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番外編 美之の黒歴史 5
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「ねぇ、それにしてもボス遅すぎない?」
「そうよね」
「babiesノ ウシロニ イタリシテ hahaha」
「勘弁してくれよ」
「話は聞いた!とか言ってドアから入ってくるんじゃないか?」
「七曲署かよ」
「太陽に吠えなきゃならん」
「電話で吠えてみるか?まずは三上さんに」
「待て待て、先に子供たちを避難させなくては。この状況にボスが来たら子供たちが叱られる可能性がある」
「みゆちゃん、あっくん、つかさ君、お父さんにそろそろ戻ってきてもらうから、お部屋から出た方がいいよ」
「そうだな。ボスが褌愛用者だっていう情報だけでも収穫だ」
「誰が褌愛用者だって?」
「!」「!?」「!!」「━━━」
「!!」「・・・」「!」「!!!」
八人の呼吸は止まった。
今、八人とボビーのパソコン画面には三つ子達のかわいい鼻穴が六つ見えている。
声の主の顔は三つ子達の上にあるのだろう。
ボビーだけが一人陽気に「Hey,Boss your children are very very good!and so Cute!!」と、ご機嫌だった。
数人がパソコン画面を閉じようとしたが、それでは子供達を置き去りにしてしまうことになる。そんな卑怯な真似は断じてできない。
八人は時間稼ぎに入った。
三つ子達を逃がすのだ。
ちょうどいいことに、ボビーが京司朗に三つ子達がいかにかわいいか、いい子なのかを熱く語り始めた。
よし!チャンスだ!ボビーに続け!
三つ子達よ、今のうちに逃げるんだ!
我々の思いよ届け!三つ子達に!
「ボス、違うんです。とにかく違うんです」
キャサリンが口火を切った。
異変を感じとったのか、鼻穴が二個消えた。朗が。
「そうです。誤解です、ボス。誤解なんです」
ポーラが続いた。
もう二つの鼻穴が消えた。美之が。
「ツマリデスネー、デアイ ハ オクセンマン ノ ムナサワギ ジャパニーズカルチャー二ツイテデスネー」
「何と言いますか、億千万の胸騒ぎのために今年のサンバには思い切ってジャパニーズカルチャーを取り入れようと」
マークスとジョンがテキトーくさいウソをつき始めた。
最後の鼻穴二つが消えた。司が。
「そうそう、これもまたエキゾチックジャパン日本文化の不思議とでも言うか」
イタリアの河野が頷きながらテキトーくさいウソに乗っかったセリフを言い、三つ子達が消えたのを確認。
「日本文化と言えばやはりセリフの最初は扉をバンッと開けて“話は聞いた!”ではないでしょうか」
「そうですよ。忘れてはいけない日本の文化のひとつ、名作刑事ドラマのやりとりも我々が継承していくべきではないかと思います」
「以上、かわいい三つ子と褌と日本の文化についての報告でした」
スペインの西川、ベトナムの黒部と続き、極寒の北海道から滝沢が無理やり締めくくった。
当然ボビーのぞく八人は叱られると覚悟したが、意外にも言及されることはなかった。
京司朗は、
「うちの三つ子が迷惑をかけたようですまなかったな」
と言ったのだ。
八人は「え?」と思った。
ボスが謝った・・!
視線一つで全てを凍らせてしまうあのボスが・・・!
