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124. 下心を持つ女 (2)
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「で?お嬢ちゃんの具合はどうなんだ?」
大塚が白衣を羽織ったまま煙草をふかしている。同様に貴之も指に煙草をはさみ、煙をくゆらせている。
「屋敷に着いた頃に熱が出ていて、胡蝶が来てたんで診てもらった。あれでも医者のはしくれだからな」
内田茉矢は惣領貴之を見て、怪我をした仙道京司朗の頬を平手打ちした男だとすぐに気がついた。着物を着ている。
家族かと思ったが違うらしい。
病棟の先輩看護師に聞いたが、言葉を濁すばかりで要領を得なかった。
具体的にどういう人物かまではわからなかったが、仙道京司朗とは近しい関係にある存在で、大きな権力を持った人物というのは確かだ。
大塚と惣領貴之が話しながら近づいてくる。
内田は見つからないように建物の影の、二人とは逆方向へ動いていった。
「胡蝶の処方した薬で落ちついてきたとさっき連絡があった」
「そうか。心配なら入院させて精査してみるか?特別室の京司朗は二~三日で退院だ。そのあとなら」
「・・いや、今は屋敷のほうが落ち着くだろ。胡蝶がしばらく毎日来て診てくれると言ってるし」
「けっ、お前、嬢ちゃんがそばからいなくなるのが嫌なんだろ?どうしようもねえ親バカだな」
「うるせぇっ!親バカで何が悪い。やっと一緒に住めるようになったんだ。そばに置きたいのは当たり前じゃねぇか!俺はみふゆをそばにおいて・・どんなことでも、なんでもしてやりてえんだよ。月が欲しけりゃ月だって買ってやるぜ」
「ははは、とんでもねえ親父を持っちまったなぁ、あのお嬢ちゃんは。ま、お前なら月くらい買えるだろうがな。この前も藤原から600万の着物を買ったんだって?」
「みふゆに似合いそうだったからな。買わなきゃ損だろーが。一点ものだし。舟遊びの約束してるからその時着せるさ。お前も時間あけて来いや。みせびらかしてやるぜ」
「帯だのかんざしだのも全部揃えたんだろうが。総額いくらだ?」
「なーに、1000万程度さ。たいした金額じゃねえ」
通りすぎて行く、二人の会話が衝撃的だった。
月は冗談だとしても、1000万を『程度』と言ってしまう財力を持っている。それも着物の購入のために。
こういうひとが味方についてくれたら・・。
親しいとわかったらきっとみんな私をなおざりにはしない。
そうだ。まずはこのひとのお嬢さんに近づいてみようか。
大塚先生も気に入ってるみたいだし。
仲良くなって私がどんなに優しくていい人間かを知ってもらえたら・・
待って、どんな人かわからないお嬢さんに近づくより・・
いま特別室にいる仙道京司朗ってひとに近づけないかな?
あのひとに気にいってもらえたら最高じゃない?
カッコいい男だった。
顔立ちも体格も日本人離れしていた。あまりにも素敵であの人が頬を叩かれたときついかばってしまった。
話すチャンスがあればきっと気に入ってもらえる。あんなにかばってあげたんだもの。
私のことは覚えてるはず。
きっと、いい娘だって、優しい娘だって思ったにちがいない。
内田は京司朗に近づくことを決めると、気持ちを高揚させて詰所に戻った。
詰所に戻ると内田は真っ先に鳥谷部のもとに行った。
「鳥谷部さん、さっきは本当にすみませんでした」
改めて謝り、反省していることを周囲にも印象づけた。
「ん?ああ、いいよ。データも復旧できたし。俺も使わないようにって付箋紙張っとけばよかったんだ」
「あの、特別室の仕事ってどんな感じなんですか?」
「別に他の患者さんと変わらないよ。まあ、相手が相手だから気は遣うけど」
「・・・手伝わせてもらえませんか?特別室使用って私今回初めてなんです。知らないことがないようにしたいんです」
内田はわざと大きめの声で言った。小西へ嫌味を返したつもりだった。小西はパソコンで報告書の作成中だが聞こえてるはずだと内田は思った。
鳥谷部が小西をチラリと見た。
「ああ、んー、どうかな・・」
「昼食を運ぶときに私も一緒に行ってもいいですか?」
「小西さーん、どう思う?」
鳥谷部が問いかけたが、「わかんなーい。本人に聞いてー」と返してきた。
内田は鳥谷部がなぜ小西を気にしたのかわからなかった。
「小西さん、仲いいじゃん。教えてよぉ。お姉様ぁん」
鳥谷部は完全にふざけている。
「あはは。あたしだったら誰も連れてかないかな?でも看護師長に聞いてみれば?」
小西は可笑しそうに笑い、鳥谷部に答えた。
『あたしだったら連れてかない』
笑いながらのセリフに内田はまた腹が立った。
正しくは『あたしだったら誰も連れてかないかな?』だが、内田には、小西の言動は全て悪意に満ちて攻撃的に聞こえていた。
小西理保なんて大嫌い!最初の頃は仕事をいろいろ教えてもらってたりしてけど、こんな意地悪な人だったなんて!
