしい。
また、ありふれた幸せの夫妻に戻りたい。
アルトは夢で報われない恋をしている。
私は望んだ愛とは違うけれど、アルトから愛をもらえているから幸せだろう。
現実のアルトには私が愛を注ぐから、幸せになってほしい。
夢の影響か、しっかりと硬い雄と精を体で受け入れる。
体に私を刻んでほしい。
アルトは私だけ覚えていればいい。
遺伝子を回収し、食事を終えて身を清めると外出の時間になった。
昼食は各自で、と。
また夕食に、といつもの挨拶。
契約が楽らないいのに、と踏み出す足は重くなるばかり。
扉の内側でにこやかに出迎えたジル様。
いつもの研究室に移動し、背後で扉が閉まる。
「椅子に座ってください」
施錠した音を聞きながら、示された椅子に座った。
円形だが、内円はくりぬかれたようにあいていて、肩まである背もたれに安心する。
目の前の机に回収した遺伝子の器を置く。
引き換えに出てくるのは、記憶操作の薬。
「約束の、です。効果はでていますか?」
「はい。あと少しです」
「よかったですね」
薬を鞄に入れると、ジル様は微笑んだ。
「スノウ様、その椅子の上で足を開いてください」
「ここで、ですか?」
「はい。背もたれを頼っていいですから」
指示通りに足を開くと、ジル様が背後にきた。
背もたれがあるのに、抱きしめられているような感覚に危機を抱く。
しかし、抵抗はできない。
「ドレスは一度脱ぎましょうね。
万が一にも汚れては困りますから」
「え?汚れる?」
着たまましても、いつも綺麗なままなのに。
どうして。
「今日は、仕事が他にもあるので…代わりに植物を相手をしてもらいます。
満足したら勝手に離れて帰るので、安心してください。
夕食までには、間に合いますし。
では、ドレスはここに置いていますので」
慣れた手つきで剥がされたドレス。
私に目隠しをしたジル様は一方的に話を終えると、椅子の下に何かを置いた。
そして、別室に繋がるらしい扉の向こうに消えた。
記憶を夢に見るようになったらしいアルトは、寝言で艶やかに人妻の名前を呟いている。
「夫様とはどうなんだ?」と、他人を呼ぶような敬った呼び名をしているから、ワケアリ恋人の逢瀬らしさがある。
人妻を抱くアルトはいつも同じ夢を見ている。
夢だから、当然と言えば当然で。
見る人に都合がいい幻だから、しかたない。
目が覚めたアルトの瞳と笑みに宿る罪悪感が辛かった。
だが、しばらくは待たないといけない。
記憶操作をしようとしたが、今度は確実にしなければいけない。
不審に思われないように少しずつ、一度の効き目は弱いが確実に成果はある。
いつも同じ夢しか見ないようになったから、その夢の元も消えればいい。
早く忘れてほしい。
また、ありふれた幸せの夫妻に戻りたい。
アルトは夢で報われない恋をしている。
私は望んだ愛とは違うけれど、アルトから愛をもらえているから幸せだろう。
現実のアルトには私が愛を注ぐから、幸せになってほしい。
夢の影響か、しっかりと硬い雄と精を体で受け入れる。
体に私を刻んでほしい。
アルトは私だけ覚えていればいい。
遺伝子を回収し、食事を終えて身を清めると外出の時間になった。
昼食は各自で、と。
また夕食に、といつもの挨拶。
契約が楽らないいのに、と踏み出す足は重くなるばかり。
扉の内側でにこやかに出迎えたジル様。
いつもの研究室に移動し、背後で扉が閉まる。
「椅子に座ってください」
施錠した音を聞きながら、示された椅子に座った。
円形だが、内円はくりぬかれたようにあいていて、肩まである背もたれに安心する。
目の前の机に回収した遺伝子の器を置く。
引き換えに出てくるのは、記憶操作の薬。
「約束の、です。効果はでていますか?」
「はい。あと少しです」
「よかったですね」
薬を鞄に入れると、ジル様は微笑んだ。
「スノウ様、その椅子の上で足を開いてください」
「ここで、ですか?」
「はい。背もたれを頼っていいですから」
指示通りに足を開くと、ジル様が背後にきた。
背もたれがあるのに、抱きしめられているような感覚に危機を抱く。
しかし、抵抗はできない。
「ドレスは一度脱ぎましょうね。
万が一にも汚れては困りますから」
「え?汚れる?」
着たまましても、いつも綺麗なままなのに。
どうして。
「今日は、仕事が他にもあるので…代わりに植物を相手をしてもらいます。
満足したら勝手に離れて帰るので、安心してください。
夕食までには、間に合いますし。
では、ドレスはここに置いていますので」
慣れた手つきで剥がされたドレス。
私に目隠しをしたジル様は一方的に話を終えると、椅子の下に何かを置いた。
そして、別室に繋がるらしい扉の向こうに消えた。
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