八人は感動していた。
日本語がわからないボビーには、京司朗が英語で「三つ子の相手をしてくれてありがとう」と話した。
「あのー、子供達のことを叱らないでください。我々があの子達を(よからぬ思いがあって)ひきとめたんです」
「(ボスの私生活をのぞこうとした)全て我々の責任です」
「そうなんです。全て我々の責任なんです。ですからこの機会に“なむにゃむ”の正体を教えてください。スッキリしません。わからないと眠れそうにないです」
「きっと夢に出てきます。うなされそうです」
「ソレカラ今年ノ新作アニメノ一押シナンデスカ?」
「みゆちゃんウンチでるー!ウンチするからおかあしゃんうたってーー!」
美之の大きな声が響いて話は途切れた。
美之がウンチをするときは、ボスの奥さんが歌っているのだなと、八人は京司朗の私生活を垣間見ていた。
どんな歌なのか気になったが、内容について深く訊くことはしなかった。
ボビーは本来の会議が始まるまで、サイコーに陽気に三つ子達のかわいさを熱弁していた。
「いやぁぁぁっ!やめてよお母さん!そんな五歳の時の話なんて!」
美之が頭を抱えて昔話にストップをかけた。
「あら、かわいいじゃない。美之はいつだって屈託なくて素直だって評判だったわよ」
みふゆが笑顔で紅茶の入ったカップを手にした。
「確かに美之が一番面白い子供だったな。池の鯉をつかまえて食べようとしたのも美之だったし、“みゆちゃん祭り”と称して魚を串刺しにする祭りを開催しようとしたのも美之だった」
京司朗がみふゆの隣で笑って言った。
「お父さんまでやめてよおぉぉっ」
美之が悶え、りらが大笑いしている。
「子供時代ってある意味すべてが黒歴史よね」
大笑いのりらがクッキーを口に放りこんだ。
「何よ!だったら私はりらの黒歴史の生き証人なんだからね!ビデオはないけど忘れないうちに書き記して美祐に残すわ!」
「ひどい!やめてよお母さん!」
「あら、りらのビデオなら撮ってあるわよ。りらは夏にうちに泊まりにきた時に池で泳ごうとしたわねぇ。イチゴのパンツ一枚で」
「おばあちゃま!?いつの間に!?」
「やったわ!お母さん!そのビデオみんなで観ましょうよ!」
「それにあなたは履くのはイチゴのパンツじゃないと絶対イヤだと泣いて、美之とわたしが白いパンツにイチゴを描いたり刺繍をしたりしたのよ」
りらが顔を両手で覆って、
「いやあーー!やめてよーー!」
と叫んだ。
その日、三つ子とその後に生まれた子供達全員のおもしろビデオが公開され、惣領家はいつにもまして賑やかになった。
こんな風に楽しく笑いあえるなら、黒歴史も悪くないなと、美之は思った。
「ねぇ、それにしてもボス遅すぎない?」
「そうよね」
「babiesノ ウシロニ イタリシテ hahaha」
「勘弁してくれよ」
「話は聞いた!とか言ってドアから入ってくるんじゃないか?」
「七曲署かよ」
「太陽に吠えなきゃならん」
「電話で吠えてみるか?まずは三上さんに」
「待て待て、先に子供たちを避難させなくては。この状況にボスが来たら子供たちが叱られる可能性がある」
「みゆちゃん、あっくん、つかさ君、お父さんにそろそろ戻ってきてもらうから、お部屋から出た方がいいよ」
「そうだな。ボスが褌愛用者だっていう情報だけでも収穫だ」
「誰が褌愛用者だって?」
「!」「!?」「!!」「━━━」
「!!」「・・・」「!」「!!!」
八人の呼吸は止まった。
今、八人とボビーのパソコン画面には三つ子達のかわいい鼻穴が六つ見えている。
声の主の顔は三つ子達の上にあるのだろう。
ボビーだけが一人陽気に「Hey,Boss your children are very very good!and so Cute!!」と、ご機嫌だった。
数人がパソコン画面を閉じようとしたが、それでは子供達を置き去りにしてしまうことになる。そんな卑怯な真似は断じてできない。
八人は時間稼ぎに入った。
三つ子達を逃がすのだ。
ちょうどいいことに、ボビーが京司朗に三つ子達がいかにかわいいか、いい子なのかを熱く語り始めた。
よし!チャンスだ!ボビーに続け!
三つ子達よ、今のうちに逃げるんだ!
我々の思いよ届け!三つ子達に!