こんなに意地の悪い女が仙道さんみたいな素敵な人と仲がいいなんて信じられない。
きっと仙道さんの前じゃ猫っかぶりしてるんだ。
整形外科看護師長・寺森は、院内の看護師長会議に出席していた。
会議が終わり、鳥谷部と内田が終わりを見計らって寺森に声をかけた。
「特別室に?」
「はい。いままで特別室に入院された患者さんはいませんでしたし、この機会に見学だけでもさせてほしいんです」
「そうだな。いいだろう。ただし仙道さんには話しかけないこと。どのような質問もしないこと。鳥谷部の対応の仕方を見るだけだ。特別な患者さんに対する対応をきちんと見て学ぶように」
「はい!ありがとうございます!」
「鳥谷部、対応間違うと後輩も間違って覚えるんだからな」
「うへぇ・・」
「うへぇじゃない。先輩らしくきちんと振る舞えよ」
鳥谷部は釘を刺された。鳥谷部は「看護師長にシフトの相談あるから先に行ってて」と内田に言った。
内田は「はい。失礼します」と言って詰所に戻っていった。
「師長、ほんとにいいんですか?特別室に入れても」
「どうした?」
「俺、小西さんにちょっとふざけて彼女を連れてくのどう思うか聞いたんですよ」
「で?なんて言った?」
「自分だったら誰も連れてかないかな、って・・。小西さんは仙道さんのこと、俺達より知ってるひとだし・・・」
「うーん・・・。食事のカートを入れさせてすぐ退出させてくれるか・・?」
「はい、そうします」
鳥谷部がふーっとため息をついた。
「まだ何かあるのか?」
「小西さんに対抗心があるみたいで、内田さん。パソコンデータの復旧してくれたのは小西さんなのに、お礼ひとつ言わなかったのがなんか・・・」
「どの職場も人間関係は難しいよな」
寺森は鳥谷部の背中をぽんとたたいた。
「あまりこじれそうなら移動させるさ」
寺森が言った。
病院の特別室、九階から眼下に見える街並みは小さく、オモチャのようだ。スピードを出しているはずの車の動きさえスローに感じる。
京司朗は車椅子から立ち上がり、窓の外を眺めていた。
貴之の言葉が頭のなかで繰り返される。
━━━━お前が熊に襲われるのを視ていたからだ
憑き物を落とす能力
予知をする能力
母親から引き継いだ能力に翻弄されてきたみふゆ。
━━━━いいか、京司朗。みふゆにとって俺達は唯一の家族だ。俺は父親だし、お前は兄になる。だから簡単に死んじゃならねえ。俺達は今まで以上に『自分も』守らなきゃならねえんだ。俺達の身に危険が及ぶ時、みふゆはまた同じように『視る』だろう。みふゆにとって、“家族”は喪失の象徴だ。だから家族を得たことで、また失う辛さを味わわせることはしちゃならねぇんだよ。
