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66. 黒岩三兄弟
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自己紹介をされてしまった。
ならばわたしも、あくまでも社会人として礼儀正しく自己紹介をしよう。ケーキ食べる前に。
「あの、初めまして。わたし青木」
「知ってるよ!京にぃを使いっ走りにした、青木みふゆ23歳!」
13歳君が手をあげて発言する。
使いっ走りは誤解だ。
わたしは若頭を使いっ走りにしたわけではない。
「血液型はA型で仕事は堀内花壇で花屋の店員だろ?!」
誤解を解くヒマもなく、15歳君がわたしの血液型を晒した。・・何故知ってる?
「ついでに駅前商店街の支店勤務だけどいまは本店勤務。支店じゃ近所の総菜屋からもらったコロッケをいつも食べている」
17歳君がドヤ顔をする。
ちょっと待って。何故コロッケの件まで知っているのか?
疑問を問う隙も与えてくれず、三人はそろって、
「なんであんなエロ親父の店に勤めてんの?!」
と口にした。
「なんでって・・あんな人とは知らなかったから」
ハローワークの求人票に社長のエロ情報は記載されていなかったし。
しかし社長のエロぶりはこんな十代にまで知られているのか。大問題じゃないか?社長が捕まって店が廃業に追い込まれたときのために今から次の就職先を選定した方がいいかもしれない。
悩みが増えた。
そんなわたしを置き去りに、男子三人のマシンガントークは続いた。
三人をスルーしている組長先生はわたしにケーキを渡してくれた。
ケーキを食べよう。
「ねえ、おれと結婚しようよ!おれ優良物件だよ!女は長生きだから10歳くらい離れてるのがちょうどいいんだぜ!」
いや、13歳君とナントカなるならわたしは犯罪者になるのではないかい?社長よりわたしが捕まる。
淫行罪(青少年保護育成条例違反)とかで。
・・うん、美味しい、このガトーショコラ。
「オレの方が優良物件だよ!こいつより絶対頼りになるから!オレは剣道の全国大会で優勝したんだぜ!男はやっぱり強くなくっちゃ!」
15歳でそれは凄い。
でもそれと頼りになるのとは別問題だ。
このガトーショコラ、誰の手作りかな?本橋さんか、厨房のお兄さんかな。
「なんだよおれは中学全国模試で二位だったんだからな!永斗は100位にも入ったことねえじゃん!」
それも凄い。13歳君は頭がいいんだな。
組長先生からもう一個ケーキを渡された。ありがたくいただこう。
「俺は再来年高校卒業だからすぐ結婚できるよ。剣道は二年連続優勝したし、全国模試でも三年連続トップだから超優良物件だ」
見た目は優良物件でも住んだら果たしてどうなのかわからない。意外と住みにくかったりとか。人間も同じだと思うぞ。経歴だの成績じゃわからないこと多い。
ガトーショコラ、ごちそうさまでした。とっても美味しかったです。
作った人にお礼を言いたい。
男子三人組はわたしの前で各々アピールを繰り広げているが、その後ろで、
「ほう、それじゃあその優良物件とやらの精査は俺がしてやろう」
若頭が腕を組んで睨みをきかしていた。顔が怖い。
久々にブリザードが見える。
氷雪系の男と化している。
「あ!おれ宿題あるから!」
13歳君が真っ先に逃げた。逃げ足早い。
「ズルいぞ山斗!」
「ぅわぁっ!ちょ、京にぃ!待って待って!」
15歳君と17歳君が若頭に首根っこをつかまれ、
「道場で稽古をしてきます」
という若頭のセリフとともに引きずられて行った。
わたしの目の前の嵐は去った。
嵐は道場に移動したのだ。
「さてと、ケーキも食ったし俺達も覗きに行くか?稽古」
組長先生がニヤリと意地悪な顔をして言った。
自己紹介をされてしまった。
ならばわたしも、あくまでも社会人として礼儀正しく自己紹介をしよう。ケーキ食べる前に。
「あの、初めまして。わたし青木」
「知ってるよ!京にぃを使いっ走りにした、青木みふゆ23歳!」
13歳君が手をあげて発言する。
使いっ走りは誤解だ。
わたしは若頭を使いっ走りにしたわけではない。
「血液型はA型で仕事は堀内花壇で花屋の店員だろ?!」
誤解を解くヒマもなく、15歳君がわたしの血液型を晒した。・・何故知ってる?
「ついでに駅前商店街の支店勤務だけどいまは本店勤務。支店じゃ近所の総菜屋からもらったコロッケをいつも食べている」
17歳君がドヤ顔をする。
ちょっと待って。何故コロッケの件まで知っているのか?
疑問を問う隙も与えてくれず、三人はそろって、
「なんであんなエロ親父の店に勤めてんの?!」
と口にした。
「なんでって・・あんな人とは知らなかったから」
ハローワークの求人票に社長のエロ情報は記載されていなかったし。
しかし社長のエロぶりはこんな十代にまで知られているのか。大問題じゃないか?社長が捕まって店が廃業に追い込まれたときのために今から次の就職先を選定した方がいいかもしれない。
悩みが増えた。
そんなわたしを置き去りに、男子三人のマシンガントークは続いた。
三人をスルーしている組長先生はわたしにケーキを渡してくれた。
ケーキを食べよう。
「ねえ、おれと結婚しようよ!おれ優良物件だよ!女は長生きだから10歳くらい離れてるのがちょうどいいんだぜ!」
いや、13歳君とナントカなるならわたしは犯罪者になるのではないかい?社長よりわたしが捕まる。
淫行罪(青少年保護育成条例違反)とかで。
・・うん、美味しい、このガトーショコラ。
「オレの方が優良物件だよ!こいつより絶対頼りになるから!オレは剣道の全国大会で優勝したんだぜ!男はやっぱり強くなくっちゃ!」
15歳でそれは凄い。
でもそれと頼りになるのとは別問題だ。
このガトーショコラ、誰の手作りかな?本橋さんか、厨房のお兄さんかな。
「なんだよおれは中学全国模試で二位だったんだからな!永斗は100位にも入ったことねえじゃん!」
それも凄い。13歳君は頭がいいんだな。
組長先生からもう一個ケーキを渡された。ありがたくいただこう。
「俺は再来年高校卒業だからすぐ結婚できるよ。剣道は二年連続優勝したし、全国模試でも三年連続トップだから超優良物件だ」
見た目は優良物件でも住んだら果たしてどうなのかわからない。意外と住みにくかったりとか。人間も同じだと思うぞ。経歴だの成績じゃわからないこと多い。
ガトーショコラ、ごちそうさまでした。とっても美味しかったです。
作った人にお礼を言いたい。
男子三人組はわたしの前で各々アピールを繰り広げているが、その後ろで、
「ほう、それじゃあその優良物件とやらの精査は俺がしてやろう」
若頭が腕を組んで睨みをきかしていた。顔が怖い。
久々にブリザードが見える。
氷雪系の男と化している。
「あ!おれ宿題あるから!」
13歳君が真っ先に逃げた。逃げ足早い。
「ズルいぞ山斗!」
「ぅわぁっ!ちょ、京にぃ!待って待って!」
15歳君と17歳君が若頭に首根っこをつかまれ、
「道場で稽古をしてきます」
という若頭のセリフとともに引きずられて行った。
わたしの目の前の嵐は去った。
嵐は道場に移動したのだ。
「さてと、ケーキも食ったし俺達も覗きに行くか?稽古」
組長先生がニヤリと意地悪な顔をして言った。
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