「ボス、違うんです。とにかく違うんです」
キャサリンが口火を切った。
異変を感じとったのか、鼻穴が二個消えた。朗が。
「そうです。誤解です、ボス。誤解なんです」
ポーラが続いた。
もう二つの鼻穴が消えた。美之が。
「ツマリデスネー、デアイ ハ オクセンマン ノ ムナサワギ ジャパニーズカルチャー二ツイテデスネー」
「何と言いますか、億千万の胸騒ぎのために今年のサンバには思い切ってジャパニーズカルチャーを取り入れようと」
マークスとジョンがテキトーくさいウソをつき始めた。
最後の鼻穴二つが消えた。司が。
「そうそう、これもまたエキゾチックジャパン日本文化の不思議とでも言うか」
イタリアの河野が頷きながらテキトーくさいウソに乗っかったセリフを言い、三つ子達が消えたのを確認。
「日本文化と言えばやはりセリフの最初は扉をバンッと開けて“話は聞いた!”ではないでしょうか」
「そうですよ。忘れてはいけない日本の文化のひとつ、名作刑事ドラマのやりとりも我々が継承していくべきではないかと思います」
「以上、かわいい三つ子と褌と日本の文化についての報告でした」
スペインの西川、ベトナムの黒部と続き、極寒の北海道から滝沢が無理やり締めくくった。
当然ボビーのぞく八人は叱られると覚悟したが、意外にも言及されることはなかった。
京司朗は、
「うちの三つ子が迷惑をかけたようですまなかったな」
と言ったのだ。
八人は「え?」と思った。
ボスが謝った・・!
視線一つで全てを凍らせてしまうあのボスが・・・!
八人は感動していた。
日本語がわからないボビーには、京司朗が英語で「三つ子の相手をしてくれてありがとう」と話した。
「あのー、子供達のことを叱らないでください。我々があの子達を(よからぬ思いがあって)ひきとめたんです」
「(ボスの私生活をのぞこうとした)全て我々の責任です」
「そうなんです。全て我々の責任なんです。ですからこの機会に“なむにゃむ”の正体を教えてください。スッキリしません。わからないと眠れそうにないです」
「きっと夢に出てきます。うなされそうです」
「ソレカラ今年ノ新作アニメノ一押シナンデスカ?」
「みゆちゃんウンチでるー!ウンチするからおかあしゃんうたってーー!」
美之の大きな声が響いて話は途切れた。
美之がウンチをするときは、ボスの奥さんが歌っているのだなと、八人は京司朗の私生活を垣間見ていた。
どんな歌なのか気になったが、内容について深く訊くことはしなかった。
ボビーは本来の会議が始まるまで、サイコーに陽気に三つ子達のかわいさを熱弁していた。
「いやぁぁぁっ!やめてよお母さん!そんな五歳の時の話なんて!」
美之が頭を抱えて昔話にストップをかけた。
「あら、かわいいじゃない。美之はいつだって屈託なくて素直だって評判だったわよ」
みふゆが笑顔で紅茶の入ったカップを手にした。
「確かに美之が一番面白い子供だったな。池の鯉をつかまえて食べようとしたのも美之だったし、“みゆちゃん祭り”と称して魚を串刺しにする祭りを開催しようとしたのも美之だった」
京司朗がみふゆの隣で笑って言った。
「お父さんまでやめてよおぉぉっ」
美之が悶え、りらが大笑いしている。
「子供時代ってある意味すべてが黒歴史よね」
大笑いのりらがクッキーを口に放りこんだ。
「何よ!だったら私はりらの黒歴史の生き証人なんだからね!ビデオはないけど忘れないうちに書き記して美祐に残すわ!」
「ひどい!やめてよお母さん!」
「あら、りらのビデオなら撮ってあるわよ。りらは夏にうちに泊まりにきた時に池で泳ごうとしたわねぇ。イチゴのパンツ一枚で」
「おばあちゃま!?いつの間に!?」
「やったわ!お母さん!そのビデオみんなで観ましょうよ!」
「それにあなたは履くのはイチゴのパンツじゃないと絶対イヤだと泣いて、美之とわたしが白いパンツにイチゴを描いたり刺繍をしたりしたのよ」
りらが顔を両手で覆って、
「いやあーー!やめてよーー!」
と叫んだ。
その日、三つ子とその後に生まれた子供達全員のおもしろビデオが公開され、惣領家はいつにもまして賑やかになった。
こんな風に楽しく笑いあえるなら、黒歴史も悪くないなと、美之は思った。
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