『家族は失うことの象徴』
貴之の言葉が、京司朗の胸を突いた。
「で?お嬢ちゃんの具合はどうなんだ?」
大塚が白衣を羽織ったまま煙草をふかしている。同様に貴之も指に煙草をはさみ、煙をくゆらせている。
「屋敷に着いた頃に熱が出ていて、胡蝶が来てたんで診てもらった。あれでも医者のはしくれだからな」
内田茉矢は惣領貴之を見て、怪我をした仙道京司朗の頬を平手打ちした男だとすぐに気がついた。着物を着ている。
家族かと思ったが違うらしい。
病棟の先輩看護師に聞いたが、言葉を濁すばかりで要領を得なかった。
具体的にどういう人物かまではわからなかったが、仙道京司朗とは近しい関係にある存在で、大きな権力を持った人物というのは確かだ。
大塚と惣領貴之が話しながら近づいてくる。
内田は見つからないように建物の影の、二人とは逆方向へ動いていった。
「胡蝶の処方した薬で落ちついてきたとさっき連絡があった」
「そうか。心配なら入院させて精査してみるか?特別室の京司朗は二~三日で退院だ。そのあとなら」
「・・いや、今は屋敷のほうが落ち着くだろ。胡蝶がしばらく毎日来て診てくれると言ってるし」
「けっ、お前、嬢ちゃんがそばからいなくなるのが嫌なんだろ?どうしようもねえ親バカだな」
「うるせぇっ!親バカで何が悪い。やっと一緒に住めるようになったんだ。そばに置きたいのは当たり前じゃねぇか!俺はみふゆをそばにおいて・・どんなことでも、なんでもしてやりてえんだよ。月が欲しけりゃ月だって買ってやるぜ」
「ははは、とんでもねえ親父を持っちまったなぁ、あのお嬢ちゃんは。ま、お前なら月くらい買えるだろうがな。この前も藤原から600万の着物を買ったんだって?」
「みふゆに似合いそうだったからな。買わなきゃ損だろーが。一点ものだし。舟遊びの約束してるからその時着せるさ。お前も時間あけて来いや。みせびらかしてやるぜ」
「帯だのかんざしだのも全部揃えたんだろうが。総額いくらだ?」
「なーに、1000万程度さ。たいした金額じゃねえ」
通りすぎて行く、二人の会話が衝撃的だった。
月は冗談だとしても、1000万を『程度』と言ってしまう財力を持っている。それも着物の購入のために。
こういうひとが味方についてくれたら・・。
親しいとわかったらきっとみんな私をなおざりにはしない。
そうだ。まずはこのひとのお嬢さんに近づいてみようか。
大塚先生も気に入ってるみたいだし。
仲良くなって私がどんなに優しくていい人間かを知ってもらえたら・・
待って、どんな人かわからないお嬢さんに近づくより・・
いま特別室にいる仙道京司朗ってひとに近づけないかな?
あのひとに気にいってもらえたら最高じゃない?
