16 / 39
16
しおりを挟む「何が聖女だ!ただの雌ではないか!他の女とたいしてかわらん!」
ベールの真向かいに座するベルゼブブが、ジョゼフィーヌの踊る姿を見て言葉を吐き捨てた。
ベルゼブブもまた魔界の四大実力者に名を連ねる悪魔である。
しかし、魔界の統率を任せられる王の地位をルシフェルに突然奪われ、ルシフェルに対する反発は誰よりも大きかった。
かつて魔界の王の地位をベールと争い、あと一歩のところだったのを、サタンはルシフェルと密約を結び、あっさりと王の地位を与えてしまったのだ。
「サタン様もどうかしておられる!あのような女に・・!」
「ただのお戯れでしょう。退屈しのぎの。」
ベルゼブブの忠実なる召使いヘンリーは、焼きあがったばかりのレアな肉をナイフで切り分け皿に盛りつけると、上から真っ赤なソースをかけた。そして、肉の横には主人ベルゼブブの好きな、女の白く長い指を三本添えた。爪が変色しないよう気をつけたが、口にした時の触感はどうだろう?
ベルゼブブは気にいらないと即座に首を跳ね飛ばす。
今までどれだけの召使いが首を落とされたことか。
それでも以前よりはマシだ。即座に死ねるなら。
以前のベルゼブブは拷問好きで簡単には死なせてはくれなかったからだ。
ヘンリーは細心の注意を常に払っていなくてはならなかった。
「ワインに合うように少し甘めに味付けました」
「ふむ・・。美味そうだ」
ベルゼブブは真っ先に女の指を口にした。
骨の触感がベルゼブブは好きだった。
「良い触感だ」
舌で唇を舐め、ベルゼブブは満足した。
「だが・・、退屈しのぎか。お前はそう思うか?」
「はい。魔界に堕ちながらも魔界には属さず、かといって天界にも属していない。なのに人でもない。あの不老不死の肉体は解せぬ存在ですので、興味がおありなのでしょう」
「確かにな。解せぬ存在なのは確かだ。だが、気に食わん!」
「今宵の宴であの者がどのように乱れるか・・、一興かと思いますが・・。」
ヘンリーの言葉に、ベルゼブブはふと気付いた表情をし、声を出して笑った。
「なるほどな!今宵の宴、そういう楽しみがあったか!」
「なにやら馬鹿が大声で笑っておるな」
ベールは肩肘をつき、真向かいのベルゼブブの席をちらりと見てつぶやいた。
ジェイスンは新しいワインの瓶をあけ、グラスに注ぎ、困惑がちに言葉を口にした。
「ご主人様、先ほども申し上げましたが・・・」
「かまわぬ。気付くまいよ。馬鹿だから」
「・・・」
主人の言葉にジェイスンが小さくため息をつくと、ベールはクックッと小さく笑った。
大広間の中央では、軽やかに踊るルシフェルとジョゼフィーヌを見て、皆、感嘆のため息をこぼしていた。
容姿の美しさだけでなく、本来なら天界の神に仕える二人である。その二人を魔界は手に入れたのだという事実は自尊心をくすぐり、悪魔達を心地良くさせていた。
二人の境遇のギャップは悪魔達には魅力的であった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる