王子さまは二人いる

買い物は楽しい……かな？

５

　
　お昼ごはんをお腹いっぱいに食べて（主にシオンくんとレフくん）、私たちは店を出た。

「僕たちも買い物したいから、時間決めて集合しない？」
　レフくんが提案する。

「そうね、じゃあ、一時間半後に屋上にある庭園入り口の前は？」
「OK(了解)」
「All right」
　
　レフくんとシオンくんは買いたい物が違うので、バラバラの方角に歩いて行ってしまった。

「――さあ、わたしたちもサクサク買い物しちゃおう！　一時間半しかないんだからね！」
「は、はい！」
「服は数点セットで買ったから……莉緒は他に買いたいのある？」
　
　聞かれて「うーん」と唸るわたし。これから必要になる物を買うべきよね。
　わたしは足元を見ながら言った。

「学校の靴って、指定があるんですか？」
「なんでも。けっこう自由らしいわよ。制服はあるけれど」
「靴は？　ローファー？」
「あ、そうか！　ローファー買おう！　それと運動靴も。莉緒は普段履く靴はスポーツ系でＯＫ？」
「あとは靴下と、普段使うバッグに、財布だって必要よね。あと、小物を入れる可愛いポーチも！」

「ザ、ザッツ・ライト……で、あってます？」
　間違ったかな？　発音がらしくなくて、聞き取れなかったのかも。
　しょげかけたわたしをアリナ姉さんは、親指を立てて「グッド！」とニッコリ。

「偉いわ、莉緒！　積極的にどんどん英語使っちゃおう！」
「ええと……会話できるほどじゃ……」
「『Rome　was not built a day』!」
「ええ？　速い！　意味がわかりません！」
「『ローマは一日にして成らず』！『千里の道も一歩から』と、似た意味よ」
　
　そのあと、グンと増えた英会話に苦戦するわたし。
　
　うえ～ん、買い物に集中できなーい。アリナ姉さんは、あんがいスパルタでした……。