カッコいい男だった。
顔立ちも体格も日本人離れしていた。あまりにも素敵であの人が頬を叩かれたときついかばってしまった。
話すチャンスがあればきっと気に入ってもらえる。あんなにかばってあげたんだもの。
私のことは覚えてるはず。
きっと、いい娘だって、優しい娘だって思ったにちがいない。
内田は京司朗に近づくことを決めると、気持ちを高揚させて詰所に戻った。
詰所に戻ると内田は真っ先に鳥谷部のもとに行った。
「鳥谷部さん、さっきは本当にすみませんでした」
改めて謝り、反省していることを周囲にも印象づけた。
「ん?ああ、いいよ。データも復旧できたし。俺も使わないようにって付箋紙張っとけばよかったんだ」
「あの、特別室の仕事ってどんな感じなんですか?」
「別に他の患者さんと変わらないよ。まあ、相手が相手だから気は遣うけど」
「・・・手伝わせてもらえませんか?特別室使用って私今回初めてなんです。知らないことがないようにしたいんです」
内田はわざと大きめの声で言った。小西へ嫌味を返したつもりだった。小西はパソコンで報告書の作成中だが聞こえてるはずだと内田は思った。
鳥谷部が小西をチラリと見た。
「ああ、んー、どうかな・・」
「昼食を運ぶときに私も一緒に行ってもいいですか?」
「小西さーん、どう思う?」
鳥谷部が問いかけたが、「わかんなーい。本人に聞いてー」と返してきた。
内田は鳥谷部がなぜ小西を気にしたのかわからなかった。
「小西さん、仲いいじゃん。教えてよぉ。お姉様ぁん」
鳥谷部は完全にふざけている。
「あはは。あたしだったら誰も連れてかないかな?でも看護師長に聞いてみれば?」
小西は可笑しそうに笑い、鳥谷部に答えた。
『あたしだったら連れてかない』
笑いながらのセリフに内田はまた腹が立った。
正しくは『あたしだったら誰も連れてかないかな?』だが、内田には、小西の言動は全て悪意に満ちて攻撃的に聞こえていた。
小西理保なんて大嫌い!最初の頃は仕事をいろいろ教えてもらってたりしてけど、こんな意地悪な人だったなんて!
こんなに意地の悪い女が仙道さんみたいな素敵な人と仲がいいなんて信じられない。
きっと仙道さんの前じゃ猫っかぶりしてるんだ。
整形外科看護師長・寺森は、院内の看護師長会議に出席していた。
会議が終わり、鳥谷部と内田が終わりを見計らって寺森に声をかけた。
「特別室に?」
「はい。いままで特別室に入院された患者さんはいませんでしたし、この機会に見学だけでもさせてほしいんです」
「そうだな。いいだろう。ただし仙道さんには話しかけないこと。どのような質問もしないこと。鳥谷部の対応の仕方を見るだけだ。特別な患者さんに対する対応をきちんと見て学ぶように」
「はい!ありがとうございます!」
「鳥谷部、対応間違うと後輩も間違って覚えるんだからな」
「うへぇ・・」
「うへぇじゃない。先輩らしくきちんと振る舞えよ」
鳥谷部は釘を刺された。鳥谷部は「看護師長にシフトの相談あるから先に行ってて」と内田に言った。
内田は「はい。失礼します」と言って詰所に戻っていった。
「師長、ほんとにいいんですか?特別室に入れても」
「どうした?」
「俺、小西さんにちょっとふざけて彼女を連れてくのどう思うか聞いたんですよ」
「で?なんて言った?」
「自分だったら誰も連れてかないかな、って・・。小西さんは仙道さんのこと、俺達より知ってるひとだし・・・」
「うーん・・・。食事のカートを入れさせてすぐ退出させてくれるか・・?」
「はい、そうします」
鳥谷部がふーっとため息をついた。
「まだ何かあるのか?」
「小西さんに対抗心があるみたいで、内田さん。パソコンデータの復旧してくれたのは小西さんなのに、お礼ひとつ言わなかったのがなんか・・・」
「どの職場も人間関係は難しいよな」
寺森は鳥谷部の背中をぽんとたたいた。
「あまりこじれそうなら移動させるさ」
寺森が言った。
病院の特別室、九階から眼下に見える街並みは小さく、オモチャのようだ。スピードを出しているはずの車の動きさえスローに感じる。
京司朗は車椅子から立ち上がり、窓の外を眺めていた。
貴之の言葉が頭のなかで繰り返される。
━━━━お前が熊に襲われるのを視ていたからだ
憑き物を落とす能力
予知をする能力
母親から引き継いだ能力に翻弄されてきたみふゆ。
━━━━いいか、京司朗。みふゆにとって俺達は唯一の家族だ。俺は父親だし、お前は兄になる。だから簡単に死んじゃならねえ。俺達は今まで以上に『自分も』守らなきゃならねえんだ。俺達の身に危険が及ぶ時、みふゆはまた同じように『視る』だろう。みふゆにとって、“家族”は喪失の象徴だ。だから家族を得たことで、また失う辛さを味わわせることはしちゃならねぇんだよ。
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